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情報の流しなおし
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これまで流していた情報を再度広める。
加えて、今まで流せなかった情報も追加する。
過去の王族と魔物に何かがあったのではないか。
王も民を守るため、魔物との争いを終わらそうとしているのではないか。
王が味方についたのである。
造反だと思われる心配はなくなった。
堂々と情報を流せる。
王も魔物との共存を目指す方向に舵を切りだし、現在、防衛の塀での争いは無くなっていた。
兵士は控えているが、魔物に攻撃は仕掛けない。
反撃しか許されていない魔物たちは何もできない。
結果、兵士と魔物の攻防が消えた。
魔王が立っている時期に、魔物との争いが収まるなどあり得ない事態である。
異変はすぐに民へ広まった。
そこに情報を流せば、より意識を変えやすい。
兵士が派遣されない、王都から遠い村にはこの変化はない。
しかし、魔王討伐を達成した勇者への褒賞を取りやめると王が宣言を出した。
この宣言による波紋は生じていた。
数度、魔王の元に状況報告も行った。
王が声明を出すために動き出したこと。
魔物と交流し、魔物を親しく思う子供も増えたこと。
魔王側も、魔物の意識を変えるため動いているようだった。
ダモンの村のように、人間を強く憎んでいるものもいる。
共存実現の大きな障害になることは間違いない。
憎む気持ちは理解できる。
過去に酷な扱いを受けたことは事実だ。
しかし、そう、過去のことなのだ。
このままでは永遠に争いが続く。
大勢の仲間が命を落とす。
もう終わりにしよう。
“今”の人間とは、どちらが悪いとは言えないはずだ。
歴史を歌い継ぎ、憎しみを引き継いできたものたち。
魔王の言葉に頷くものはまだ少ないが、努力しているところだという。
辺境の村では、魔物と人間の距離が変化してきていた。
恐る恐るではあるものの、交流が生まれているのだ。
どうやら魔物は襲ってこないらしい、という認識は最早周知となっていた。
人間と魔物が森で遭遇しても争いになることはない。
それどころか、魔物の様子をじっと見つめる人間が出始めた。
恐れによる、動向を窺うための観察ではない。
興味による視線。
中には、魔物の後についていく者さえいた。
これは魔物が“ついてこい”という身振りをしているからだ。
身振りの後、魔物は果実の生っている場所まで人間を案内。
人間が果実を取っている間に姿を消す。
子供が魔物と行動を共にする姿を見せたことも影響しているのだろうか。
こういった良い変化や兆しを多く見られるようになった。
情報の流し治しを始めて数か月。
ついに声明を出すに至る。
王の声明は、まず何某かの声明を出すという知らせから始まる。
この日、この時間に、声明を発表するという知らせ。
魔法を用い、声が拡散される状態で声明はなされる。
王都には間違いなく声が通る。
その地区の住民は該当時間に耳を傾けるように、という知らせだ。
直接聞けない地区であっても、後から回ってくる情報を気に掛けるよう意識させられる。
王は声明を出したのち、小鳩を飛ばさせる。
重要事項を素早く知らせる小鳩だ。
目出度い内容は黄金の小鳩。
悲しい知らせは濃紺の小鳩。
その他は白い小鳩である。
この小鳩が国中の空を飛び回り、主要都市に降り立ち王の声明を伝える。
小鳩が来ない村にはまだ声明が伝わらない状態だ。
これを国中に広げるため、伝達係が村から村へ、声明を伝え渡ることになる。
王が声明を出し、伝達係が伝え終わるまで、おおよそ10日前後を要する。
声明だけでは事細かに伝えることはできない。
小鳩で伝えられる内容も、伝達係が覚えられる量も、限られる。
よって、声明を追いかけるように補足情報が流される。
今回は王城に秘匿されていた内容である。
各町村に、最低でも3冊ずつ。
魔王と約束した冊数を用意した。
声明だけでは、言葉が足りなく混乱が生じる可能性が高い。
これまでの声明以上に、遅滞なく補足情報を流す必要がある。
通常は用いないが、兵士に書物を頒布させることとした。
どの隊に、何冊を、どの地域に頒布させるか。
声明を出してからの流れを詳細に打合せた。
加えて、今まで流せなかった情報も追加する。
過去の王族と魔物に何かがあったのではないか。
王も民を守るため、魔物との争いを終わらそうとしているのではないか。
王が味方についたのである。
造反だと思われる心配はなくなった。
堂々と情報を流せる。
王も魔物との共存を目指す方向に舵を切りだし、現在、防衛の塀での争いは無くなっていた。
兵士は控えているが、魔物に攻撃は仕掛けない。
反撃しか許されていない魔物たちは何もできない。
結果、兵士と魔物の攻防が消えた。
魔王が立っている時期に、魔物との争いが収まるなどあり得ない事態である。
異変はすぐに民へ広まった。
そこに情報を流せば、より意識を変えやすい。
兵士が派遣されない、王都から遠い村にはこの変化はない。
しかし、魔王討伐を達成した勇者への褒賞を取りやめると王が宣言を出した。
この宣言による波紋は生じていた。
数度、魔王の元に状況報告も行った。
王が声明を出すために動き出したこと。
魔物と交流し、魔物を親しく思う子供も増えたこと。
魔王側も、魔物の意識を変えるため動いているようだった。
ダモンの村のように、人間を強く憎んでいるものもいる。
共存実現の大きな障害になることは間違いない。
憎む気持ちは理解できる。
過去に酷な扱いを受けたことは事実だ。
しかし、そう、過去のことなのだ。
このままでは永遠に争いが続く。
大勢の仲間が命を落とす。
もう終わりにしよう。
“今”の人間とは、どちらが悪いとは言えないはずだ。
歴史を歌い継ぎ、憎しみを引き継いできたものたち。
魔王の言葉に頷くものはまだ少ないが、努力しているところだという。
辺境の村では、魔物と人間の距離が変化してきていた。
恐る恐るではあるものの、交流が生まれているのだ。
どうやら魔物は襲ってこないらしい、という認識は最早周知となっていた。
人間と魔物が森で遭遇しても争いになることはない。
それどころか、魔物の様子をじっと見つめる人間が出始めた。
恐れによる、動向を窺うための観察ではない。
興味による視線。
中には、魔物の後についていく者さえいた。
これは魔物が“ついてこい”という身振りをしているからだ。
身振りの後、魔物は果実の生っている場所まで人間を案内。
人間が果実を取っている間に姿を消す。
子供が魔物と行動を共にする姿を見せたことも影響しているのだろうか。
こういった良い変化や兆しを多く見られるようになった。
情報の流し治しを始めて数か月。
ついに声明を出すに至る。
王の声明は、まず何某かの声明を出すという知らせから始まる。
この日、この時間に、声明を発表するという知らせ。
魔法を用い、声が拡散される状態で声明はなされる。
王都には間違いなく声が通る。
その地区の住民は該当時間に耳を傾けるように、という知らせだ。
直接聞けない地区であっても、後から回ってくる情報を気に掛けるよう意識させられる。
王は声明を出したのち、小鳩を飛ばさせる。
重要事項を素早く知らせる小鳩だ。
目出度い内容は黄金の小鳩。
悲しい知らせは濃紺の小鳩。
その他は白い小鳩である。
この小鳩が国中の空を飛び回り、主要都市に降り立ち王の声明を伝える。
小鳩が来ない村にはまだ声明が伝わらない状態だ。
これを国中に広げるため、伝達係が村から村へ、声明を伝え渡ることになる。
王が声明を出し、伝達係が伝え終わるまで、おおよそ10日前後を要する。
声明だけでは事細かに伝えることはできない。
小鳩で伝えられる内容も、伝達係が覚えられる量も、限られる。
よって、声明を追いかけるように補足情報が流される。
今回は王城に秘匿されていた内容である。
各町村に、最低でも3冊ずつ。
魔王と約束した冊数を用意した。
声明だけでは、言葉が足りなく混乱が生じる可能性が高い。
これまでの声明以上に、遅滞なく補足情報を流す必要がある。
通常は用いないが、兵士に書物を頒布させることとした。
どの隊に、何冊を、どの地域に頒布させるか。
声明を出してからの流れを詳細に打合せた。
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