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自分の後方で繰り広げられるマナ、アルフレッド、精霊達の会話を聞きながら、イクシオンは真っ直ぐ前だけを見ていた。
遥か彼方にぼんやり見える木立。自分が今、馬で疾走しているこの草原が実は精霊によって作られたなど誰が思うだろう。
というか、精霊の力とは凄いのだな……と、魔法の使えない王子は感心するばかり。そこに何の含みも持たないのが、マナに脳筋と言われた所以だろう。
イクシオンは頭上を仰ぐ。太陽はほぼ真上にきていた。この世界の太陽の動きは地球と同じ。その為、大体の時間が図れる。
「……そろそろ、昼にするか」
イクシオンの呟きは、後ろをついて来ていた全員が聞いていた。
「「……」」
草原のほぼど真ん中。ピクニックシートを広げ、マナがご機嫌な様子でお昼の準備をしている。
ほとんどの食べ物は魔法で作り出しているが、野菜だけは違う。
塔の傍で始めた畑。そこでマナが作った物。見た目は不格好だが、手間暇かけて(魔法で)作り出した野菜だけに味は一級品。甘味に酸味、辛味等お手の物。苦味? ……マナは嫌いらしい。苦味のないピーマンはピーマンというのか? まあ、マナがそれで良いので良い……のかもしれない。
そんな野菜を(魔法で)切り分け、(魔法で作った)パンにはさめて野菜サンドを作る。他にも、たまごサンドにカツサンド、ハムチーズサンド、ツナサンド等々、種類も豊富。
本来は食事などとらなくてもいい精霊達も、マナの食事は美味しいと知っている為、ウキウキしながら自分達用に切り分けられた小型のサンドイッチにかぶりついた。
「マナ、美味しいよ!」
「美味しいにゃ!」
「うまっうまっ」
クーがたまごサンド、ルルーがハムチーズサンド、ドリーがカツサンドを食べながら感想を言ってくる。
いや、うん。何か食べている物がイメージと違うというか、イメージ通りというか?
サーシュはそんな三人を見て恐る恐る野菜サンドに手を伸ばし、パクッと食べた。途端、顔が輝く。
「マナ! 大変美味しいです! 人間の食べ物が美味しいなんて知りませんでした……!」
感動している所申し訳ないが、それ、異世界の食べ物。この世界にもサンドイッチみたいなものは存在するが具は……キイチャイケナイ。
アルフレッドとイクシオンも食べて良いと言われていたので、精霊達に続いて手を伸ばし、自分の世界にあるサンドイッチを思い浮かべながらパクリと口にし。
「美味いっ!」
「凄いです、美味しい!」
地球産食べ物の虜になった瞬間だった。
自分でも食べながら、マナはどうせだからと追加で色々作っていく。残っても、異空間収納魔法で保存しておけば、時間の流れも止まり、状態保存も可能。魔法、マジ便利。
という訳で、似通った素材で出来るパンピザにホットサンド、ハンバーガーと目白押し。人間サイズ&精霊サイズが所狭しと並ぶ。
「むう……こう、甘くない物はないのか?」
ピーナッツバターとジャムのサンドを食べながらイクシオンが呟く。なぜそれをチョイスしたんだとツッコミを入れたくなる激甘サンド。そりゃ、かなりの甘党でもない限り、甘くない物が欲しくなるのは当然。
マナは自分の目の前に置いてあったハンバーガーの中から一つ取り出し、はいと渡す。
「何だ、これは?」
受け取りながらもマジマジと見るイクシオンにマナはあっさり答える。
「甘辛チキンバーガー」
「は? あまから……?」
チリサンド系を渡しても良かったが、まずはこれで様子見。
食べてみれば分かると言われ、イクシオンはガブッと噛みつき。
「美味いっ!」
うん。このセリフしか聞いていない気がする。
「甘さと辛さが絶妙で、この柔らかい肉を引き立てている!」
何のグルメ番組だ!
「だが、もう少し辛くても良いな!」
……辛党だったようだ。ホント、何故ピーナッツバターとジャムのサンドをチョイスしたんだか。
マナはそれなら……と、マナ基準でチョイスしたものをポンポンとイクシオンに渡す。
「うん? ……美味いっ! こっちも! おおおっ! この舌が痺れる感じがまた良いな!」
気に入ったようだ。スパイシーチリサンドに(いつの間にか用意した)激辛カレーパン。ホクホクしながらその辺にあったその二つを自分でキープし始めている。
辛い系統は好みじゃない精霊達。皆が協力して辛い物をイクシオンの前に置き、清々したと言わんばかりの笑顔で好みのサンドイッチを頬張っている。流石です。
ふと、マナは系統の違う『辛い物』を思い出す。
うん。そのうち、ワサビ入りのお寿司をイクシオンに食べさせてみよう。どんな反応するかな。
唐辛子系は大丈夫でも、ワサビはダメって言う人結構いるから、ちょっと楽しみ。
マナがそんな事を考えていると。
「ああ……これは最高ですね。お酒が欲しくなる」
弾んだ声で呟いたのはアルフレッド。マナがそちらを見ると、その手にあったのはイクシオンが眉を顰めたピーナッツバターとジャムのサンド。こっちは甘党&酒好きのようだ。外見、落ち着いた系のイケメンが甘党……しかも激甘系がお好みらしい。
何だこの世界は。見た目と中身が比例しないのが多い気がする。
青系のクールっぽい精霊が世話焼きで、茶系の落ち着いてるように見える精霊がおっちょこちょいのお調子者、黒系の寡黙に見える精霊が結構話し好きで、中性的な正統派(?)イケメン精霊が残念。
濃いんだか薄いんだか分からない面子である。
「マナ! マナ!」
ある程度食べ終わって満足したのだろう。クーがマナのスカートをちょいちょいと引っ張る。
「あの、黒っぽくて、口に入れるとジュワーとかしゅわわ~ってするの飲みたい!」
「あっ! 僕も僕も!」
「私はハチミツ入りのミルクが良いにゃ~」
うん。本当に地球産の物がお気に入りのようだ。
マナは苦笑すると、アイテムボックスに片付けておいた其々の精霊用のカップ&深皿を取り出し、カップにはコーラを、深皿にはハチミツを溶かしたミルクを魔法で注ぐ。
「「わーい! ありがとー!」」
「にゃ~」
こんな時ばかり息の合うクーとドリーがカップを受け取りながら嬉しそうに礼を言い、ルルーがご機嫌な鳴き声を上げる。
……コーラとか、作り方を知らなくてもイメージだけで再現してしまうマナの魔法。この世界の常識からするとチート以外の何物でもない。だからクー達に規格外とか言われるのだが、マナ自身は全く気付いていない。
最も、こういう飲食系のチートはクー達にとってありがたいものらしく、これに関しては規格外と言われた事がないのもマナが気付かない理由の一つではあるが。
美味しそうに得体の知れない飲み物を口にしながら「しゅわわ~」とか「ぱちぱち~」とかご機嫌な精霊達を見遣り、イクシオン、アルフレッド、サーシュが其々首を傾げる。
その擬音は何だ? 黒い液体なんて怪し気な物をよく口に出来るものだ。
目は口程に物を言う。
そんな三人の様子にマナは更に苦笑し、魔法でカップを三つ――ご丁寧に金、こげ茶、白銀と髪の色に合わせている――を作り、その中にコーラを注ぎ手渡した。
「物は試し。飲んでみれば?」
三人はカップを受け取り覗き込む。
中には黒い液体。しかも、何故か泡が表面に浮かんだと思うと弾けている。
マナが出してくれたサンドイッチは美味しかった。だが、これは大丈夫なのだろうか。毒は……まあ、マナの魔法の力があれば、わざわざ毒殺なんてせずにサクッとヤれちゃうだろうからそんな心配はいらないだろうが。
恐る恐る、三人はクーとドリーを見る。二人は既に飲み終わり、おかわりをマナにねだっていた。
……うん……元気いっぱいだ。害はなさそうだ。
おかわりに口をつけるクーとドリーに勇気付けられ、イクシオン、アルフレッド、サーシュの三人は怖々一口、飲み。
「――――っ!?」
「!!」
「おふっ!?」
サーシュの妙な声は置いといて。
一口飲んだ途端、三人とも目を見開き、黒い液体を凝視する。
「マナ……これは、何て飲み物だ?」
「うん? コーラ」
イクシオンの疑問にマナはあっさり答え。
三人がカップの中身をジッと見詰めながら「コーラ……」と呟くのを聞き、マナは笑いを堪える。
この反応。以前、クー達に飲ませた時と全く同じだ。
――地球産の飲食物に全員が白旗を上げた瞬間だった。
そんな、なんとも平和な昼食の風景が繰り広げられる半径100メートルくらいの円の外側。
のんきな人間を襲おうと近付いてきた魔物なんかがマナの魔法による結界にぶつかり消えていく。
それにツッコミを入れる者は、既にいない。
遥か彼方にぼんやり見える木立。自分が今、馬で疾走しているこの草原が実は精霊によって作られたなど誰が思うだろう。
というか、精霊の力とは凄いのだな……と、魔法の使えない王子は感心するばかり。そこに何の含みも持たないのが、マナに脳筋と言われた所以だろう。
イクシオンは頭上を仰ぐ。太陽はほぼ真上にきていた。この世界の太陽の動きは地球と同じ。その為、大体の時間が図れる。
「……そろそろ、昼にするか」
イクシオンの呟きは、後ろをついて来ていた全員が聞いていた。
「「……」」
草原のほぼど真ん中。ピクニックシートを広げ、マナがご機嫌な様子でお昼の準備をしている。
ほとんどの食べ物は魔法で作り出しているが、野菜だけは違う。
塔の傍で始めた畑。そこでマナが作った物。見た目は不格好だが、手間暇かけて(魔法で)作り出した野菜だけに味は一級品。甘味に酸味、辛味等お手の物。苦味? ……マナは嫌いらしい。苦味のないピーマンはピーマンというのか? まあ、マナがそれで良いので良い……のかもしれない。
そんな野菜を(魔法で)切り分け、(魔法で作った)パンにはさめて野菜サンドを作る。他にも、たまごサンドにカツサンド、ハムチーズサンド、ツナサンド等々、種類も豊富。
本来は食事などとらなくてもいい精霊達も、マナの食事は美味しいと知っている為、ウキウキしながら自分達用に切り分けられた小型のサンドイッチにかぶりついた。
「マナ、美味しいよ!」
「美味しいにゃ!」
「うまっうまっ」
クーがたまごサンド、ルルーがハムチーズサンド、ドリーがカツサンドを食べながら感想を言ってくる。
いや、うん。何か食べている物がイメージと違うというか、イメージ通りというか?
サーシュはそんな三人を見て恐る恐る野菜サンドに手を伸ばし、パクッと食べた。途端、顔が輝く。
「マナ! 大変美味しいです! 人間の食べ物が美味しいなんて知りませんでした……!」
感動している所申し訳ないが、それ、異世界の食べ物。この世界にもサンドイッチみたいなものは存在するが具は……キイチャイケナイ。
アルフレッドとイクシオンも食べて良いと言われていたので、精霊達に続いて手を伸ばし、自分の世界にあるサンドイッチを思い浮かべながらパクリと口にし。
「美味いっ!」
「凄いです、美味しい!」
地球産食べ物の虜になった瞬間だった。
自分でも食べながら、マナはどうせだからと追加で色々作っていく。残っても、異空間収納魔法で保存しておけば、時間の流れも止まり、状態保存も可能。魔法、マジ便利。
という訳で、似通った素材で出来るパンピザにホットサンド、ハンバーガーと目白押し。人間サイズ&精霊サイズが所狭しと並ぶ。
「むう……こう、甘くない物はないのか?」
ピーナッツバターとジャムのサンドを食べながらイクシオンが呟く。なぜそれをチョイスしたんだとツッコミを入れたくなる激甘サンド。そりゃ、かなりの甘党でもない限り、甘くない物が欲しくなるのは当然。
マナは自分の目の前に置いてあったハンバーガーの中から一つ取り出し、はいと渡す。
「何だ、これは?」
受け取りながらもマジマジと見るイクシオンにマナはあっさり答える。
「甘辛チキンバーガー」
「は? あまから……?」
チリサンド系を渡しても良かったが、まずはこれで様子見。
食べてみれば分かると言われ、イクシオンはガブッと噛みつき。
「美味いっ!」
うん。このセリフしか聞いていない気がする。
「甘さと辛さが絶妙で、この柔らかい肉を引き立てている!」
何のグルメ番組だ!
「だが、もう少し辛くても良いな!」
……辛党だったようだ。ホント、何故ピーナッツバターとジャムのサンドをチョイスしたんだか。
マナはそれなら……と、マナ基準でチョイスしたものをポンポンとイクシオンに渡す。
「うん? ……美味いっ! こっちも! おおおっ! この舌が痺れる感じがまた良いな!」
気に入ったようだ。スパイシーチリサンドに(いつの間にか用意した)激辛カレーパン。ホクホクしながらその辺にあったその二つを自分でキープし始めている。
辛い系統は好みじゃない精霊達。皆が協力して辛い物をイクシオンの前に置き、清々したと言わんばかりの笑顔で好みのサンドイッチを頬張っている。流石です。
ふと、マナは系統の違う『辛い物』を思い出す。
うん。そのうち、ワサビ入りのお寿司をイクシオンに食べさせてみよう。どんな反応するかな。
唐辛子系は大丈夫でも、ワサビはダメって言う人結構いるから、ちょっと楽しみ。
マナがそんな事を考えていると。
「ああ……これは最高ですね。お酒が欲しくなる」
弾んだ声で呟いたのはアルフレッド。マナがそちらを見ると、その手にあったのはイクシオンが眉を顰めたピーナッツバターとジャムのサンド。こっちは甘党&酒好きのようだ。外見、落ち着いた系のイケメンが甘党……しかも激甘系がお好みらしい。
何だこの世界は。見た目と中身が比例しないのが多い気がする。
青系のクールっぽい精霊が世話焼きで、茶系の落ち着いてるように見える精霊がおっちょこちょいのお調子者、黒系の寡黙に見える精霊が結構話し好きで、中性的な正統派(?)イケメン精霊が残念。
濃いんだか薄いんだか分からない面子である。
「マナ! マナ!」
ある程度食べ終わって満足したのだろう。クーがマナのスカートをちょいちょいと引っ張る。
「あの、黒っぽくて、口に入れるとジュワーとかしゅわわ~ってするの飲みたい!」
「あっ! 僕も僕も!」
「私はハチミツ入りのミルクが良いにゃ~」
うん。本当に地球産の物がお気に入りのようだ。
マナは苦笑すると、アイテムボックスに片付けておいた其々の精霊用のカップ&深皿を取り出し、カップにはコーラを、深皿にはハチミツを溶かしたミルクを魔法で注ぐ。
「「わーい! ありがとー!」」
「にゃ~」
こんな時ばかり息の合うクーとドリーがカップを受け取りながら嬉しそうに礼を言い、ルルーがご機嫌な鳴き声を上げる。
……コーラとか、作り方を知らなくてもイメージだけで再現してしまうマナの魔法。この世界の常識からするとチート以外の何物でもない。だからクー達に規格外とか言われるのだが、マナ自身は全く気付いていない。
最も、こういう飲食系のチートはクー達にとってありがたいものらしく、これに関しては規格外と言われた事がないのもマナが気付かない理由の一つではあるが。
美味しそうに得体の知れない飲み物を口にしながら「しゅわわ~」とか「ぱちぱち~」とかご機嫌な精霊達を見遣り、イクシオン、アルフレッド、サーシュが其々首を傾げる。
その擬音は何だ? 黒い液体なんて怪し気な物をよく口に出来るものだ。
目は口程に物を言う。
そんな三人の様子にマナは更に苦笑し、魔法でカップを三つ――ご丁寧に金、こげ茶、白銀と髪の色に合わせている――を作り、その中にコーラを注ぎ手渡した。
「物は試し。飲んでみれば?」
三人はカップを受け取り覗き込む。
中には黒い液体。しかも、何故か泡が表面に浮かんだと思うと弾けている。
マナが出してくれたサンドイッチは美味しかった。だが、これは大丈夫なのだろうか。毒は……まあ、マナの魔法の力があれば、わざわざ毒殺なんてせずにサクッとヤれちゃうだろうからそんな心配はいらないだろうが。
恐る恐る、三人はクーとドリーを見る。二人は既に飲み終わり、おかわりをマナにねだっていた。
……うん……元気いっぱいだ。害はなさそうだ。
おかわりに口をつけるクーとドリーに勇気付けられ、イクシオン、アルフレッド、サーシュの三人は怖々一口、飲み。
「――――っ!?」
「!!」
「おふっ!?」
サーシュの妙な声は置いといて。
一口飲んだ途端、三人とも目を見開き、黒い液体を凝視する。
「マナ……これは、何て飲み物だ?」
「うん? コーラ」
イクシオンの疑問にマナはあっさり答え。
三人がカップの中身をジッと見詰めながら「コーラ……」と呟くのを聞き、マナは笑いを堪える。
この反応。以前、クー達に飲ませた時と全く同じだ。
――地球産の飲食物に全員が白旗を上げた瞬間だった。
そんな、なんとも平和な昼食の風景が繰り広げられる半径100メートルくらいの円の外側。
のんきな人間を襲おうと近付いてきた魔物なんかがマナの魔法による結界にぶつかり消えていく。
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