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第五話「兵機俑」
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宇宙の冷淡さはアールの焦る気持ちを抑えた。ようやく自我を取り戻し全身の震えが治まっていく。そんな中で思い出すシーが乗り込んでいた機体。アールには見覚えがあった。
(僕の星でみたことがある。)
ひとりになることで冴えわたる感覚。アールはなぜ自分が合体ロボのパーツのひとつを構成しているのか疑念が残る。それでも、自分がすべきことに邁進する。神経質な自分には一生平和な世界はやってこないかもしれないから進み続けるのかもしれない。
そんなことを自問自答しながら、自らの星に帰還した。エルと同様に母星の帰還を歓迎するものはいない。それを知りつつアールの機体はこの星を治めていた先代の宰相が眠る墓に向かった。そこには高さ500メートル全長5キロメートルにも及ぶ巨大な墓があった。先の大戦の功労を祝してのことだ。アールにはそれがどれほどのものかを知らない。
その墳墓の内部には兵馬俑の如く1万体ものロボットが埋葬されている。この星の宰相が人々を信用していない末の事である。その人形こそオルガリオンに襲いかかったシーの機械人形であった。
アールは以前ここを忍び込んだ際に彼だけが知っている秘密の覗き穴から広大な敷地を見渡した。そこに眠る夥しい数の人形の中の一体が不気味に動き出した。シーがいる!ハッチが開きパイロットが出てきたところを見計らってアールは行動を開始した。
「コックピットから出ろ!下手に動くとこの墓の天井を打ち抜きロボットごと生き埋めにするぞ。」
敵のパイロットはアールに気づいた目をだらりと舐め回すように見つめる。かつての同志に間違いない。
「久しぶりだな、アール。」
「なぜ、僕らを襲った?今もゲノミー討伐しているなら僕らとて同じのはずだ。」
「わかったんだ!オルガリオンが全てを破壊したことを。父も母も。」
「それがゲノミーが見せたことか?」
「ゲノミーは全てを取り込もうとする生命体。オルガリオンから引き出された全ての過去の記録に触れた。間違えのないヴィジョン。」
「シーよ、君は興奮しすぎている。マシンはその乗り手により天使にも悪魔にもなる。その時、誰が機体を動かしていたかわからないじゃないか。」
「あぁ、おれも罪人さ。だがオルガリオンを降りてわかる。パーツである君の機体を見てもその怒りがわいてしまうことを。」
シーはその怒りでそばの柱を叩いた。すると並んでいた機体のひとつが動き出しアールには銃口を向け火を放つ。
咄嗟にアールはその一撃をかわし自分の機体に乗り込む。
「逃がすか!」
シーの言葉にあわせてすべての兵機俑たちが目を覚ましアール機を追いかける。この墓の主はシーに代わっていた。
アールは機体に負荷をかけて一気に大気圏外に飛び出す。アールの頭にふたたび絶望がよぎった。
(やっぱりパイロットなんかになるんじゃなかった。)
アール機を捕らえようとする先頭のロボット兵が手を伸ばすと突如その手は爆発を起こす。エルたちビヨンド星からの迎えの攻撃だった。
「おかえりアール!」エスからの声がする。それを聞くだけでアールは不安のシガラミから解放される気分だった。
撃ち落とされた機兵に代わってシーの駆る機体がエルたちの前に立ちはだかる。
「エル?忌まわしき3つの機体が揃ったか・・・。」
シーは歯軋りしながらその形相は激しくなっていった。
(僕の星でみたことがある。)
ひとりになることで冴えわたる感覚。アールはなぜ自分が合体ロボのパーツのひとつを構成しているのか疑念が残る。それでも、自分がすべきことに邁進する。神経質な自分には一生平和な世界はやってこないかもしれないから進み続けるのかもしれない。
そんなことを自問自答しながら、自らの星に帰還した。エルと同様に母星の帰還を歓迎するものはいない。それを知りつつアールの機体はこの星を治めていた先代の宰相が眠る墓に向かった。そこには高さ500メートル全長5キロメートルにも及ぶ巨大な墓があった。先の大戦の功労を祝してのことだ。アールにはそれがどれほどのものかを知らない。
その墳墓の内部には兵馬俑の如く1万体ものロボットが埋葬されている。この星の宰相が人々を信用していない末の事である。その人形こそオルガリオンに襲いかかったシーの機械人形であった。
アールは以前ここを忍び込んだ際に彼だけが知っている秘密の覗き穴から広大な敷地を見渡した。そこに眠る夥しい数の人形の中の一体が不気味に動き出した。シーがいる!ハッチが開きパイロットが出てきたところを見計らってアールは行動を開始した。
「コックピットから出ろ!下手に動くとこの墓の天井を打ち抜きロボットごと生き埋めにするぞ。」
敵のパイロットはアールに気づいた目をだらりと舐め回すように見つめる。かつての同志に間違いない。
「久しぶりだな、アール。」
「なぜ、僕らを襲った?今もゲノミー討伐しているなら僕らとて同じのはずだ。」
「わかったんだ!オルガリオンが全てを破壊したことを。父も母も。」
「それがゲノミーが見せたことか?」
「ゲノミーは全てを取り込もうとする生命体。オルガリオンから引き出された全ての過去の記録に触れた。間違えのないヴィジョン。」
「シーよ、君は興奮しすぎている。マシンはその乗り手により天使にも悪魔にもなる。その時、誰が機体を動かしていたかわからないじゃないか。」
「あぁ、おれも罪人さ。だがオルガリオンを降りてわかる。パーツである君の機体を見てもその怒りがわいてしまうことを。」
シーはその怒りでそばの柱を叩いた。すると並んでいた機体のひとつが動き出しアールには銃口を向け火を放つ。
咄嗟にアールはその一撃をかわし自分の機体に乗り込む。
「逃がすか!」
シーの言葉にあわせてすべての兵機俑たちが目を覚ましアール機を追いかける。この墓の主はシーに代わっていた。
アールは機体に負荷をかけて一気に大気圏外に飛び出す。アールの頭にふたたび絶望がよぎった。
(やっぱりパイロットなんかになるんじゃなかった。)
アール機を捕らえようとする先頭のロボット兵が手を伸ばすと突如その手は爆発を起こす。エルたちビヨンド星からの迎えの攻撃だった。
「おかえりアール!」エスからの声がする。それを聞くだけでアールは不安のシガラミから解放される気分だった。
撃ち落とされた機兵に代わってシーの駆る機体がエルたちの前に立ちはだかる。
「エル?忌まわしき3つの機体が揃ったか・・・。」
シーは歯軋りしながらその形相は激しくなっていった。
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