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呪われたエザリア
葛藤する猫と魔法医薬師
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さて。
そんな風になんとなく始まった奇妙な同居生活。
セインは出ていこうとしない猫に安心し、しかし猫の飼い主が見つかったら返さねばならないと、名前はつけずにずっとねこちゃんと呼んでいる。
だが迷い猫を預かっていると町で誰かに言うわけでもなく。
なんだかんだ言って覚悟が決まらないのだ。
3日も一緒にいるとすっかり馴染んでしまい、今更猫を返すなんて出来そうになかった。
エザリアはというと、一応考えてはいる。
神殿に行くにはどうしたらいいのか。
いや神殿に行くこと自体が難しいわけではない。町のどこに神殿があるかは知っているから、行こうと思えばいつでも行かれるのだが、問題はそのあとだ。
「呪いをかけられて猫になった!お願いだから呪いを解いて」
と、代金を払って頼まねばならないのだが、言葉が話せないわけで。
そして困ったことに金がない、猫だから。
(もうっ!シュマーたちは絶対に許さないわ!呪いが解けたら痛い目にあわせてやるんだから)
と、一日に二回はニャニャニャ!と猫語で文句を言うのだが。
それを見たセインは、自分に何か話しかけていると勘違いし、毎回いいこいいこしてくれるのだ。
(本当にどうしたらいいのかしら。このままじゃ本当に死ぬまで猫のままかもしれないわ)
そう思うと悲しくなって、またニャオーンニャオーンと泣き喚く。
「どうしたんだいねこちゃん!さみしくなっちゃった?大丈夫だよちゃんとそばにいるから心配しないで」
そう言ってエザリアを膝に乗せたセインは、ぎゅぅっと抱きしめた。
「ん?あれ、何だこれ」
長いやわらかな毛に埋もれて気づいていなかったが、猫は白金の鎖のペンダントを首にかけていた。
チェーンを探ると、美しいアクアマリンのペンダントトップがぶら下がっている!
「これ、けっこう高価な物だ。飼い主さんに大切にされていたんだね・・・」
このまま手元に置いておきたいという気持ちが、アクアマリンを見つけたことで揺らぐ。
「明日、町のギルドに行って探し猫が出ていないか聞いてみよう」
さみしそうな落ち込んだようなセインに、エザリアは(違う違うちがーう!)となんとか伝えたかったが、苛つくことに喋れない!
(どうしよう!セイン、私迷い猫なんかじゃないのよ)
しょんぼりしているセインに、胸がキュンと痛むのだ。
エザリアはセインの顔を、真っ白い尻尾の先で優しく撫でるしかできなかった。
どうしたものかと考えすぎてくたびれたエザリアは、セインのベッドでしばらく前から惰眠を貪っている。
セインは何かヒントがないかとアクアマリンをルーペで眺めていた。
「ん?」
アクアマリンがはめ込まれた白金の台座に、紋章のような小さな刻印があることに気づいたのだ。
紙とペンを用意し、その刻印を描き写していく。
「んー?貴族の紋章か、小さく打ち込むから略式紋章かな」
魔法薬師はギルドや商会だけでなく、貴族から直接注文を受けて納品することも多いので、ある程度は紋章についても知識があるのだが。
「明日ギルドで調べてもらうことにしよう」
■□■
作者、訳あって庭にやってくる子猫たちを保護することになり、ただいま医療費ヤベー!状況でございまして(;^ω^)
少しでも足しになってほしいという邪な考えで書き上げた作品です(*_*;
お気軽にお気に入りにポチっと頂けると大変ありがたいです。
本日の更新はこれで終わりです。当面は6時、12時、18時で一日三話更新しますのでサクサク読み進めて頂けると思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
※【最新話を読む】機能を使うと読み飛ばす可能性がありますので、【しおりから読む】をお勧めします。
そんな風になんとなく始まった奇妙な同居生活。
セインは出ていこうとしない猫に安心し、しかし猫の飼い主が見つかったら返さねばならないと、名前はつけずにずっとねこちゃんと呼んでいる。
だが迷い猫を預かっていると町で誰かに言うわけでもなく。
なんだかんだ言って覚悟が決まらないのだ。
3日も一緒にいるとすっかり馴染んでしまい、今更猫を返すなんて出来そうになかった。
エザリアはというと、一応考えてはいる。
神殿に行くにはどうしたらいいのか。
いや神殿に行くこと自体が難しいわけではない。町のどこに神殿があるかは知っているから、行こうと思えばいつでも行かれるのだが、問題はそのあとだ。
「呪いをかけられて猫になった!お願いだから呪いを解いて」
と、代金を払って頼まねばならないのだが、言葉が話せないわけで。
そして困ったことに金がない、猫だから。
(もうっ!シュマーたちは絶対に許さないわ!呪いが解けたら痛い目にあわせてやるんだから)
と、一日に二回はニャニャニャ!と猫語で文句を言うのだが。
それを見たセインは、自分に何か話しかけていると勘違いし、毎回いいこいいこしてくれるのだ。
(本当にどうしたらいいのかしら。このままじゃ本当に死ぬまで猫のままかもしれないわ)
そう思うと悲しくなって、またニャオーンニャオーンと泣き喚く。
「どうしたんだいねこちゃん!さみしくなっちゃった?大丈夫だよちゃんとそばにいるから心配しないで」
そう言ってエザリアを膝に乗せたセインは、ぎゅぅっと抱きしめた。
「ん?あれ、何だこれ」
長いやわらかな毛に埋もれて気づいていなかったが、猫は白金の鎖のペンダントを首にかけていた。
チェーンを探ると、美しいアクアマリンのペンダントトップがぶら下がっている!
「これ、けっこう高価な物だ。飼い主さんに大切にされていたんだね・・・」
このまま手元に置いておきたいという気持ちが、アクアマリンを見つけたことで揺らぐ。
「明日、町のギルドに行って探し猫が出ていないか聞いてみよう」
さみしそうな落ち込んだようなセインに、エザリアは(違う違うちがーう!)となんとか伝えたかったが、苛つくことに喋れない!
(どうしよう!セイン、私迷い猫なんかじゃないのよ)
しょんぼりしているセインに、胸がキュンと痛むのだ。
エザリアはセインの顔を、真っ白い尻尾の先で優しく撫でるしかできなかった。
どうしたものかと考えすぎてくたびれたエザリアは、セインのベッドでしばらく前から惰眠を貪っている。
セインは何かヒントがないかとアクアマリンをルーペで眺めていた。
「ん?」
アクアマリンがはめ込まれた白金の台座に、紋章のような小さな刻印があることに気づいたのだ。
紙とペンを用意し、その刻印を描き写していく。
「んー?貴族の紋章か、小さく打ち込むから略式紋章かな」
魔法薬師はギルドや商会だけでなく、貴族から直接注文を受けて納品することも多いので、ある程度は紋章についても知識があるのだが。
「明日ギルドで調べてもらうことにしよう」
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作者、訳あって庭にやってくる子猫たちを保護することになり、ただいま医療費ヤベー!状況でございまして(;^ω^)
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