11 / 16
第11話 2人のために魔法を作るか
しおりを挟む
『それではフルパデュエルを開始!!』
「はじまったね」
「そうだな。で、どうする?」
「そうだね……まずは回復アイテムを確保しつつ、エリア内を目指そうか」
ふむ。全くわからん。
「何をすればいいんだ?」
「あぁそうか。リエンにも教えながらやろう。まずはこの腕時計の画面をタップしてくれ」
ソウタロウが自分の腕に巻いてある物に触れると、腕のものから光が発せられ、何かが宙に浮かび上がった。
「これが今回の全体マップで、俺たちが目指すのはこの赤い円で囲まれた場所だ。時間と共に円はどんどん縮んでいくから、制限時間内に円の中にはいらないといけないんだよ」
よくわからないが真似して腕につけた物に触れてみる。するとソウタロウの腕と同じように何かが浮かび上がる。
これは魔道具か? いや、魔力は感じられない。ということは……ニホンのキカイという物だ。キカイは昨日調べたから知っているぞ。
「これにも雷を……すごいな」
「何に感心してるんだ? それよりも急ぐぞ! 早く行かないと円の中に先回りされて俺らが入れなくなる。ラッキーなことに円は近いから接敵しないように進もう」
「接敵しないほうがいいのか?」
「そうだね。僕たちは戦闘力が低いからなるべく身を隠して、他のチームが戦闘が始めたところを狙うしかないんだ。こういうのを漁夫の利って言うんだよ」
ギョフノリ。面白い考え方だな。
俺の世界では真っ向勝負でどちらが強いかを競うのが普通だ。だが勝つためであれば自分の有利な状況で攻めるという考えも理解出来る。
なるほど。いい考えだ。
それにしてもサクは相変わらず説明が上手いな。
「わかった。であれば敵の位置を把握するのが先だな」
「それも大事だけど流石に俺の索敵もそこまで万能じゃないぜ?」
このくらいの範囲であれば……魔力の流れでわかるな。
この空間にある魔力を辿って——
見えた。
「敵がいる位置はこことここ。この付近は3チームだな。あとはここと、ここには2チームだ」
「……マジ?」
「え……どうしてわかるの!?」
ん? どうして?
「どうしてと言われてもな……魔力で探ればわかるだろ?」
「わかんねぇよ!! 魔法か!? 魔法なのか!?」
「こんなものは魔法を使わなくても出来る」
「これが本当なら相当有利だよ!! 相手の位置がわかれば自分たちの安全な場所を選ぶことが出来るしね!!」
何をそんなに驚いているのかわからないが、とりあえず敵の位置は知れた。
「次はどうする。移動か?」
「そうだね! 今のリエン君の情報なら……このルートでこの位置に移動するのが安全だと思う! リエン君は敵的に敵の位置を知らせて欲しいな! 特に敵が僕達側に近づいて来たときはすぐにね!」
「わかった。任せろ」
「うおぉぉ! なんかいける気がしてきたぞ!!」
**************
「ふぅ……本当に接敵せずに辿り着けたね」
「回復アイテムぼちぼち拾ったしな」
「さっきから拾ってたそれはなんだ?」
「あ、これは回復アイテムって言って、減少したHPを復活させることが出来るんだよ」
なるほど。回復魔法と同じで戦闘中に傷を負ったら治療することが出来るということか。面白い仕組みだな。
「それにしても静かだな」
「リエン君の情報が正しければ付近には敵はいないからね」
「ここに来るまでに4チームは戦闘不能になったようだ。この空間から既にいなくなっている」
「マジかよ!! もう半分近くになってたのか!?」
「ちなみに今のチーム状況わかる?」
俺は腕のキカイに触れてマップとやらを出す。
「こことここ、ここは今戦闘中だな。片方は一人欠けているようだ」
「前の戦闘で一人倒されたんだね……本当にわかるんだ……」
「マジで……強すぎじゃねぇかリエン……」
だが問題もある。このままでは最終的に敵を倒すことが出来ない。
まずソウタロウとサクの戦闘力を把握する必要があるな。
「最終的には戦闘を行う必要がある。二人の攻撃手段を教えてくれないか?」
「攻撃? そうだな……初歩的な火球とかは出来るけど遅すぎて当たらないだろうし、威力もHP換算だと10くらいしかダメージを与えられないな」
「僕も同じだね……一応得意なのは風の魔法だけど威力も宗太郎君と変わらないよ」
なるほど。
「ちなみに近接戦闘でダメージは与えられるのか?」
「一応入るけど、近接戦闘のダメージは一律5ダメージに設定されているよ」
5ダメージか。
俺が近接戦闘を本気で行えば、恐らくこの仕組みを壊して直接衝撃を与えることも可能だろうが、それだと相手の命が危ない。
最悪、威力を抑えて近接戦闘で薙ぎ倒すことは可能だが、そうだとしてもこの訓練の趣旨に反する。
3人で戦うということは連携をしろということだ。であれば俺は最前線で相手の意識を俺に向けて、その隙に二人で攻撃をするのが妥当だろう。
その二人の攻撃手段が弱い……であれば——
「わかった。2人のために魔法を作るか」
「はじまったね」
「そうだな。で、どうする?」
「そうだね……まずは回復アイテムを確保しつつ、エリア内を目指そうか」
ふむ。全くわからん。
「何をすればいいんだ?」
「あぁそうか。リエンにも教えながらやろう。まずはこの腕時計の画面をタップしてくれ」
ソウタロウが自分の腕に巻いてある物に触れると、腕のものから光が発せられ、何かが宙に浮かび上がった。
「これが今回の全体マップで、俺たちが目指すのはこの赤い円で囲まれた場所だ。時間と共に円はどんどん縮んでいくから、制限時間内に円の中にはいらないといけないんだよ」
よくわからないが真似して腕につけた物に触れてみる。するとソウタロウの腕と同じように何かが浮かび上がる。
これは魔道具か? いや、魔力は感じられない。ということは……ニホンのキカイという物だ。キカイは昨日調べたから知っているぞ。
「これにも雷を……すごいな」
「何に感心してるんだ? それよりも急ぐぞ! 早く行かないと円の中に先回りされて俺らが入れなくなる。ラッキーなことに円は近いから接敵しないように進もう」
「接敵しないほうがいいのか?」
「そうだね。僕たちは戦闘力が低いからなるべく身を隠して、他のチームが戦闘が始めたところを狙うしかないんだ。こういうのを漁夫の利って言うんだよ」
ギョフノリ。面白い考え方だな。
俺の世界では真っ向勝負でどちらが強いかを競うのが普通だ。だが勝つためであれば自分の有利な状況で攻めるという考えも理解出来る。
なるほど。いい考えだ。
それにしてもサクは相変わらず説明が上手いな。
「わかった。であれば敵の位置を把握するのが先だな」
「それも大事だけど流石に俺の索敵もそこまで万能じゃないぜ?」
このくらいの範囲であれば……魔力の流れでわかるな。
この空間にある魔力を辿って——
見えた。
「敵がいる位置はこことここ。この付近は3チームだな。あとはここと、ここには2チームだ」
「……マジ?」
「え……どうしてわかるの!?」
ん? どうして?
「どうしてと言われてもな……魔力で探ればわかるだろ?」
「わかんねぇよ!! 魔法か!? 魔法なのか!?」
「こんなものは魔法を使わなくても出来る」
「これが本当なら相当有利だよ!! 相手の位置がわかれば自分たちの安全な場所を選ぶことが出来るしね!!」
何をそんなに驚いているのかわからないが、とりあえず敵の位置は知れた。
「次はどうする。移動か?」
「そうだね! 今のリエン君の情報なら……このルートでこの位置に移動するのが安全だと思う! リエン君は敵的に敵の位置を知らせて欲しいな! 特に敵が僕達側に近づいて来たときはすぐにね!」
「わかった。任せろ」
「うおぉぉ! なんかいける気がしてきたぞ!!」
**************
「ふぅ……本当に接敵せずに辿り着けたね」
「回復アイテムぼちぼち拾ったしな」
「さっきから拾ってたそれはなんだ?」
「あ、これは回復アイテムって言って、減少したHPを復活させることが出来るんだよ」
なるほど。回復魔法と同じで戦闘中に傷を負ったら治療することが出来るということか。面白い仕組みだな。
「それにしても静かだな」
「リエン君の情報が正しければ付近には敵はいないからね」
「ここに来るまでに4チームは戦闘不能になったようだ。この空間から既にいなくなっている」
「マジかよ!! もう半分近くになってたのか!?」
「ちなみに今のチーム状況わかる?」
俺は腕のキカイに触れてマップとやらを出す。
「こことここ、ここは今戦闘中だな。片方は一人欠けているようだ」
「前の戦闘で一人倒されたんだね……本当にわかるんだ……」
「マジで……強すぎじゃねぇかリエン……」
だが問題もある。このままでは最終的に敵を倒すことが出来ない。
まずソウタロウとサクの戦闘力を把握する必要があるな。
「最終的には戦闘を行う必要がある。二人の攻撃手段を教えてくれないか?」
「攻撃? そうだな……初歩的な火球とかは出来るけど遅すぎて当たらないだろうし、威力もHP換算だと10くらいしかダメージを与えられないな」
「僕も同じだね……一応得意なのは風の魔法だけど威力も宗太郎君と変わらないよ」
なるほど。
「ちなみに近接戦闘でダメージは与えられるのか?」
「一応入るけど、近接戦闘のダメージは一律5ダメージに設定されているよ」
5ダメージか。
俺が近接戦闘を本気で行えば、恐らくこの仕組みを壊して直接衝撃を与えることも可能だろうが、それだと相手の命が危ない。
最悪、威力を抑えて近接戦闘で薙ぎ倒すことは可能だが、そうだとしてもこの訓練の趣旨に反する。
3人で戦うということは連携をしろということだ。であれば俺は最前線で相手の意識を俺に向けて、その隙に二人で攻撃をするのが妥当だろう。
その二人の攻撃手段が弱い……であれば——
「わかった。2人のために魔法を作るか」
0
あなたにおすすめの小説
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる