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第6話 だって……だって……服が!!
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「今回は訓練だがデュエル形式で戦闘を行って貰う。その方が西園も力を存分に発揮出来るだろう」
「デュエル形式? だと力を発揮出来るのか?」
「デュエル形式だと、どれだけ相手の攻撃を受けても死ぬことはないんだ。この学校の敷地内だけで行える戦闘形式だよ」
ほう、命を賭けない分思う存分にやれるという発想か。
だが、戦闘とは命をかけることで技が研ぎ澄まされていくものだ。
果たして……そんな方法で身につけた力に本物は存在するのか?
まぁいい。それは戦えばわかることだ。
「いくよ、リエン君。デュエル!!」
「で、デュエル」
さっきも思ったが慣れんな。
俺とスミレが宣言したことにより、魔法障壁が展開される。
よくよく目を凝らしてみれば、確かに治癒系の魔法も組み込まれていることがわかる。しかも術者と思われる俺とスミレの魔力は消費していない。
この敷地内限定ということは、どこかに魔力を貯蓄するための仕組みがあるはずだ。
仕組み自体はとても興味深い。設置型の罠魔法に近いな。
おっと、今は戦闘中だ。珍しいものに感心する癖には気をつけよう。
一旦、現状を整理しよう。
まず魔法は使えない。これは親父に禁止されているからだ。
次に魔力だが、魔力に関しての使用は禁止されていない。まぁ魔力の使用を禁止されたら死ぬのと同義だしな。
既にこの世界の魔力の質は理解している。俺でも問題なく扱えるだろう。
あとは肉弾戦か。だがこの訓練の主旨は魔法を使うことだ。
俺が使えなくてもスミレが使う魔法に対してこういう防がれからがあると示した方が身のためになるだろう。
「いつでもいいぞ」
「そう? それじゃ、これはどうかな!」
スミレの右腕に魔力が溜まる。あれは……水属性か? だが様子がおかしい。
右腕には稲妻のような現象が見える。まさか……この世界の魔法では稲妻を生み出せるのか?
稲妻は俺の世界では自然現象としての認識はあるが、魔法としてそれを再現する術はない。
そもそも稲妻は神の魔法だと言われているほどだ。
それがこんなところで拝めることになるとはな……気に入ったぞ。スミレ。
「いくよ!! 雷砲!!」
スミレが右腕を突き出すと同時に稲妻が俺に向かって放たれる。
その速さは光の速度と同等か。来るとわかっていれば回避も不可能ではないが、初見では難しいだろう。タイミングを合わせる必要がある。
これは受ける一択だな。果たして威力は……ほう。
腕で受けてみたが痺れの効果と程よい痛みを感じる。使用された魔力から考えられない威力ではある。
いい魔法だ。あとで教えて貰いたい。
「やっぱりあまりダメージはないみたいだね。お昼のデュエルでわかってはいたんだけどね」
「いや、そうでもないぞ。まさか稲妻を生み出すとはな。魔法の属性は火、風、土、水のみだと思っていたが、日本では稲妻を生み出す魔法があるのか。正直驚いたよ」
「そうなの? 確かに電撃の扱いは少し難しいけどね。静電気を自分で操作しないといけないし。それじゃ、まだまだいくよ!! 落雷!!」
スミレが上空に腕を掲げる。すると俺の上空で魔力のうねりを感じた。遠隔で魔力を操作して任意の場所から魔法を繰り出す技は案外難しい。それを戦闘中に行えるとなると相当な練度だといえる。
この世界の魔力は取るに足らないと感じていたが、それを行使する人間には工夫と努力が垣間見える。
これは評価を改める必要があるな。だが——
「これもダメか。結構威力は強めなんだけどね」
そう。やはり威力が足りない。
俺の世界でこの魔法を行使しても、倒せるやつはほとんどいないだろう。もちろん同じ人間でもだ。
扱っている魔力の質と量が全く違う。そして俺はその中でも上位に君臨するものだ。
この程度の魔法では、生身であと何百回と受けようとも致命的なダメージにはならないだろう。
「見せ物としては十分だが、自身の魔法が全く通用しない相手に対しての策としては甘いな。そこを見極める目は備わっていないか」
「悔しいけどそうみたいだね。それじゃ……私の全力でいくよ。これで倒れなかったらリエン君の勝ちでいいよ」
「そうか。見せてみろ、スミレ」
スミレは全身から魔力を放出する。すると、稲妻が全身を覆い尽くした。
「痛かったらごめんね!! 雷鳴龍豪波!!」
稲妻達がやがて収束し、それが集まって蛇のような形に変化していく。
だがその禍々しさは蛇のそれではない。何かの生物か魔獣をモチーフにしているのだろうか? ニホンには異形の魔獣が存在するようだ。
異形の蛇が膨れ上がり巨大になったところで、牙を剥いて咆哮する。
「グオォォォォオオオオオオオ!!」
魔法の見た目は大事だ。それだけで相手に絶望感を与える要素に成り得る。そういう意味ではこの魔法の評価は高い。
威力も今スミレに出来る精一杯なのだろう。だが——
それでも俺には届かない。
稲妻の異形の蛇が俺を飲み込む。先程までの稲妻とは桁が違う威力だが、俺の皮膚を焼くほどではない。
次第に稲妻の威力が弱まっていき、終わった後には疲弊し下を向くスミレと何事もなかったかのように立っている俺だけが残った。
「嘘……だろ? スミレさんのあの技を受けても立ってるのか?」
「馬鹿いえ!! あいつは何か特殊な防具を身につけてるんだ!! 魔法も使うことなくあの技を受けて立ってられるはずがない!!」
「おい、砂煙でよく見えないけどあいつは……立ってるように見えるぞ?」
「こんなことってあるのか……」
砂煙が薄まっていくと同時に観戦していた者達の声が聞こえて来た。どうやらスミレの技はニホンの常識では相当高位な魔法なのだろう。
実に惜しいな。俺が鍛えたいほど魅力的だ。
「いやぁ~完敗だよ。悔しいけどね……リエン君が言ってたことは嘘じゃなかっ……ってリエン君!!」
顔を上げて俺に話しかけてきたスミレが、突然顔を覆い隠して声を荒げた。
なんだ? 怪我でも負ったのか?
「どうしたんだスミレ。どこか痛めたか?」
「違うの!! こっちに来ないで!! あと、誰かタオル持って来て!!」
どうやら俺に問題があるようだ。観戦者達の方は砂煙が広がっているのでまだ状況が掴めていない。
「何がおかしい。教えてくれスミレ」
「だって……だって……服が!!」
ん? 服? あぁ。焼けて無くなったようだな。
まぁあれだけの魔法だ。俺が持っている下着はともかくこの世界のものでは耐えきれなかったか。
「んなっ!!」
「何してんだお前!!」
「キャーーーー!!」
「おい! 女子は見るな!!」
何を騒いでいる。裸がどうしたというのだ。
「ちょっと待て……お前、その傷の量はなんだ?」
「た、確かに……どんな戦いをして来たらそんな傷だらけの体になるんだよ!? ってその前にタオルだ!! タオル巻け!!」
傷? あぁ。確かに体には傷が多いな。これも全て俺の強さの証だ。
「すごい……体……」
スミレ? 見ないように覆い隠しているみたいだが、実はしっかり見えているだろ? 堂々と見ればいいものを。
ニホンの人間はよくわからないな。
「デュエル形式? だと力を発揮出来るのか?」
「デュエル形式だと、どれだけ相手の攻撃を受けても死ぬことはないんだ。この学校の敷地内だけで行える戦闘形式だよ」
ほう、命を賭けない分思う存分にやれるという発想か。
だが、戦闘とは命をかけることで技が研ぎ澄まされていくものだ。
果たして……そんな方法で身につけた力に本物は存在するのか?
まぁいい。それは戦えばわかることだ。
「いくよ、リエン君。デュエル!!」
「で、デュエル」
さっきも思ったが慣れんな。
俺とスミレが宣言したことにより、魔法障壁が展開される。
よくよく目を凝らしてみれば、確かに治癒系の魔法も組み込まれていることがわかる。しかも術者と思われる俺とスミレの魔力は消費していない。
この敷地内限定ということは、どこかに魔力を貯蓄するための仕組みがあるはずだ。
仕組み自体はとても興味深い。設置型の罠魔法に近いな。
おっと、今は戦闘中だ。珍しいものに感心する癖には気をつけよう。
一旦、現状を整理しよう。
まず魔法は使えない。これは親父に禁止されているからだ。
次に魔力だが、魔力に関しての使用は禁止されていない。まぁ魔力の使用を禁止されたら死ぬのと同義だしな。
既にこの世界の魔力の質は理解している。俺でも問題なく扱えるだろう。
あとは肉弾戦か。だがこの訓練の主旨は魔法を使うことだ。
俺が使えなくてもスミレが使う魔法に対してこういう防がれからがあると示した方が身のためになるだろう。
「いつでもいいぞ」
「そう? それじゃ、これはどうかな!」
スミレの右腕に魔力が溜まる。あれは……水属性か? だが様子がおかしい。
右腕には稲妻のような現象が見える。まさか……この世界の魔法では稲妻を生み出せるのか?
稲妻は俺の世界では自然現象としての認識はあるが、魔法としてそれを再現する術はない。
そもそも稲妻は神の魔法だと言われているほどだ。
それがこんなところで拝めることになるとはな……気に入ったぞ。スミレ。
「いくよ!! 雷砲!!」
スミレが右腕を突き出すと同時に稲妻が俺に向かって放たれる。
その速さは光の速度と同等か。来るとわかっていれば回避も不可能ではないが、初見では難しいだろう。タイミングを合わせる必要がある。
これは受ける一択だな。果たして威力は……ほう。
腕で受けてみたが痺れの効果と程よい痛みを感じる。使用された魔力から考えられない威力ではある。
いい魔法だ。あとで教えて貰いたい。
「やっぱりあまりダメージはないみたいだね。お昼のデュエルでわかってはいたんだけどね」
「いや、そうでもないぞ。まさか稲妻を生み出すとはな。魔法の属性は火、風、土、水のみだと思っていたが、日本では稲妻を生み出す魔法があるのか。正直驚いたよ」
「そうなの? 確かに電撃の扱いは少し難しいけどね。静電気を自分で操作しないといけないし。それじゃ、まだまだいくよ!! 落雷!!」
スミレが上空に腕を掲げる。すると俺の上空で魔力のうねりを感じた。遠隔で魔力を操作して任意の場所から魔法を繰り出す技は案外難しい。それを戦闘中に行えるとなると相当な練度だといえる。
この世界の魔力は取るに足らないと感じていたが、それを行使する人間には工夫と努力が垣間見える。
これは評価を改める必要があるな。だが——
「これもダメか。結構威力は強めなんだけどね」
そう。やはり威力が足りない。
俺の世界でこの魔法を行使しても、倒せるやつはほとんどいないだろう。もちろん同じ人間でもだ。
扱っている魔力の質と量が全く違う。そして俺はその中でも上位に君臨するものだ。
この程度の魔法では、生身であと何百回と受けようとも致命的なダメージにはならないだろう。
「見せ物としては十分だが、自身の魔法が全く通用しない相手に対しての策としては甘いな。そこを見極める目は備わっていないか」
「悔しいけどそうみたいだね。それじゃ……私の全力でいくよ。これで倒れなかったらリエン君の勝ちでいいよ」
「そうか。見せてみろ、スミレ」
スミレは全身から魔力を放出する。すると、稲妻が全身を覆い尽くした。
「痛かったらごめんね!! 雷鳴龍豪波!!」
稲妻達がやがて収束し、それが集まって蛇のような形に変化していく。
だがその禍々しさは蛇のそれではない。何かの生物か魔獣をモチーフにしているのだろうか? ニホンには異形の魔獣が存在するようだ。
異形の蛇が膨れ上がり巨大になったところで、牙を剥いて咆哮する。
「グオォォォォオオオオオオオ!!」
魔法の見た目は大事だ。それだけで相手に絶望感を与える要素に成り得る。そういう意味ではこの魔法の評価は高い。
威力も今スミレに出来る精一杯なのだろう。だが——
それでも俺には届かない。
稲妻の異形の蛇が俺を飲み込む。先程までの稲妻とは桁が違う威力だが、俺の皮膚を焼くほどではない。
次第に稲妻の威力が弱まっていき、終わった後には疲弊し下を向くスミレと何事もなかったかのように立っている俺だけが残った。
「嘘……だろ? スミレさんのあの技を受けても立ってるのか?」
「馬鹿いえ!! あいつは何か特殊な防具を身につけてるんだ!! 魔法も使うことなくあの技を受けて立ってられるはずがない!!」
「おい、砂煙でよく見えないけどあいつは……立ってるように見えるぞ?」
「こんなことってあるのか……」
砂煙が薄まっていくと同時に観戦していた者達の声が聞こえて来た。どうやらスミレの技はニホンの常識では相当高位な魔法なのだろう。
実に惜しいな。俺が鍛えたいほど魅力的だ。
「いやぁ~完敗だよ。悔しいけどね……リエン君が言ってたことは嘘じゃなかっ……ってリエン君!!」
顔を上げて俺に話しかけてきたスミレが、突然顔を覆い隠して声を荒げた。
なんだ? 怪我でも負ったのか?
「どうしたんだスミレ。どこか痛めたか?」
「違うの!! こっちに来ないで!! あと、誰かタオル持って来て!!」
どうやら俺に問題があるようだ。観戦者達の方は砂煙が広がっているのでまだ状況が掴めていない。
「何がおかしい。教えてくれスミレ」
「だって……だって……服が!!」
ん? 服? あぁ。焼けて無くなったようだな。
まぁあれだけの魔法だ。俺が持っている下着はともかくこの世界のものでは耐えきれなかったか。
「んなっ!!」
「何してんだお前!!」
「キャーーーー!!」
「おい! 女子は見るな!!」
何を騒いでいる。裸がどうしたというのだ。
「ちょっと待て……お前、その傷の量はなんだ?」
「た、確かに……どんな戦いをして来たらそんな傷だらけの体になるんだよ!? ってその前にタオルだ!! タオル巻け!!」
傷? あぁ。確かに体には傷が多いな。これも全て俺の強さの証だ。
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