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第29話
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その夜、王妃に呼ばれたアニエラが城より戻ると、屋敷の中が慌ただしいことに気づく。
「ねえマイルス、何かあったの?」
尋ねると執事は困ったような顔で、渋々と答えるのだ。
「実は本日トーソルド様が一旦ご帰館になられまして」
「ええっ?聞いてないわ」
「はい、私どももでございました」
「いきなり帰ってきたということ?」
「そのとおりでこざいますが、すぐテューリン様とジュール様がお連れになられましたので、あちらには知らされていたのかと・・・」
怪我でもしたのか、抱えられて馬車から降ろされたトーソルドが気になり、言い淀むマイルス。
どういうことなのか訊ねたかったが、マイルス自身も事情がわからないと言われ、考えても仕方ないと、ジャブリックに明朝の訪問を報せて休むことにした。
翌早朝。
アニエラは予定通りジャブリックの元へ出かけて行った。
「お義父様、お義兄様、お義姉様!おはようございます」
「アニエラ、おはよう。早いうちから大変ではなかったか?」
「ええ。気になってしまって、よく眠れませんでした」
ああ、と声が漏れた。
「朝食は食べてきたかね?」
「はい、軽く」
「では応接に入ろう」
トーソルド以外のすべてのロイリー一家が顔を揃えている。
「昨日トーソルド様が屋敷にお帰りになられ、テューリン様が連れ帰られたと伺いました」
「ああ。・・・実は三ヶ月ほど前に辺境騎士団よりトーソルドが大怪我を負ったと連絡が来ていた」
「まっ、まあ!」
アニエラは何も聞かされていなかった。もちろん知ったからと言って、何もできないし、しようとも思わなかっただろうが。
「意識を取り戻したが、背骨を斬られて腰から下が動かせなくなり、騎士としては死んだも同然。退役させ、年金を支払うと騎士団から通達が来ていたのだ」
ジャブリックの言葉に、アニエラは狼狽えた。
「ねえマイルス、何かあったの?」
尋ねると執事は困ったような顔で、渋々と答えるのだ。
「実は本日トーソルド様が一旦ご帰館になられまして」
「ええっ?聞いてないわ」
「はい、私どももでございました」
「いきなり帰ってきたということ?」
「そのとおりでこざいますが、すぐテューリン様とジュール様がお連れになられましたので、あちらには知らされていたのかと・・・」
怪我でもしたのか、抱えられて馬車から降ろされたトーソルドが気になり、言い淀むマイルス。
どういうことなのか訊ねたかったが、マイルス自身も事情がわからないと言われ、考えても仕方ないと、ジャブリックに明朝の訪問を報せて休むことにした。
翌早朝。
アニエラは予定通りジャブリックの元へ出かけて行った。
「お義父様、お義兄様、お義姉様!おはようございます」
「アニエラ、おはよう。早いうちから大変ではなかったか?」
「ええ。気になってしまって、よく眠れませんでした」
ああ、と声が漏れた。
「朝食は食べてきたかね?」
「はい、軽く」
「では応接に入ろう」
トーソルド以外のすべてのロイリー一家が顔を揃えている。
「昨日トーソルド様が屋敷にお帰りになられ、テューリン様が連れ帰られたと伺いました」
「ああ。・・・実は三ヶ月ほど前に辺境騎士団よりトーソルドが大怪我を負ったと連絡が来ていた」
「まっ、まあ!」
アニエラは何も聞かされていなかった。もちろん知ったからと言って、何もできないし、しようとも思わなかっただろうが。
「意識を取り戻したが、背骨を斬られて腰から下が動かせなくなり、騎士としては死んだも同然。退役させ、年金を支払うと騎士団から通達が来ていたのだ」
ジャブリックの言葉に、アニエラは狼狽えた。
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