【完結】時戻り令嬢は復讐する

やまぐちこはる

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第4章

第79話 苦悩

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 キャロラとトローザーは、ターナル伯爵一族と居並ぶ貴族牢に入れられていた。

「お姉様の言うことなど聞かなければよかった!」
「うるさいっ!やると決めたのは自分じゃないのよ、自分を責めなさいよ」
「何よ、少しは私達を巻き込んで申し訳ないと思わないの?」
「思わないわね」

 キャロラの言葉にターナル夫妻は激怒した。

「この悪魔っ!おまえのせいでジェリンたちまで咎を」

 王族暗殺の咎は連座罰のため、ターナル夫妻のふたりのこどもたちも免れることはできなかった。
 貴族牢と言っても窓もない薄暗い石牢に入れられ、怒鳴り合う両親たちの言葉から待ち受ける行く末を知り、怯えて涙を浮かべている。

「私達のせいではない。やらぬと決めれば良かっただけではないか」

 既に生きることを諦めたトローザーがぼんやりと言ちると、それもターナルの怒りを買った。

「おまえたちの話しを聞かされたら、もう断る道など我らには残されていないんだ!聞きたくなくても王族相手では聞くしかない!やりたくなかろうが、やるとしか言えん!それすらもわからんような愚か者のくせに国王になろうなど片腹痛いわ」
「なんだとっ!」
「うるさいっうるさいっうるさいっ!」


 互いの罪を擦り合い、怒鳴り、罵り合う阿鼻叫喚の様相に、貴族牢に配置された衛兵は耳栓を押し込んだ。




「なんかすごいらしいぞ貴族牢が」

 ゴールダインがナイジェルスに囁く。

「ああ、聞いた」
「正直年若いジェリンたちはせめて国外追放にでもしてやりたかったが」
「まあ、情をかけてやりたいのはやまやまだが、それをやるとキリがないぞ兄上」
「そうなんだがな」


 王族暗殺の刑罰は軽いものではない。
一族連座は徹底されており、毒盃を授けるため火刑のような身代わりもきかないのだ。


 憂鬱な顔を隠そうともしないゴールダインと、後味は悪いが仕方ないと諦めるナイジェルスの視線がかち合った。

「そういえばナイ、地下牢に通ってるらしいな」
「うん?まあ、それはアレだ。トリーには秘密で頼むよ」
「おまえらしくないな、ずいぶんと嫌らしいやり方でいたぶっているそうじゃないか」
「・・・いたぶって・・るか。そうだな。なんかどうしても許せなくてなぁ、トリーにあれだけ可愛がられてきたくせに、裏切っただけじゃなく、毒を盛るだなんて」
「父親の代からの恨みが凄まじいよな、しかも全部父親の妬みによる思い込みだからな」




「「・・・・・・」」




「やっぱり連座は仕方ないことなのかもしれんな」

 辛そうにゴールダインが呟く。

 仮にジェリンたちを助けてやったとしても、助けられたことをありがたく思い、実直に生きるとは限らないのだ。ミイヤのように、親から聞かされた恨みを腹のうちに抱え、ある日牙を剥くかもしれない。
親を殺されたなら尚更だ。
それが正しく罪を償うものだとしても、子は親を信じようとするもの。

「為政者なら将来リスクとなる者は残すべきではない。それがこどもを手折ることであっても」

 理屈はわかるのだ。
わかるのだが、心が拒絶する。
国王から処罰を任されたゴールダインはぎりぎりまで悩み続け、苦しんで・・・
国を背負う者として決断を下したのだった。
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