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第4章
第77話 穏やかな時間
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国王はキャロラ第二夫人とトローザー第三王子、ターナル伯爵一族は速やかに毒杯を、それに遅れて、ミイヤは貴族を謀ろうとした平民として見せしめに公開処刑されると決めた。
ソイスト侯爵家での夕餉のあと。
「最期にミイヤと話をしたければ時間を下さるそうだが、皆どうする?」
家族四人で寛いでいたとき、急に思い出したマーカスが切り出した。
「アレと交わす言葉などございませんわ」
リラの言葉に当然のように一堂頷く。
「それよりトリーたちの結婚が遅れてしまうことが心配ですわ」
一度振り切れたリラは、ミイヤに対し誰よりも冷たく厳しかった。
ユートリーを思うリラとミイヤを切り捨てるリラを見て、マーカスもサルジャンも、ただ優しくにこにこしているだけではない彼女の二面性を初めて知り、決してここまで怒らせるようなことをしてはいけないと肝に銘じる。
「お母様、遅れると言ってもほんの少しのことですし、それだけ家族と一緒に過ごせるのですから私はそれもうれしいですわ」
ほんのりと微笑むユートリーが場を和ませて。
「そうだな。私もそう思うよ。そうだ、せっかくだから家族四人で旅行でも行かないか?」
マーカスの思いつきは素晴らしいものだった。
ミイヤを引き取ってからというもの、いつも不憫な末っ子が行きたいところに行っていた。本当の家族だけの旅行など、もう8年近く行っていない。
「素敵ね!どこがいいかしら、海?山?湖?」
そう言うリラに、マーカスは
「全部行けばいい!二週間もあれば回れるぞ!」
湖のある山に行って、帰りに海に寄る。
サルジャンとユートリーはこどものように水辺ではしゃぎ、山の幸を、そして海の幸を堪能した。
「もっとこうして皆で旅行に行きたかったですわ」
ユートリーが寂しそうにぽつんと零し、ぼんやりしていたと思うと急に声を上げた。
「私が結婚しても、お兄様が結婚しても、それぞれの家族全員が参加して一緒に旅行するのはどうかしら!」
一度家族を失う恐怖、二度と会えなくなる悲しみを強く感じたソイスト侯爵家は、以前より格段にその絆を強めていた。
一緒にいられる時間は思いの外短いかもしれないのだ。
「そうだな、しかしナイジェルス殿下はそれいいと仰るかな」
「ええ、もちろん。そうに決まっていますわ!」
自信満々にユートリーが宣言する。
「そうしたらもっと賑やかに楽しくすごせますわね」
「では海と山に別荘でも買うか!」
調子に乗ったマーカスを、いつもなら大きな金を使うときは一度計画を立ててからと窘めるリラだが今日は違う。
「それ、よろしいわね!孫が出来ても皆で泊まれるようにベッドルームが多い別荘がいいわ!」
ソイスト侯爵家に戻ったリラは、胸にぽっかりと空いた穴を埋めるため子犬を飼い始めた。
絹のように艷やかな長い白い被毛を持つその犬は、伝説のフェンリルの姿絵とよく似ていて、子犬のころから大きな体躯をしていたが、あっという間に牛ほどの大きさに育つ。リラとユートリーは目に入れても痛くないほどに大きすぎる犬を可愛がり、マーカスとサルジャンは、ふたりには可愛がるものが必要なのだと改めて知ったのだった。
ソイスト侯爵家での夕餉のあと。
「最期にミイヤと話をしたければ時間を下さるそうだが、皆どうする?」
家族四人で寛いでいたとき、急に思い出したマーカスが切り出した。
「アレと交わす言葉などございませんわ」
リラの言葉に当然のように一堂頷く。
「それよりトリーたちの結婚が遅れてしまうことが心配ですわ」
一度振り切れたリラは、ミイヤに対し誰よりも冷たく厳しかった。
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「お母様、遅れると言ってもほんの少しのことですし、それだけ家族と一緒に過ごせるのですから私はそれもうれしいですわ」
ほんのりと微笑むユートリーが場を和ませて。
「そうだな。私もそう思うよ。そうだ、せっかくだから家族四人で旅行でも行かないか?」
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「素敵ね!どこがいいかしら、海?山?湖?」
そう言うリラに、マーカスは
「全部行けばいい!二週間もあれば回れるぞ!」
湖のある山に行って、帰りに海に寄る。
サルジャンとユートリーはこどものように水辺ではしゃぎ、山の幸を、そして海の幸を堪能した。
「もっとこうして皆で旅行に行きたかったですわ」
ユートリーが寂しそうにぽつんと零し、ぼんやりしていたと思うと急に声を上げた。
「私が結婚しても、お兄様が結婚しても、それぞれの家族全員が参加して一緒に旅行するのはどうかしら!」
一度家族を失う恐怖、二度と会えなくなる悲しみを強く感じたソイスト侯爵家は、以前より格段にその絆を強めていた。
一緒にいられる時間は思いの外短いかもしれないのだ。
「そうだな、しかしナイジェルス殿下はそれいいと仰るかな」
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