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第10話 バトルロワイヤル
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「よし、それじゃ午後の合同訓練を行う! 今回は1-Aと1-Bの合同訓練だ。既にフルパデュエルは経験しているが新入りがいるからもう一度説明するぞ」
ゴゼンのジュギョウの内容は相変わらず何を言っているのかわからなかった。おかしい。昨日にほんごを学んできたというのに。
ひらがなは覚えたがどうやらニホンではカンジといわれる文字も使っているらしい。ややこしいな。
「各チームは3つのフルパデュエルステージに分かれてもらう。今回はそれぞれのステージに9チームでフルパデュエルを行って貰うぞ。ここまではいいな、リエン」
ん? あぁ。新入りとは俺のことか。
「大丈夫だ」
「よし。戦闘形式は通常のバトルロワイヤルだ。9チームで最後まで一人でも残存していたチームの勝利。フルパデュエルのルールに則りHPを設定してある。全ての攻撃はHPへのダメージへ変換され、HPが無くなると戦闘不能となる仕組みだ」
なるほど。全くわからん。
「あとはチームメイトに聞いてくれ。それでは角ステージへの振り分けを発表する。フルパデュエルステージAには1-AからA班、C班、E班——」
「ソウタロウ、よくわからなかった」
「ん? あぁフルパデュエルのルールか。まぁ一緒にやりながら教えていくから今は深く考えなくて良いぞ」
「そうだね。僕も初めてのときは難しくてわからなかったよ」
そうか。まぁ俺としてもあれこれ説明されるより体で覚えた方が早いから助かる。
**************
「はい、それじゃステージCの班は集合して」
センセイの話があった後、俺とソウタロウとサクはステージシーという建物に移動して来た。
今は周りに俺たちを含めて27人いる。こいつらと競うのか。
その中に一人、見覚えのある女がいる。
トウゴウカエデだ。
母上の面影がある女。彼女の顔から目が離せないでいた。
「リエン、どうした? 楓さんが気になるのか?」
「知っているのかソウタロウ」
「そりゃもちろん。有名人だからな」
「ユウメイジン?」
「有名人はね、ん~と、みんな知っている人って意味だよ!」
なるほど。サクは説明が上手いな。
「何故ユウメイジンなんだ?」
「そりゃ……楓さんがこの学年で一番最強だからだよ」
ほう……スミレよりも強いのか。
「楓さんとフルパデュエルでやるなんてなぁ……俺ら不運だぜ」
「でもリエン君はスミレさんの攻撃を受け切ったよね!」
「サクちゃん、フルパデュエルはHP管理だよ……」
「ちゃんはやめてよ! ってそっか……」
ん? 二人が落ち込んでいる。それほど楓が怖いのか?
「何をそんなに気落ちしているんだ?」
「リエンが打たれ強くても楓さんには敵わないってことを嘆いていたのさ」
「何故?」
「HP管理ってのはね、攻撃の威力を数値化してHPを削っていくから打たれ強さは関係ないんだよね。だからリエン君がいくら打たれ強くてもHPが0になったら戦闘不能になっちゃうんだ」
なるほど。よくわからないが、攻撃を受けなければ良いということだな?
「であれば問題ない。魔法を受けてみたい気持ちはあるが今回は避ければいいのだな」
「受けたいって……マゾかよ……」
「マゾ?」
「知らなくていいよリエン君……」
「お前ら楓さんとやる気か?」
三人で話をしているとき、見知った三人組に声を掛けられる。
昨日俺にデュエルを申し込んできた三人だ。
「まさかそんなわけねぇよな? あまり者の弱小二人に硬いだけが取り柄の外人一人。しかも今回のフルパデュエルに硬さは関係ねぇ!」
「それで楓さんと接敵するまで生き残れると思ってんのか? 脳内お花畑だな!」
「せいぜい最初に倒されないように尻尾巻いて逃げ続けるんだな!」
何を言っているのかはいまいちわからん。だがこちらを蔑んでいるのはわかる。
三人は言いたいことを言ってどこかへ歩いていった。
「っち。なんだあいつら」
「まぁまぁ仕方ないよ……実際楓さんと戦うまで生き残れるかはわからないし……」
「リエンがいればなんとかなるよな! な!?」
なんとかなるか。
曖昧な言葉だ。
俺は魔王子として生まれてそれなりの修羅場を潜って来た。大半は……クソ親父のせいだけどな。その中にはどうにもならないと思われる瞬間ももちろんあった。
それでも俺はなんとかして来た。
なんとかしなければ……死ぬからだ。
自分の命が懸かっているのに、なんとかなるで行動なんて絶対にしない。
全てをなんとかするくらいの気概がなければ、生きていけない。
そういう世界で俺は生き抜いて来た。
であればここで答えるべき答えは——
「"かんたん"だな」
昨日覚えたにほんごがここで役に立つとはな。
ゴゼンのジュギョウの内容は相変わらず何を言っているのかわからなかった。おかしい。昨日にほんごを学んできたというのに。
ひらがなは覚えたがどうやらニホンではカンジといわれる文字も使っているらしい。ややこしいな。
「各チームは3つのフルパデュエルステージに分かれてもらう。今回はそれぞれのステージに9チームでフルパデュエルを行って貰うぞ。ここまではいいな、リエン」
ん? あぁ。新入りとは俺のことか。
「大丈夫だ」
「よし。戦闘形式は通常のバトルロワイヤルだ。9チームで最後まで一人でも残存していたチームの勝利。フルパデュエルのルールに則りHPを設定してある。全ての攻撃はHPへのダメージへ変換され、HPが無くなると戦闘不能となる仕組みだ」
なるほど。全くわからん。
「あとはチームメイトに聞いてくれ。それでは角ステージへの振り分けを発表する。フルパデュエルステージAには1-AからA班、C班、E班——」
「ソウタロウ、よくわからなかった」
「ん? あぁフルパデュエルのルールか。まぁ一緒にやりながら教えていくから今は深く考えなくて良いぞ」
「そうだね。僕も初めてのときは難しくてわからなかったよ」
そうか。まぁ俺としてもあれこれ説明されるより体で覚えた方が早いから助かる。
**************
「はい、それじゃステージCの班は集合して」
センセイの話があった後、俺とソウタロウとサクはステージシーという建物に移動して来た。
今は周りに俺たちを含めて27人いる。こいつらと競うのか。
その中に一人、見覚えのある女がいる。
トウゴウカエデだ。
母上の面影がある女。彼女の顔から目が離せないでいた。
「リエン、どうした? 楓さんが気になるのか?」
「知っているのかソウタロウ」
「そりゃもちろん。有名人だからな」
「ユウメイジン?」
「有名人はね、ん~と、みんな知っている人って意味だよ!」
なるほど。サクは説明が上手いな。
「何故ユウメイジンなんだ?」
「そりゃ……楓さんがこの学年で一番最強だからだよ」
ほう……スミレよりも強いのか。
「楓さんとフルパデュエルでやるなんてなぁ……俺ら不運だぜ」
「でもリエン君はスミレさんの攻撃を受け切ったよね!」
「サクちゃん、フルパデュエルはHP管理だよ……」
「ちゃんはやめてよ! ってそっか……」
ん? 二人が落ち込んでいる。それほど楓が怖いのか?
「何をそんなに気落ちしているんだ?」
「リエンが打たれ強くても楓さんには敵わないってことを嘆いていたのさ」
「何故?」
「HP管理ってのはね、攻撃の威力を数値化してHPを削っていくから打たれ強さは関係ないんだよね。だからリエン君がいくら打たれ強くてもHPが0になったら戦闘不能になっちゃうんだ」
なるほど。よくわからないが、攻撃を受けなければ良いということだな?
「であれば問題ない。魔法を受けてみたい気持ちはあるが今回は避ければいいのだな」
「受けたいって……マゾかよ……」
「マゾ?」
「知らなくていいよリエン君……」
「お前ら楓さんとやる気か?」
三人で話をしているとき、見知った三人組に声を掛けられる。
昨日俺にデュエルを申し込んできた三人だ。
「まさかそんなわけねぇよな? あまり者の弱小二人に硬いだけが取り柄の外人一人。しかも今回のフルパデュエルに硬さは関係ねぇ!」
「それで楓さんと接敵するまで生き残れると思ってんのか? 脳内お花畑だな!」
「せいぜい最初に倒されないように尻尾巻いて逃げ続けるんだな!」
何を言っているのかはいまいちわからん。だがこちらを蔑んでいるのはわかる。
三人は言いたいことを言ってどこかへ歩いていった。
「っち。なんだあいつら」
「まぁまぁ仕方ないよ……実際楓さんと戦うまで生き残れるかはわからないし……」
「リエンがいればなんとかなるよな! な!?」
なんとかなるか。
曖昧な言葉だ。
俺は魔王子として生まれてそれなりの修羅場を潜って来た。大半は……クソ親父のせいだけどな。その中にはどうにもならないと思われる瞬間ももちろんあった。
それでも俺はなんとかして来た。
なんとかしなければ……死ぬからだ。
自分の命が懸かっているのに、なんとかなるで行動なんて絶対にしない。
全てをなんとかするくらいの気概がなければ、生きていけない。
そういう世界で俺は生き抜いて来た。
であればここで答えるべき答えは——
「"かんたん"だな」
昨日覚えたにほんごがここで役に立つとはな。
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