君に触れたい

むらさきおいも

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1話 体を貼るお仕事

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「んぁっ、あっ…紫雨しぐれさんっ、あかんてっ」

大樹たいきっ、悪ぃな…ちょっと我慢してっ…」


今回の作品は結構ハードだ。
大樹には悪いが、ちょっと辛抱してもらわなければならない。

作品を書くにあたり、どうしてもリアルな描写が必要となる時は、実際どうなるのか試してみなければならない…

いわゆる実験体だ。

もちろん、人に聞く事もあるけどこの場合、実体験が一番の近道なのである。

その為、長年俺の担当をしてもらってる大樹に、こうして相手をしてもらう事がたまにあるのだ。


「ふ…あっ、なんこれっ、中でっ…グリグリ暴れて…っ」

「ほぉ…グリグリね、あとは?」

「結構っ…奥までっ、あぁっ…もっ、いややっ!あんかんてぇ…っ!」

「う~ん…まぁ、こんくらいでいっか…」


涙目で訴えてくる大樹に免じて、仕方なく玩具の電源を切ると、今度は挑発的な表情で睨みつけてくるが、全くもって凄みの欠片も無い。

大樹はまぁそれなりに可愛いヤツでもあるから、実験体とは言えこちらも悪い気はしない。


「はぁっ…はぁっ…やりすぎや!あほっ…!」

「悪ぃ悪ぃ、後で飯奢るから」

「ご飯だけで済ませる気ぃかいな!俺のこの中途半端に疼いた身体どないしてくれんねん…っ!」

「ん?…なぁに?欲しいのぉ?」

「…言わんでもわかるやろ…っ、はよ奥…入れてやっ…」

「はいは~いっ、分かりましたよっ…」


こんなふざけた日々を送っている俺だが、実は【愛する人と触れ合う事で痛みを感じる】という、特殊な体質を持っている為、愛する人と交わる事が出来ないのだ。

その症状が始まったのは、俺がまだ小学校低学年くらいの時のこと…

大好きな女の子と手を繋ぐ事は愚か、少し触れられるだけでも電気が走ったような痛みに襲われ、自分が触れた箇所さえも痛む事を不思議に思った俺は、何度も何度も母に相談した。

だけどそんな事理解してもらえる訳もなく、わざとやってるのか?と問い詰められ挙句には、いい加減にして!と怒鳴られ、いつしか母親はそんな原因不明のこの症状のせいで気がおかしくなってしまって、俺を捨てて家を出て行った。

身内にさえ理解して貰えない俺は、自暴自棄になり、好きだったはずの相手の女子にまできつく当たってしまって、問題になった事もあった。

それからも何度か人を好きになった事はあったけど、その度にこの症状に悩まされた俺は、多感な思春期も人を好きになる事を恐れ、まともな恋愛もせずその場限りのプラトニックな関係の女を相手にして欲求を満たし、適当にやり過ごしてきたのだ。

そのおかげと言ったら何だけど、経験だけは豊富で、恋愛には至らないであろう男を相手にする事も暫しあった訳で、この様々な経験を元に、官能小説とやらを書いてみたらなかなかセンスがあったのか、いつの間にか人気作家となってしまい、今や悠々自適に小説家として日々を過ごしている次第である。

そして俺の前で四つん這いになり喘いでいるこの男だが、この男は俺の小説を扱ってくれている出版者の人間で、長年俺の担当をしてくれている関西出身の大樹たいき
この特殊体質を理解している一人だ。

この歳にもなれば、一度位は全てを受け入れてくれた人と結婚なんかを考えた事もあった訳だけど、それも結局上手くは行かずその人とのやり取りの中で大樹は、俺のこの異様な体質が嘘じゃない事を目の当たりにしている。

その時は驚きながらも一生懸命俺を慰めてくれたっけな…

もちろん俺は、大樹に対して恋愛感情がある訳ではないので、痛みは全く感じないし寧ろ気持ちがいいくらいだ。

そしてこうして都合よく俺の相手を買って出てくれたりする、かなりの変わり者だがとっても優しい男だ。


「あっ、紫雨さんっ…もっ、あかんっ…」

「えっ、もうっ…?俺まだっ…」

「ぅっ…んっ、もっ…俺あかん…イクッ!」

「あーあ…出ちゃった…けどまだだかんね?」


浅い呼吸で顔を真っ赤にしながらこっちを睨みつける大樹のお尻を、グイッと両手で広げると、最奥めがけて根元までグンっと押し込んでやった。


「あぁっ!!らめっ!紫雨さんッッ!!」 

「はぁっ、あぁっ…ビクビクしてんのっ、気持ちいっ…」

「あぁあッッ!イクッッ、またイクッッ…」

「んっ…ヤバいっ、、俺もイクッ!」


大樹の先っぽからドクドクと欲が溢れ出すと、俺も同時に大樹の中に欲を吐き出し力尽き、二人してその場にうつ伏せで倒れ込んだ。


「おーい…大丈夫か?」

「大丈夫なわけあらへん…ヤリ過ぎやて…」

「欲しいって言ったの大樹だろ?」

「んぅ…まぁええわ。今日はもうシャワー浴びて出版社戻るわぁ…その代わり残りちゃんと書いてな?」

「はーい♡」


腰を抑えながらのんびりと風呂場に向かう大樹を見送ると、俺ははだけた着物を纏い机に向かい、また筆を動かし始めた。
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