147 / 274
148 おとなたち、盛り上がる
しおりを挟む
「これで、燻し物を一度にまとめて作ることができるとドリアン様にご報告できそうですね、ドレイファス様!きっとすごく喜んでくださいますよ」
「お父さまが、喜ぶ?」
碧い目がうれしそうに煌めく。
「もちろんですとも。ドリアン様はこの燻し物をたいそうお気に召していらっしゃいますしね」
「そうなんだ!」
─そう、おとなはみんなこれ絶対好きだな─
ボンディの言葉を聞いていたローザリオ・シズルスも、ひとり納得している。
─これに錬金術で関われるところはないものだろうか?─
策を巡らせていたが、見つからない。
ローザリオが手を付けられるとしたら、せいぜい小屋に置かれた小型の釜くらいだろうが、それもミルケラがレンガで組んで作ったもので間に合ってしまう。
シエルドが木の種類によって変わる効果などを分析していることは知っている、それを餌に試食は必ず呼んでもらうように交渉しようかと、とっても気に入った燻し物になんとかなんとか自分も一枚噛んでみせようと頭を回転させていた。
「師匠?」
シエルドのまだ小さな手がローザリオに触れて、気が逸れていたことに気づく。
「どうした?」
「あの、ボンディさんから干し肉や干し魚を漬け込む液体の分析と改良を頼まれたのですけど、ぼくやってもい」
「そっ!それは素晴らしいっ!ぜひお引き受けしなさいシエルド!」
─よしっ!シエルドいいぞっ!─
ローザリオはかわいい愛弟子の頭を、これでもかというくらいぐりぐりごしごしと撫でくり回し、そんな姿を初めて見たアーサを呆然とさせていた。
「し、師匠っ」
シエルドの頭は歓喜のローザリオにかき回されてぐしゃぐしゃに乱れている、それを見たドレイファスが笑い転げ、ゴホンと咳払いをしたローザリオが手ぐしで整え直して。
「うん、これでいい。元通りの髪型になった。
ボンディに頼まれた燻し物は、シエルドが様々な素材分析に取り組んでいるからこその依頼だから、頑張りなさい。ただ改良となると広範囲な試作が必要になるだろうから、私も及ばずながら手伝おうっ!」
妙にテンション高く言うローザリオに不審な目を向けるシエルドと、うんうん君の魂胆はわかるよと頷きニヤニヤするボンディに挟まれて、珍しく照れ笑いするローザリオをアーサが冷静に見つめていた。
「ね、これ何?」
「ああ、それ茹で卵ですよ。試しに少しづついろいろやってみたのでこちらも食べてみましょう」
今回、小屋で一気に様々な物を燻せるということで、ボンディは思いつく限りたくさんの食材を棚に並べていた。
茹で卵やトモテラ、グリーンボールといった野菜、薄くスライスしたブレッドまで、ダメでもともとだと自分でも有り得ないなと思いながらも用意したのだ。
「うぇ、これはダメだな」
ローザリオが一口食べたトモテラを皿から除ける。
「お!これとても美味いですよ」
ボンディが小さくカットした茹で卵を勧めて、皆摘んで口に放り込むと。
「ほんとだ!おいしいねっ」
誰より先にドレイファスが反応した。
二口目の茹で卵を摘むと、また口に放り込んでいる。
「おいしい!あっ!お母さまも食べたいっておっしゃると思うのこれ」
ちらりとボンディに目を向けると、承知した!と料理長が頷き返す。
アーサが、薄切りブレッドを指で挟んで眺め、カリっと音を立てて前歯で齧ると
「うまいっ、これブレッドですよね?全然違うんですよ。これならいくらでも食べられそうだ!ほら、みなさんも試してみてください」
意外にも、ボンディがふざけて試したブレッドが絶賛され、また続々と口に放り込んでいく。
パンの木という植物の実を焼いたブレッドは、固くもっさりしている。焼いたブレッドを薄くスライスして、焼いた肉と合わせたり、スープにつけてふやかしたりするが、あまりうまいとは言えない代物だ。
それがどうだ!燻しただけでカリカリっと香ばしく仕上がって、いきなり美味い食べ物に変化したではないか!
「本当においしい!」
ドレイファスとシエルドの口元にはパンくずがたくさんついていて、既に数口食べたようだとわかるが、まるでおやつのように次のブレッドに手をのばしている。
「これ、乾燥の度合いを変えて数種類作って試すといいかもしれないな」
ローザリオが小さく呟き、あれ?っという顔を浮かべたと思うと、ボンディの肩を叩いてにっこり笑って。
「そうだ!乾燥の度合いで日持ちが変わるかもしれないし、私がそれを調べてやろう!」
─なんといいことを思いついたんだ!ヨシ、私よくやったぞ!─
シエルドにおんぶに抱っこでなくともちゃんと出番が作れたことに、なんとも充実した気持ちになって。表情にもそれが現れていた。
「師匠?何かあったんですか?」
気持ち悪いものを見たような顔でシエルドに覗き込まれ、咳払いで誤魔化したローザリオであった。
その夜。
ボンディの提案で、まるで兵糧かというような見た目の夕餉が用意された。
カサカサに乾いたブレッドや干し肉、ちぎって洗っただけのグリーンボールのサラダはドレッシングもかかっていない。
「あら、今日の食事は何か足りないのではなくて?」
食いしん坊には物足りなく見えるメニューであったが、総料理長ではなくボンディが説明に現れたのを見て、何か仕掛けがあるのだとマーリアルも気がついたようだ。
「見かけに騙されませぬよう、お願い申し上げます。ぜひ一口お召し上がりになってみて下さい」
何か含みのあるような笑顔を浮かべたボンディ。
マーリアルは迷わず干し肉を一切れをカサついたブレッドに乗せて、口に入れた。
カリッ
その食感は不快なカサカサではなく、香ばしくカリカリしていて、今まで食べたどのブレッドより美味しいとマーリアルは目を大きく見開いた。
「これは!美味いっ」
ドリアンもどんどんと口に放り込んでいく。
途中一口酒を含み、また食べ進める。
「う?うん!酒もあうぞ!」
「本当に、お酒が進んでしまうわね、これ」
いや、マールはいつだって食事もデザートも酒も進みまくりではないか!と思ったドリアンだが賢明なことに口にはせずに話題を変えた。
「ボンディ、このブレッドもまさかあれか?」
「はい、左様でございます」
「おお!やはりな。ブレッドなのに食感や風味が違うからそうではないかと思ったのだ!」
頷いてにこりとしたボンディに、サラダも食すよう勧められる。
「サラダ?マーリアルではないが、これは何もかけずに食べるのかね?」
「いえ、かかっているのです」
「え?」
「どうぞ一口」
ボンディが両手のひらを上にしながら、何かを掬うような仕草で先を促してくるので、ただグリーンボールをちぎっただけに見えるサラダを恐る恐る口にすると、ふわあと燻した香りが鼻を抜けた。
「なっ?」
「おわかりいただけたでしょうか?燻した塩をかけましたが」
「うむ、わかった」
「ええ、食べるとわかるわね。美味しいわ」
「ミルケラに燻し小屋を作ってもらいまして、一度にまとまった量作れるようになりました。これは試作品です」
それはドリアンが待ち望んだ言葉だ。
「では商品化も可能と?」
「はい、できるでしょう。多少人手がいりますが」
「手配しよう。ボンディは料理長と燻し物の責任者とを兼ねることはできそうか?」
俯き加減で暫く逡巡したボンディは、意を決したように言った。
「・・・やって・・みたいです」
「よし。では負担になったらすぐ相談するように」
そうして、公爵家発の新たなプロジェクトは、料理長ボンディ・ロマの燻し物シリーズと決まり、公爵家合同ギルドの面々も試食会と銘打って集まり、ボンディとミルケラ、ローザリオとシエルドが協力者として一部個別に利益を分けられることが決まった。
「美味いっ!」
今こどもたちの父とローザリオ、ボンディで燻し物の試食会を行っているところだ。
アラミスの父ダルスラ・ロンドリン伯爵が、干し肉を味わいながら訊ねてくる。
「かなり日持ちするということだが、具体的にはどれくらい?」
「通常の干し肉が冬に三月、夏に二週とするなら、だいたいその三倍は保つはずだ。まだそこまで試していないが、鑑定ではそのように出た」
ローザリオがボンディの代わりに答える。
この鑑定は庭師タンジェントに依頼した。
自身やシエルドもだいぶ細かい鑑定ができる方だが、それでもタンジェントほどの鑑定スキルはローザリオですら他に知らないほど。
ボンディに依頼された漬け込む液を、より腐食しにくくなるハーブなどを足して改良した結果、カチカチまで乾かさなくてもかなり日持ちする干し肉や干し魚が作れる目処が立ち始めていた。
「いいな。ロンドリン領では非常食として様々な食料の備蓄を検討しているので、日持ちしてなおかつ美味いなんて最高だ!」
「なるほど、備蓄食料か。私は兵糧として考えていたが」
ドリアンがこぼすとワルター・ザンザルブ侯爵も頷く。
「あ、私もだ。領民の非常食として備えるほど作れるのか?」
「公爵家だけでやるのでは時間が足りん。故に我が料理長ボンディ・ロマと合同ギルド責任者のミルケラ・グザヴィを回らせるので、燻し小屋を各家で作り、各領地でそれぞれに生産販売してもらうというのはどうだろう?利益のうち、分け合う分のみギルドに納めてもらえば。あと作る時に乾物を漬け込む液体はシズルスの錬金術アトリエで調合するものを使えば味はだいたい揃うはず」
ドリアンの話に、ローザリオが手をあげて一つ提案をする。
「味を揃えた物と、そこにしかない特徴のある木や食べ物があれば、それを使ってその領地限定のようなものも作ってみては?土産などに販路があるかもしれませんよ」
もちろん、ただで起きるようなローザリオではない。実家シズルス領に思い当たる香り高い木があるのだ。それを使ったらどんな風味になるだろうと思いついての提案である。
「おお、それはいい。
ロンドリンにも他にはない木がいくつもある」
ダルスラがうれしそうに賛同したが、クロードゥル・ヤンニル騎士爵だけは領地を持たないためじっと黙りこくっている。
それに気づいたドリアンがクロードゥルにひとつ提案をした。
「お父さまが、喜ぶ?」
碧い目がうれしそうに煌めく。
「もちろんですとも。ドリアン様はこの燻し物をたいそうお気に召していらっしゃいますしね」
「そうなんだ!」
─そう、おとなはみんなこれ絶対好きだな─
ボンディの言葉を聞いていたローザリオ・シズルスも、ひとり納得している。
─これに錬金術で関われるところはないものだろうか?─
策を巡らせていたが、見つからない。
ローザリオが手を付けられるとしたら、せいぜい小屋に置かれた小型の釜くらいだろうが、それもミルケラがレンガで組んで作ったもので間に合ってしまう。
シエルドが木の種類によって変わる効果などを分析していることは知っている、それを餌に試食は必ず呼んでもらうように交渉しようかと、とっても気に入った燻し物になんとかなんとか自分も一枚噛んでみせようと頭を回転させていた。
「師匠?」
シエルドのまだ小さな手がローザリオに触れて、気が逸れていたことに気づく。
「どうした?」
「あの、ボンディさんから干し肉や干し魚を漬け込む液体の分析と改良を頼まれたのですけど、ぼくやってもい」
「そっ!それは素晴らしいっ!ぜひお引き受けしなさいシエルド!」
─よしっ!シエルドいいぞっ!─
ローザリオはかわいい愛弟子の頭を、これでもかというくらいぐりぐりごしごしと撫でくり回し、そんな姿を初めて見たアーサを呆然とさせていた。
「し、師匠っ」
シエルドの頭は歓喜のローザリオにかき回されてぐしゃぐしゃに乱れている、それを見たドレイファスが笑い転げ、ゴホンと咳払いをしたローザリオが手ぐしで整え直して。
「うん、これでいい。元通りの髪型になった。
ボンディに頼まれた燻し物は、シエルドが様々な素材分析に取り組んでいるからこその依頼だから、頑張りなさい。ただ改良となると広範囲な試作が必要になるだろうから、私も及ばずながら手伝おうっ!」
妙にテンション高く言うローザリオに不審な目を向けるシエルドと、うんうん君の魂胆はわかるよと頷きニヤニヤするボンディに挟まれて、珍しく照れ笑いするローザリオをアーサが冷静に見つめていた。
「ね、これ何?」
「ああ、それ茹で卵ですよ。試しに少しづついろいろやってみたのでこちらも食べてみましょう」
今回、小屋で一気に様々な物を燻せるということで、ボンディは思いつく限りたくさんの食材を棚に並べていた。
茹で卵やトモテラ、グリーンボールといった野菜、薄くスライスしたブレッドまで、ダメでもともとだと自分でも有り得ないなと思いながらも用意したのだ。
「うぇ、これはダメだな」
ローザリオが一口食べたトモテラを皿から除ける。
「お!これとても美味いですよ」
ボンディが小さくカットした茹で卵を勧めて、皆摘んで口に放り込むと。
「ほんとだ!おいしいねっ」
誰より先にドレイファスが反応した。
二口目の茹で卵を摘むと、また口に放り込んでいる。
「おいしい!あっ!お母さまも食べたいっておっしゃると思うのこれ」
ちらりとボンディに目を向けると、承知した!と料理長が頷き返す。
アーサが、薄切りブレッドを指で挟んで眺め、カリっと音を立てて前歯で齧ると
「うまいっ、これブレッドですよね?全然違うんですよ。これならいくらでも食べられそうだ!ほら、みなさんも試してみてください」
意外にも、ボンディがふざけて試したブレッドが絶賛され、また続々と口に放り込んでいく。
パンの木という植物の実を焼いたブレッドは、固くもっさりしている。焼いたブレッドを薄くスライスして、焼いた肉と合わせたり、スープにつけてふやかしたりするが、あまりうまいとは言えない代物だ。
それがどうだ!燻しただけでカリカリっと香ばしく仕上がって、いきなり美味い食べ物に変化したではないか!
「本当においしい!」
ドレイファスとシエルドの口元にはパンくずがたくさんついていて、既に数口食べたようだとわかるが、まるでおやつのように次のブレッドに手をのばしている。
「これ、乾燥の度合いを変えて数種類作って試すといいかもしれないな」
ローザリオが小さく呟き、あれ?っという顔を浮かべたと思うと、ボンディの肩を叩いてにっこり笑って。
「そうだ!乾燥の度合いで日持ちが変わるかもしれないし、私がそれを調べてやろう!」
─なんといいことを思いついたんだ!ヨシ、私よくやったぞ!─
シエルドにおんぶに抱っこでなくともちゃんと出番が作れたことに、なんとも充実した気持ちになって。表情にもそれが現れていた。
「師匠?何かあったんですか?」
気持ち悪いものを見たような顔でシエルドに覗き込まれ、咳払いで誤魔化したローザリオであった。
その夜。
ボンディの提案で、まるで兵糧かというような見た目の夕餉が用意された。
カサカサに乾いたブレッドや干し肉、ちぎって洗っただけのグリーンボールのサラダはドレッシングもかかっていない。
「あら、今日の食事は何か足りないのではなくて?」
食いしん坊には物足りなく見えるメニューであったが、総料理長ではなくボンディが説明に現れたのを見て、何か仕掛けがあるのだとマーリアルも気がついたようだ。
「見かけに騙されませぬよう、お願い申し上げます。ぜひ一口お召し上がりになってみて下さい」
何か含みのあるような笑顔を浮かべたボンディ。
マーリアルは迷わず干し肉を一切れをカサついたブレッドに乗せて、口に入れた。
カリッ
その食感は不快なカサカサではなく、香ばしくカリカリしていて、今まで食べたどのブレッドより美味しいとマーリアルは目を大きく見開いた。
「これは!美味いっ」
ドリアンもどんどんと口に放り込んでいく。
途中一口酒を含み、また食べ進める。
「う?うん!酒もあうぞ!」
「本当に、お酒が進んでしまうわね、これ」
いや、マールはいつだって食事もデザートも酒も進みまくりではないか!と思ったドリアンだが賢明なことに口にはせずに話題を変えた。
「ボンディ、このブレッドもまさかあれか?」
「はい、左様でございます」
「おお!やはりな。ブレッドなのに食感や風味が違うからそうではないかと思ったのだ!」
頷いてにこりとしたボンディに、サラダも食すよう勧められる。
「サラダ?マーリアルではないが、これは何もかけずに食べるのかね?」
「いえ、かかっているのです」
「え?」
「どうぞ一口」
ボンディが両手のひらを上にしながら、何かを掬うような仕草で先を促してくるので、ただグリーンボールをちぎっただけに見えるサラダを恐る恐る口にすると、ふわあと燻した香りが鼻を抜けた。
「なっ?」
「おわかりいただけたでしょうか?燻した塩をかけましたが」
「うむ、わかった」
「ええ、食べるとわかるわね。美味しいわ」
「ミルケラに燻し小屋を作ってもらいまして、一度にまとまった量作れるようになりました。これは試作品です」
それはドリアンが待ち望んだ言葉だ。
「では商品化も可能と?」
「はい、できるでしょう。多少人手がいりますが」
「手配しよう。ボンディは料理長と燻し物の責任者とを兼ねることはできそうか?」
俯き加減で暫く逡巡したボンディは、意を決したように言った。
「・・・やって・・みたいです」
「よし。では負担になったらすぐ相談するように」
そうして、公爵家発の新たなプロジェクトは、料理長ボンディ・ロマの燻し物シリーズと決まり、公爵家合同ギルドの面々も試食会と銘打って集まり、ボンディとミルケラ、ローザリオとシエルドが協力者として一部個別に利益を分けられることが決まった。
「美味いっ!」
今こどもたちの父とローザリオ、ボンディで燻し物の試食会を行っているところだ。
アラミスの父ダルスラ・ロンドリン伯爵が、干し肉を味わいながら訊ねてくる。
「かなり日持ちするということだが、具体的にはどれくらい?」
「通常の干し肉が冬に三月、夏に二週とするなら、だいたいその三倍は保つはずだ。まだそこまで試していないが、鑑定ではそのように出た」
ローザリオがボンディの代わりに答える。
この鑑定は庭師タンジェントに依頼した。
自身やシエルドもだいぶ細かい鑑定ができる方だが、それでもタンジェントほどの鑑定スキルはローザリオですら他に知らないほど。
ボンディに依頼された漬け込む液を、より腐食しにくくなるハーブなどを足して改良した結果、カチカチまで乾かさなくてもかなり日持ちする干し肉や干し魚が作れる目処が立ち始めていた。
「いいな。ロンドリン領では非常食として様々な食料の備蓄を検討しているので、日持ちしてなおかつ美味いなんて最高だ!」
「なるほど、備蓄食料か。私は兵糧として考えていたが」
ドリアンがこぼすとワルター・ザンザルブ侯爵も頷く。
「あ、私もだ。領民の非常食として備えるほど作れるのか?」
「公爵家だけでやるのでは時間が足りん。故に我が料理長ボンディ・ロマと合同ギルド責任者のミルケラ・グザヴィを回らせるので、燻し小屋を各家で作り、各領地でそれぞれに生産販売してもらうというのはどうだろう?利益のうち、分け合う分のみギルドに納めてもらえば。あと作る時に乾物を漬け込む液体はシズルスの錬金術アトリエで調合するものを使えば味はだいたい揃うはず」
ドリアンの話に、ローザリオが手をあげて一つ提案をする。
「味を揃えた物と、そこにしかない特徴のある木や食べ物があれば、それを使ってその領地限定のようなものも作ってみては?土産などに販路があるかもしれませんよ」
もちろん、ただで起きるようなローザリオではない。実家シズルス領に思い当たる香り高い木があるのだ。それを使ったらどんな風味になるだろうと思いついての提案である。
「おお、それはいい。
ロンドリンにも他にはない木がいくつもある」
ダルスラがうれしそうに賛同したが、クロードゥル・ヤンニル騎士爵だけは領地を持たないためじっと黙りこくっている。
それに気づいたドリアンがクロードゥルにひとつ提案をした。
71
あなたにおすすめの小説
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした。今さら戻れと言われても、もうスローライフ始めちゃったんで
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。
家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、
優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、
俺は必死に、置いていかれないようについていった。
自分には何もできないと思っていた。
それでも、少しでも役に立ちたくて、
誰にも迷惑をかけないようにと、
夜な夜な一人でダンジョンに潜り、力を磨いた。
仲間を護れるなら…
そう思って使った支援魔法や探知魔法も、
気づかれないよう、そっと重ねていただけだった。
だけどある日、告げられた。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、優しさからの判断だった。
俺も分かっていた。だから、何も言えなかった。
こうして俺は、静かにパーティを離れた。
これからは一人で、穏やかに生きていこう。
そう思っていたし、そのはずだった。
…だけど、ダンジョンの地下で古代竜の魂と出会って、
また少し、世界が騒がしくなってきたようです。
◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~
千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる