「日本で伴侶を見つけるまで帰ってくるな」と言われた魔王子

いくつになっても中二病

文字の大きさ
6 / 16

第6話 だって……だって……服が!!

しおりを挟む
「今回は訓練だがデュエル形式で戦闘を行って貰う。その方が西園も力を存分に発揮出来るだろう」

「デュエル形式? だと力を発揮出来るのか?」

「デュエル形式だと、どれだけ相手の攻撃を受けても死ぬことはないんだ。この学校の敷地内だけで行える戦闘形式だよ」

ほう、命を賭けない分思う存分にやれるという発想か。
だが、戦闘とは命をかけることで技が研ぎ澄まされていくものだ。

果たして……そんな方法で身につけた力に本物は存在するのか?

まぁいい。それは戦えばわかることだ。

「いくよ、リエン君。デュエル!!」

「で、デュエル」

さっきも思ったが慣れんな。

俺とスミレが宣言したことにより、魔法障壁が展開される。

よくよく目を凝らしてみれば、確かに治癒系の魔法も組み込まれていることがわかる。しかも術者と思われる俺とスミレの魔力は消費していない。

この敷地内限定ということは、どこかに魔力を貯蓄するための仕組みがあるはずだ。

仕組み自体はとても興味深い。設置型の罠魔法に近いな。

おっと、今は戦闘中だ。珍しいものに感心する癖には気をつけよう。

一旦、現状を整理しよう。

まず魔法は使えない。これは親父に禁止されているからだ。
次に魔力だが、魔力に関しての使用は禁止されていない。まぁ魔力の使用を禁止されたら死ぬのと同義だしな。
既にこの世界の魔力の質は理解している。俺でも問題なく扱えるだろう。

あとは肉弾戦か。だがこの訓練の主旨は魔法を使うことだ。

俺が使えなくてもスミレが使う魔法に対してこういう防がれからがあると示した方が身のためになるだろう。

「いつでもいいぞ」

「そう? それじゃ、これはどうかな!」

スミレの右腕に魔力が溜まる。あれは……水属性か? だが様子がおかしい。
右腕には稲妻のような現象が見える。まさか……この世界の魔法では稲妻を生み出せるのか?

稲妻は俺の世界では自然現象としての認識はあるが、魔法としてそれを再現する術はない。

そもそも稲妻は神の魔法だと言われているほどだ。

それがこんなところで拝めることになるとはな……気に入ったぞ。スミレ。

「いくよ!! 雷砲!!」

スミレが右腕を突き出すと同時に稲妻が俺に向かって放たれる。
その速さは光の速度と同等か。来るとわかっていれば回避も不可能ではないが、初見では難しいだろう。タイミングを合わせる必要がある。

これは受ける一択だな。果たして威力は……ほう。

腕で受けてみたが痺れの効果と程よい痛みを感じる。使用された魔力から考えられない威力ではある。

いい魔法だ。あとで教えて貰いたい。

「やっぱりあまりダメージはないみたいだね。お昼のデュエルでわかってはいたんだけどね」

「いや、そうでもないぞ。まさか稲妻を生み出すとはな。魔法の属性は火、風、土、水のみだと思っていたが、日本では稲妻を生み出す魔法があるのか。正直驚いたよ」

「そうなの? 確かに電撃の扱いは少し難しいけどね。静電気を自分で操作しないといけないし。それじゃ、まだまだいくよ!! 落雷!!」

スミレが上空に腕を掲げる。すると俺の上空で魔力のうねりを感じた。遠隔で魔力を操作して任意の場所から魔法を繰り出す技は案外難しい。それを戦闘中に行えるとなると相当な練度だといえる。

この世界の魔力は取るに足らないと感じていたが、それを行使する人間には工夫と努力が垣間見える。

これは評価を改める必要があるな。だが——

「これもダメか。結構威力は強めなんだけどね」

そう。やはり威力が足りない。

俺の世界でこの魔法を行使しても、倒せるやつはほとんどいないだろう。もちろん同じ人間でもだ。

扱っている魔力の質と量が全く違う。そして俺はその中でも上位に君臨するものだ。

この程度の魔法では、生身であと何百回と受けようとも致命的なダメージにはならないだろう。

「見せ物としては十分だが、自身の魔法が全く通用しない相手に対しての策としては甘いな。そこを見極める目は備わっていないか」

「悔しいけどそうみたいだね。それじゃ……私の全力でいくよ。これで倒れなかったらリエン君の勝ちでいいよ」

「そうか。見せてみろ、スミレ」

スミレは全身から魔力を放出する。すると、稲妻が全身を覆い尽くした。

「痛かったらごめんね!! 雷鳴龍豪波!!」

稲妻達がやがて収束し、それが集まって蛇のような形に変化していく。
だがその禍々しさは蛇のそれではない。何かの生物か魔獣をモチーフにしているのだろうか? ニホンには異形の魔獣が存在するようだ。

異形の蛇が膨れ上がり巨大になったところで、牙を剥いて咆哮する。

「グオォォォォオオオオオオオ!!」

魔法の見た目は大事だ。それだけで相手に絶望感を与える要素に成り得る。そういう意味ではこの魔法の評価は高い。

威力も今スミレに出来る精一杯なのだろう。だが——


それでも俺には届かない。


稲妻の異形の蛇が俺を飲み込む。先程までの稲妻とは桁が違う威力だが、俺の皮膚を焼くほどではない。

次第に稲妻の威力が弱まっていき、終わった後には疲弊し下を向くスミレと何事もなかったかのように立っている俺だけが残った。

「嘘……だろ? スミレさんのあの技を受けても立ってるのか?」

「馬鹿いえ!! あいつは何か特殊な防具を身につけてるんだ!! 魔法も使うことなくあの技を受けて立ってられるはずがない!!」

「おい、砂煙でよく見えないけどあいつは……立ってるように見えるぞ?」

「こんなことってあるのか……」

砂煙が薄まっていくと同時に観戦していた者達の声が聞こえて来た。どうやらスミレの技はニホンの常識では相当高位な魔法なのだろう。

実に惜しいな。俺が鍛えたいほど魅力的だ。

「いやぁ~完敗だよ。悔しいけどね……リエン君が言ってたことは嘘じゃなかっ……ってリエン君!!」

顔を上げて俺に話しかけてきたスミレが、突然顔を覆い隠して声を荒げた。

なんだ? 怪我でも負ったのか?

「どうしたんだスミレ。どこか痛めたか?」

「違うの!! こっちに来ないで!! あと、誰かタオル持って来て!!」

どうやら俺に問題があるようだ。観戦者達の方は砂煙が広がっているのでまだ状況が掴めていない。

「何がおかしい。教えてくれスミレ」

「だって……だって……服が!!」

ん? 服? あぁ。焼けて無くなったようだな。
まぁあれだけの魔法だ。俺が持っている下着はともかくこの世界のものでは耐えきれなかったか。

「んなっ!!」

「何してんだお前!!」

「キャーーーー!!」

「おい! 女子は見るな!!」

何を騒いでいる。裸がどうしたというのだ。

「ちょっと待て……お前、その傷の量はなんだ?」

「た、確かに……どんな戦いをして来たらそんな傷だらけの体になるんだよ!? ってその前にタオルだ!! タオル巻け!!」

傷? あぁ。確かに体には傷が多いな。これも全て俺の強さの証だ。

「すごい……体……」

スミレ? 見ないように覆い隠しているみたいだが、実はしっかり見えているだろ? 堂々と見ればいいものを。

ニホンの人間はよくわからないな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

異世界転生した女子高校生は辺境伯令嬢になりましたが

ファンタジー
車に轢かれそうだった少女を庇って死んだ女性主人公、優華は異世界の辺境伯の三女、ミュカナとして転生する。ミュカナはこのスキルや魔法、剣のありふれた異世界で多くの仲間と出会う。そんなミュカナの異世界生活はどうなるのか。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

処理中です...