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第8話 伴侶候補その4、北城 葵
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「坊っちゃま、家に着きましたぞ」
「だから坊っちゃまはやめろと言っているだろう、ベアル」
マソウロボットケンキュウブでの一時を終えた俺は、ベアルに迎えの連絡をしてガッコウから帰宅したところだった。
グンソウ曰く、ある程度の魔力値が測れないとエネルギーカタによりロボットがジカイするからケイソクキを強化するとのことだ。うむ。全く何がなんだかわからん。まぁ少し時間を要することだけは伝わった。
「それにしてもこのクルマ? も面白い技術だな。朝は気にも留めなかったが興味深い。魔法は使っていないんだろ?」
「そうでございますね。今は魔法で走る車もあるようですが、ガソリンという燃料で走るのが一般的ですよ」
「なるほど。ガッコウでも感じたが、違う星の文化というのは興味深いものが多いな。魔力的には我々の世界には数段落ちるかと思いきや、この世界の住民は知恵でその点を補っている。雷を魔法で生み出したのを見た時は驚いたぞ」
「雷魔法を既にご覧になられましたか。あれは我々の国では神の魔法といわれておりますからね。余談ではありますが、この車を動かす仕組みにも雷が使用されているのですよ」
「何!? 魔力は全く感じないぞ!?」
「それどころかありとあらゆるところで雷が使われております。あの黒い線が見えるでしょう? あれで雷を供給して、雷を動力源として様々なものを動かしているのですよ」
「魔法を使わずに……雷を扱うのか……素晴らしいな。雷の一族ではないか」
「そうでございますね。我々の世界ではエネルギー源は無限に溢れ出る星の魔力で全てを賄っておりますが、この世界には様々なエネルギーとそれの扱い方ががあるのです。一概に魔力が弱いからと侮れない世界ですよ」
「なるほどな。確かにそれは俺も肌で感じたぞ」
家のリビングでベアルとの会話を楽しむ。今は唯一の同族だからこういった話はベアルとしか出来ないな。
「それで坊っちゃま、伴侶候補は見つかりましたか?」
ふっふっふ。聞いて驚けベアル。
「あぁ。もう3人も見つかったぞ!! 1人は伴侶になるのも時間の問題だな! あとの2人は面白そうだという程度だが」
「流石はリエン坊っちゃま。シタン様とは大違いですね」
ん? 何故親父の名前が出てくるんだ。
「どういうことだベアル。親父は関係ないだろ」
「そうですね……夕食の準備をしてきますのでこちらをご覧になってお待ちください」
親父がなんだというんだ。あの野郎……早く戻って今度こそ殴ってやる。
俺はベアルが置いていった【はじめてのにほんご】と書かれた本を開いた。
**************
「では坊っちゃま、有意義な1日をお送りください」
「あぁ、迎えの際は連絡する」
明くる日、ベアルに送ってもらいガッコウへと辿り着いた俺はワクワクしていた。
それは何故か……そう! にほんごを少し覚えたのだ!!
それを披露したくて昨日の夜は眠れなかったぞ。にほんご、奥がふかい!!
これでセンセイの話にも付いていけるはずだ。昨日は書いてあることがさっぱりで何も楽しくなかったからな。
「葵様、お足元にお気をつけください」
「ありがとう黒澤」
ベアルのクルマが見えなくなったところで後ろに止まっていた車から、金色の髪色の女がクルマから出てきた。
ふむ。貴族のような振る舞い、階級の高い住民か?
他の人間達は歩いてガッコウに来ているのに、こいつは俺と同じようにクルマで送って貰っている。そして付き人が頭を下げているということはそういうことだろう。
それにしても長いクルマだ。長いということは多くの人間が乗っているのかと思えば、降りてきたのは女1人だった。
「何か?」
観察していたところで黒い服を身に纏ったクロサワと呼ばれた男に声をかけられる。
「いや、なんでもない」
「要もないのにこちらを見ていると怪しまれますわよ? 編入生さん」
クロサワに手を引かれて車を降りた金髪の女が声をかけて来た。
「そうなのか? すまないな、キコクシジョだから常識には疎いんだ」
「そうですの? であれば今後気をつけるといいですわ」
「そうか。すまないな、アオイ?」
「あら、私のことをご存知でしたの?」
「いや、先程クロサワにそう呼ばれているのを聞いただけだ」
「盗み聞きですの? いい趣味ではありませんわね」
「常に情報を得るのがいけないのか?」
「そうでは御座いませんが……そうですね、無闇にこの国の常識を押し付けるのも良くないでしょう。あまり好ましくは何のでお気をつけください」
ふむ。全くわからん。聞いてはいけない内容ならば聞かれるような状況下で話さなければいいだけだ。聞かれる方が悪い。
「リエンだ。アオイは階級が高い人間なのか?」
「北城 葵ですわ。階級が高い……という表現は正しくはありませんが、どうしてそう思われましたの?」
ホウジョウ アオイか。
「他の人間達は歩いてガッコウに来ているのに、アオイはクルマで来ていたからな」
「それをいうのであればあなたも同じではありませんの?」
「俺は偉いからな」
「ふふ……ユーモアがある方ですのね」
ユーモア? そうだな。俺にはユーモアがある。
「葵様、私はこれで失礼いたします」
「有難う黒澤、気をつけて戻りなさい」
黒澤がクルマに戻り、そのまま走り去っていく。
「リエン、行かないのですか?」
「あぁ。アオイ、綺麗な髪の色だな」
「な、急に何を仰いますの!!」
ん? 日本は黒い髪のものが多いが、金の髪色の人間にはあったことがなかったからな。魔族には金色の髪を持つ者もいるが、こんなに綺麗な金色の髪はなかなかお目にかかれない。そういう意味で誉めたのだが。
「思ったことを言っただけだ」
「全く……有難う御座いますわ」
急に顔を背けるアオイ。髪色に触れられたくなかったか?
それにしても……
あのクロサワと呼ばれた男、俺の世界とは少し違う感じではあったがあれは確実に、
隠の魔力を有しているな。
「だから坊っちゃまはやめろと言っているだろう、ベアル」
マソウロボットケンキュウブでの一時を終えた俺は、ベアルに迎えの連絡をしてガッコウから帰宅したところだった。
グンソウ曰く、ある程度の魔力値が測れないとエネルギーカタによりロボットがジカイするからケイソクキを強化するとのことだ。うむ。全く何がなんだかわからん。まぁ少し時間を要することだけは伝わった。
「それにしてもこのクルマ? も面白い技術だな。朝は気にも留めなかったが興味深い。魔法は使っていないんだろ?」
「そうでございますね。今は魔法で走る車もあるようですが、ガソリンという燃料で走るのが一般的ですよ」
「なるほど。ガッコウでも感じたが、違う星の文化というのは興味深いものが多いな。魔力的には我々の世界には数段落ちるかと思いきや、この世界の住民は知恵でその点を補っている。雷を魔法で生み出したのを見た時は驚いたぞ」
「雷魔法を既にご覧になられましたか。あれは我々の国では神の魔法といわれておりますからね。余談ではありますが、この車を動かす仕組みにも雷が使用されているのですよ」
「何!? 魔力は全く感じないぞ!?」
「それどころかありとあらゆるところで雷が使われております。あの黒い線が見えるでしょう? あれで雷を供給して、雷を動力源として様々なものを動かしているのですよ」
「魔法を使わずに……雷を扱うのか……素晴らしいな。雷の一族ではないか」
「そうでございますね。我々の世界ではエネルギー源は無限に溢れ出る星の魔力で全てを賄っておりますが、この世界には様々なエネルギーとそれの扱い方ががあるのです。一概に魔力が弱いからと侮れない世界ですよ」
「なるほどな。確かにそれは俺も肌で感じたぞ」
家のリビングでベアルとの会話を楽しむ。今は唯一の同族だからこういった話はベアルとしか出来ないな。
「それで坊っちゃま、伴侶候補は見つかりましたか?」
ふっふっふ。聞いて驚けベアル。
「あぁ。もう3人も見つかったぞ!! 1人は伴侶になるのも時間の問題だな! あとの2人は面白そうだという程度だが」
「流石はリエン坊っちゃま。シタン様とは大違いですね」
ん? 何故親父の名前が出てくるんだ。
「どういうことだベアル。親父は関係ないだろ」
「そうですね……夕食の準備をしてきますのでこちらをご覧になってお待ちください」
親父がなんだというんだ。あの野郎……早く戻って今度こそ殴ってやる。
俺はベアルが置いていった【はじめてのにほんご】と書かれた本を開いた。
**************
「では坊っちゃま、有意義な1日をお送りください」
「あぁ、迎えの際は連絡する」
明くる日、ベアルに送ってもらいガッコウへと辿り着いた俺はワクワクしていた。
それは何故か……そう! にほんごを少し覚えたのだ!!
それを披露したくて昨日の夜は眠れなかったぞ。にほんご、奥がふかい!!
これでセンセイの話にも付いていけるはずだ。昨日は書いてあることがさっぱりで何も楽しくなかったからな。
「葵様、お足元にお気をつけください」
「ありがとう黒澤」
ベアルのクルマが見えなくなったところで後ろに止まっていた車から、金色の髪色の女がクルマから出てきた。
ふむ。貴族のような振る舞い、階級の高い住民か?
他の人間達は歩いてガッコウに来ているのに、こいつは俺と同じようにクルマで送って貰っている。そして付き人が頭を下げているということはそういうことだろう。
それにしても長いクルマだ。長いということは多くの人間が乗っているのかと思えば、降りてきたのは女1人だった。
「何か?」
観察していたところで黒い服を身に纏ったクロサワと呼ばれた男に声をかけられる。
「いや、なんでもない」
「要もないのにこちらを見ていると怪しまれますわよ? 編入生さん」
クロサワに手を引かれて車を降りた金髪の女が声をかけて来た。
「そうなのか? すまないな、キコクシジョだから常識には疎いんだ」
「そうですの? であれば今後気をつけるといいですわ」
「そうか。すまないな、アオイ?」
「あら、私のことをご存知でしたの?」
「いや、先程クロサワにそう呼ばれているのを聞いただけだ」
「盗み聞きですの? いい趣味ではありませんわね」
「常に情報を得るのがいけないのか?」
「そうでは御座いませんが……そうですね、無闇にこの国の常識を押し付けるのも良くないでしょう。あまり好ましくは何のでお気をつけください」
ふむ。全くわからん。聞いてはいけない内容ならば聞かれるような状況下で話さなければいいだけだ。聞かれる方が悪い。
「リエンだ。アオイは階級が高い人間なのか?」
「北城 葵ですわ。階級が高い……という表現は正しくはありませんが、どうしてそう思われましたの?」
ホウジョウ アオイか。
「他の人間達は歩いてガッコウに来ているのに、アオイはクルマで来ていたからな」
「それをいうのであればあなたも同じではありませんの?」
「俺は偉いからな」
「ふふ……ユーモアがある方ですのね」
ユーモア? そうだな。俺にはユーモアがある。
「葵様、私はこれで失礼いたします」
「有難う黒澤、気をつけて戻りなさい」
黒澤がクルマに戻り、そのまま走り去っていく。
「リエン、行かないのですか?」
「あぁ。アオイ、綺麗な髪の色だな」
「な、急に何を仰いますの!!」
ん? 日本は黒い髪のものが多いが、金の髪色の人間にはあったことがなかったからな。魔族には金色の髪を持つ者もいるが、こんなに綺麗な金色の髪はなかなかお目にかかれない。そういう意味で誉めたのだが。
「思ったことを言っただけだ」
「全く……有難う御座いますわ」
急に顔を背けるアオイ。髪色に触れられたくなかったか?
それにしても……
あのクロサワと呼ばれた男、俺の世界とは少し違う感じではあったがあれは確実に、
隠の魔力を有しているな。
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