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第1章
第19話 うれしい報せ
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成り行きを見て、けんもほろろな庭師をがっかりした顔で見上げるこどもに、飴玉と小さな銅貨を渡した農夫・・・?
ニイズはふと違和感を感じる。
「ちょっと待て」
このむずむずした感じはなんだろうと思いながら、身を翻そうとした男の手を掴むと、それは剣を振るう騎士の手だった。
ビブラスは目配せをした。
「おまえ、侯爵様に頼まれ物だと言っていたな」
「へへえ」
低い声を返し、じっと見合う。
先に切り出したのはビブラスだった。
─庭師なのに、まったく隙のない男。
ナイジェルス殿下の言う暗部の者に違いないだろう─
こどもには聞こえないよう、すれ違い様に呟く。
「ロレンガ渓谷の川から戻ってきたと」
意味を正確に理解したニイズは、鋭い目を和らげてビブラスに向けた。
こくりと頷いてから、胸の奥から小さく折りたたまれたハンカチを見せる。
それはユートリーが刺繍したナイジェルスの紋章にソイスト侯爵家の紋章をアレンジして加えた物で、ニイズは見ただけで誰の持ち物か知ることができた。
「っ!」
庭師の反応に満足したビブラスは、腰に巻いた布から書状を引き出すと、ニイズの手に忍ばせる。
「これを内密にソイスト侯爵に届けてくれ。書状の真偽はユートリー様ならわかる。私は町の宿屋にキイスと名乗って泊まっているが、あまり時間がない。できれば今夜中に回答願いたいと頼む」
有無を言わさずそれだけ告げると、ビブラスは馬車を返して宿屋へと戻っていった。
その行方を見送ると、今度はニイズが屋敷へと駆け出した。
「スチュー様はいらっしぇえますか?塗り薬をもらえねえでしょうかぁ」
「ああ、ニイズ。こちらですよ。そんなに急いでどうしました?剪定ばさみで怪我でもしたのではないでしょうね」
合い言葉である。
「へえ、刃が足に触れて切れっちまったんでさあ。旦那様の大切な花に血がついちまって、おら、お詫びのしようもねえですだ」
「マーカス様はそんなことでは怒ったりなさらないが、どれ、よく効く薬をあげるからこちらにきなさい」
まだるっこしい会話を交わしながらニイズはスチューに必要のない薬をもらい、そのときにビブラスから預かった書状をそっと渡す。
「ありがとうごぜえます。私が汚した花だけ切って、旦那様と奥様のためにきれいな庭にしてみせまさあ」
屋敷の隅々まで届きそうな大きな声で言うと、油断なく目を配りながらニイズは庭へと戻っていく。
スチューはすっと上着の内側に書状を隠し、いつものように規則正しい早足で執務室へ向かった。
「マーカス様」
返事を待たず、ノックとともに扉を開けた執事にマーカスは目を丸くした。
「どうした?スチューが珍しいな」
「至急の使いが参ったようで。真偽はユートリー様に確認をとニイズが受け取りました」
「っ!」
折りたたまれた書状を急いで開き、目を走らせる。
「ユートリーを呼んできてくれ。あ、目立たぬようにな」
─大変なことになったぞ─
ユートリーが来るまでの間に2回読み直したが、どう見ても本物のナイジェルス王子の書状のようだ。
犯人は不明だが襲われたため、返り討ちにしてから馬を外し、馬車を捨て逃げた。
味方が誰なのかわからないため、潜んでいるが保護を要請したいとあった。
「お父様?お呼びとうかがいましたわ」
早い動きで手招きし、控えの間の扉に鍵がかけられたのを確認すると、ユートリーに手紙を手渡した。
字を見てすぐ気づいたようだ。
ユートリーは舐めるように手紙を読んだ。
「これ、ナイジェルス様ですわ!ああ、よかった・・・ご無事でしたのね、神様ありがとうございます」
ほっとした顔をしたあと。
久しぶりにユートリーは朗らかに笑った。
ニイズはふと違和感を感じる。
「ちょっと待て」
このむずむずした感じはなんだろうと思いながら、身を翻そうとした男の手を掴むと、それは剣を振るう騎士の手だった。
ビブラスは目配せをした。
「おまえ、侯爵様に頼まれ物だと言っていたな」
「へへえ」
低い声を返し、じっと見合う。
先に切り出したのはビブラスだった。
─庭師なのに、まったく隙のない男。
ナイジェルス殿下の言う暗部の者に違いないだろう─
こどもには聞こえないよう、すれ違い様に呟く。
「ロレンガ渓谷の川から戻ってきたと」
意味を正確に理解したニイズは、鋭い目を和らげてビブラスに向けた。
こくりと頷いてから、胸の奥から小さく折りたたまれたハンカチを見せる。
それはユートリーが刺繍したナイジェルスの紋章にソイスト侯爵家の紋章をアレンジして加えた物で、ニイズは見ただけで誰の持ち物か知ることができた。
「っ!」
庭師の反応に満足したビブラスは、腰に巻いた布から書状を引き出すと、ニイズの手に忍ばせる。
「これを内密にソイスト侯爵に届けてくれ。書状の真偽はユートリー様ならわかる。私は町の宿屋にキイスと名乗って泊まっているが、あまり時間がない。できれば今夜中に回答願いたいと頼む」
有無を言わさずそれだけ告げると、ビブラスは馬車を返して宿屋へと戻っていった。
その行方を見送ると、今度はニイズが屋敷へと駆け出した。
「スチュー様はいらっしぇえますか?塗り薬をもらえねえでしょうかぁ」
「ああ、ニイズ。こちらですよ。そんなに急いでどうしました?剪定ばさみで怪我でもしたのではないでしょうね」
合い言葉である。
「へえ、刃が足に触れて切れっちまったんでさあ。旦那様の大切な花に血がついちまって、おら、お詫びのしようもねえですだ」
「マーカス様はそんなことでは怒ったりなさらないが、どれ、よく効く薬をあげるからこちらにきなさい」
まだるっこしい会話を交わしながらニイズはスチューに必要のない薬をもらい、そのときにビブラスから預かった書状をそっと渡す。
「ありがとうごぜえます。私が汚した花だけ切って、旦那様と奥様のためにきれいな庭にしてみせまさあ」
屋敷の隅々まで届きそうな大きな声で言うと、油断なく目を配りながらニイズは庭へと戻っていく。
スチューはすっと上着の内側に書状を隠し、いつものように規則正しい早足で執務室へ向かった。
「マーカス様」
返事を待たず、ノックとともに扉を開けた執事にマーカスは目を丸くした。
「どうした?スチューが珍しいな」
「至急の使いが参ったようで。真偽はユートリー様に確認をとニイズが受け取りました」
「っ!」
折りたたまれた書状を急いで開き、目を走らせる。
「ユートリーを呼んできてくれ。あ、目立たぬようにな」
─大変なことになったぞ─
ユートリーが来るまでの間に2回読み直したが、どう見ても本物のナイジェルス王子の書状のようだ。
犯人は不明だが襲われたため、返り討ちにしてから馬を外し、馬車を捨て逃げた。
味方が誰なのかわからないため、潜んでいるが保護を要請したいとあった。
「お父様?お呼びとうかがいましたわ」
早い動きで手招きし、控えの間の扉に鍵がかけられたのを確認すると、ユートリーに手紙を手渡した。
字を見てすぐ気づいたようだ。
ユートリーは舐めるように手紙を読んだ。
「これ、ナイジェルス様ですわ!ああ、よかった・・・ご無事でしたのね、神様ありがとうございます」
ほっとした顔をしたあと。
久しぶりにユートリーは朗らかに笑った。
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