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新たな孤児
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切り上げて子供らを回収しに戻ると、アンテルとシュグリがジーグに飛びついた。
「おかえり!」
「おかいりー」
「おや。ただいま」
ジーグは自分に飛び込んできた2人を抱き留め、そのまま体をくすぐって喜ばせている。
甲高い笑い声が響いた。
その様子を見て、マーツェは満足げに言う。
「いいね。元気満タンだ。全力ではしゃいでる。最初のころは控えめだったもんね」
年相応に脂肪がつき、栄養不足ではなくなった体。
動き回る体力も戻り、成長に見合った筋肉も付いてきただろう。
脂肪も筋肉も栄養も、全てが足りていなかった始めのうちは、はしゃぎたくともはしゃげない様子だった。
気力の無さから、本来の4割程度で声を出し動くといった有様。
すぐに疲れ果ててもいた。
今は体力の底が見えない程に動き回る。
食堂に移動しても元気に駆け回っている。
かと思えば、私にぶつかってきた。
「おい。走り回る場所じゃないぞ」
まだ少ないが食事をしている客もいる。
苦言を気にも留めず、アンテルが私を見上げた。
「他の子は、助けないの?」
発言の意味がわからない。
ワイセが近づいてきてアンテルの頭を弱くはたく。
「こら!できねえって言っただろ」
「でも兄ちゃん」
「そいつらの代わりに俺らが食えなくなるかもしんねえんだぞ。自分のことを考えろ」
悔し気に下唇を突き出すアンテル。
唸りながら目の前に会った私の足に力いっぱいしがみつく。
おい。動けないだろう。
放せ。
「何の話?他の子って誰?助けるって誰を?」
「…、他に孤児を見掛けたんだ」
マーツェの問いかけに、言いづらそうにワイセが答えた。
ヘフテ・ダモンは以前と変わらず、多様な人物と交流しつつ、情報を見聞きし収集することを目標に動いている。
アンテルとシュグリがそこに付いて行きたがるため、日中は大抵子供5人での行動。
話を聞き出そうとはしていないため、ワイセらに余計な情報は洩れないはずだ。
数日毎に場所を変えて動き回らせている。
今日は結界が張ってある町の中でも王都から遠い地へ送っていた。
いつものように町を探検し遊びまわる中で、ワイセらは子供の姿を見た。
骨に皮膚だけを纏ったかのような細い体。
土埃で薄汚れた衣服に底が抜けかけている靴。
走る気力も無さそうで、野草をひっつかんで力なく歩く。
露店から物を盗んでいた頃の自分たちだ。
同じく身寄りのない孤児だ。
ワイセはそこから目を逸らしたかった。
自分にその子を助ける力はない。
辛かった時期を思い出すのも辛い。
かつての自分と重なるその姿を視界に入れたくなかった。
しかしヘフテとダモンがその子に近づき、アンテルとシュグリがそれに続く。
逃げようがなかった。
「おかえり!」
「おかいりー」
「おや。ただいま」
ジーグは自分に飛び込んできた2人を抱き留め、そのまま体をくすぐって喜ばせている。
甲高い笑い声が響いた。
その様子を見て、マーツェは満足げに言う。
「いいね。元気満タンだ。全力ではしゃいでる。最初のころは控えめだったもんね」
年相応に脂肪がつき、栄養不足ではなくなった体。
動き回る体力も戻り、成長に見合った筋肉も付いてきただろう。
脂肪も筋肉も栄養も、全てが足りていなかった始めのうちは、はしゃぎたくともはしゃげない様子だった。
気力の無さから、本来の4割程度で声を出し動くといった有様。
すぐに疲れ果ててもいた。
今は体力の底が見えない程に動き回る。
食堂に移動しても元気に駆け回っている。
かと思えば、私にぶつかってきた。
「おい。走り回る場所じゃないぞ」
まだ少ないが食事をしている客もいる。
苦言を気にも留めず、アンテルが私を見上げた。
「他の子は、助けないの?」
発言の意味がわからない。
ワイセが近づいてきてアンテルの頭を弱くはたく。
「こら!できねえって言っただろ」
「でも兄ちゃん」
「そいつらの代わりに俺らが食えなくなるかもしんねえんだぞ。自分のことを考えろ」
悔し気に下唇を突き出すアンテル。
唸りながら目の前に会った私の足に力いっぱいしがみつく。
おい。動けないだろう。
放せ。
「何の話?他の子って誰?助けるって誰を?」
「…、他に孤児を見掛けたんだ」
マーツェの問いかけに、言いづらそうにワイセが答えた。
ヘフテ・ダモンは以前と変わらず、多様な人物と交流しつつ、情報を見聞きし収集することを目標に動いている。
アンテルとシュグリがそこに付いて行きたがるため、日中は大抵子供5人での行動。
話を聞き出そうとはしていないため、ワイセらに余計な情報は洩れないはずだ。
数日毎に場所を変えて動き回らせている。
今日は結界が張ってある町の中でも王都から遠い地へ送っていた。
いつものように町を探検し遊びまわる中で、ワイセらは子供の姿を見た。
骨に皮膚だけを纏ったかのような細い体。
土埃で薄汚れた衣服に底が抜けかけている靴。
走る気力も無さそうで、野草をひっつかんで力なく歩く。
露店から物を盗んでいた頃の自分たちだ。
同じく身寄りのない孤児だ。
ワイセはそこから目を逸らしたかった。
自分にその子を助ける力はない。
辛かった時期を思い出すのも辛い。
かつての自分と重なるその姿を視界に入れたくなかった。
しかしヘフテとダモンがその子に近づき、アンテルとシュグリがそれに続く。
逃げようがなかった。
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