不死の魔法使いは鍵をにぎる

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魔物との交流

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ある程度成長している6人もいることだ。
なるべく動物に近しい見た目の魔物の方が馴染むだろう。


首が2本あるが犬に似た見た目のもの。
尻尾が3本あるが狐に似た見た目のもの。

それぞれを選んだ。


どちらも大人と同等かそれ以上の図体をしている。






「子供たちと仲良くなってほしいんだ。魔物に悪感情を抱かない人間を育てたい。魔物と人間の共存を目指すために。魔王との誓いを果たすために。協力してもらえるか?」

「ああ」

「魔王様の頼みだ」



魔物本人にも確認をしてから結界の中に入れた。
連れてきた魔物の姿を見ての反応は様々だった。


見覚えのある魔物の登場に喜ぶダモン。
大きいのが来たと見つめているヘフテ。

図体の大きさに驚いてはいるものの恐怖は無さそうなアンテルとシュグリ。
ワイセは少したじろいでおり、他6人も恐れ落ち着かない様子だ。

ジーグも6人を宥めているようでいて、魔物から距離を取っている。






「元気そうだな、ダモン」

「久しぶりだ。背が伸びたな」

「うん」



ダモンが駆け寄って、犬の首元に抱き着く。

長毛が集まり、見るからに触り心地がよさそうな首元。
ダモンの体が毛の中に沈んだ。

ダモンの様子を見て、アンテルとシュグリも近づく。



「触っていい?」

「いー?」



手を伸ばしながらそう聞く2人。



「ああ、いいぞ」



犬の返事に笑顔で手を突っ込んだ。
長毛に埋もれて手が見えなくなる。

はしゃぐ2人に、横から声をかける狐。



「私の尻尾も負けないぞ」



柔らかそうな毛並みの尻尾を眼前で揺らし、アンテルとシュグリを誘惑する。
犬から乗り換え、シュグリが尻尾に抱き着いた。



「ふわふわ~」



ご満悦である。
年少組4人は問題ないな。

6人は恐らく時間が解決してくれるだろう。
触りたさと葛藤してる様子も見られる。








魔物が来たことで、子供たちの食料調達が断然楽になった。

嗅覚が優れているのか、果実が生っている場所への案内。
慎重が足りなければ背に乗せての収穫。
面倒な大きい動物は狙わないが、動物も仕留める。

自分らの食料を確保するためなのかもしれない。
しかし子供らの数も少しずつ増えてきていた。

食料調達がしやすくなるのは良いことである。





ワイセには情報収集と共に、孤児を見つけたら保護するようにと頼んでいる。

昼代の他、すぐに分けられる果物を持ち歩き、孤児を見つければ声をかける。
夕方に回収し森の根城に送り、共同生活の始まりだ。


家も増築し、結界の範囲も広げた。
もう数人孤児が増えたら、魔物の追加要請をしようかと思う。





ジーグの教育に熱心に取り組む子も出始めた。
文字や計算を覚え、中にはワイセのように協力したいと申し出る子もいる。

情報共有を隠さずにいくというジーグの話に乗って正解だったようだ。



根城の外に送り出す子の数を増やし、少しずつ噂を流し始めた。

まずは簡単な情報から。
魔物が人間との共存を望んでいるという情報からだ。

魔物が人間を襲わないという認識が徐々に広まってきていたので、良い頃合いだろう。





ブルデの孫、エヌケルと会う機会も作った。
孤児を保護していることを話したのだ。

大人になるまで生き延びれる孤児は極僅かである。
孤児の放置は、未来を担う若者の減少に繋がる。
やがて来る魔王の居ない平和期に、人手不足が生じてしまう。


王城では魔王を倒して平和期を迎えようと考えているはずだ。
つまり戦いは激化し、補修に大きな人手を必要とする想定。

孤児は救い、人手不足が起きないようにと考えるだろう。


しかし孤児を救うために手を回す余力はない。
私たちの行動は願ったり叶ったりのはずだ。

孤児の情報があれば回してほしいことを伝えた。



エヌケルは快くそれを承諾。
兵士に興味がある子がいれば職を用意することもできる、とも言っていた。


兵士に送り込んだら王城の方にも情報を流しやすくなるな。
マーツェに剣の訓練をさせてもいいのかもしれない。
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