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少しづつ深まる関係②
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そして、気がつけばもう夕方…
カーテンの隙間から西日が差し込めば、いよいよタイムリミットが迫っているようでとても名残惜しい。
俺の腕の中でスヤスヤと眠る将吾を起こしてしまうのは勿体ないが、そろそろ限界だ。
「将吾…」
「…んぅ」
「そろそろ帰ろ?」
「…あれ…俺……あっ////」
寝ぼけ眼で俺と目が合った瞬間、先程の情事を思い出したのか、耳まで真っ赤にして慌てて俺から離れようとするから、危なっかしくて立ち上がり将吾の腕を掴み再び引き寄せた。
「急に立ち上がったら危ないって…」
「…っ、大丈夫だって///」
俺から視線を逸らし掴んだ俺の手をそっと解くと、将吾は俺に背を向けてボソッと呟いた。
「加野っち…」
「ん?」
「俺の事…好き?」
「えっ?」
「キス…してって言ったから…しただけだよね?」
「あ、いや…」
そりゃしてって言われたらしたし、好きか嫌いかで言えばもちろん好きだ。
いや、むしろ俺は間違いなく将吾が好きだ…
だけど相手は生徒…
今更私情を挟んじゃいけないような気がして、でも嘘はつきたくなくて言葉を選ぶ。
「…好きだよ。俺の可愛い生徒だもん」
「…っ、そういうんじゃなくて」
「ごめん…俺な、生徒とはそういう関係にならないって決めてるの」
「…っ、じゃあなんで…っ」
そう言いかけて振り返った将吾はまた涙を浮かべてて、俺は自分自身が本当に嫌になる。
最低で卑怯で自分勝手で臆病で傷つくのが怖くて、それでも欲しくて…
マジでクズじゃん…
はぁ…っと己の不甲斐なさを溜息に漏らすと、それを自分への物だと勘違いしたのか、将吾がまた俺に背を向けてカバンを掴み出て行こうとするから、俺はその鞄を掴み将吾の足を止めた。
「帰るっ…もう来ない…っ!」
「待って!来てよっ!来て欲しい…頼む…っ、お願いだから…っ」
こんなの完全に俺のわがままだ。
受け入れられないと言いながら、それでも離れたくはなくて離したくなくて、後ろから将吾を抱きしめながら、ここに来てもらう為の口実を必死に考える。
「またさ?前みたいに具合悪くなったら困るし、毎日健康観察するから。だからちゃんと来て?…頼むから…な?」
「んだよそれ…」
「心配だし…将吾が来ないと寂しいじゃん…っ」
これが今できる俺なりの精一杯の誠意であり、愛情表現。
特別な関係にはなれなくても、離れて行ったりはしないで欲しい。
そう思って抱きしめた腕に力を込めた。
すると観念したのか、将吾の手が俺の腕をギュッとつかんだ。
「んぅ…わかったよ…」
「ありがと…」
「その代わり…また、して…くれる…?」
その言葉が衝撃過ぎて、冷静を装いながらも心臓が口から飛び出るかと思った。
振り返った将吾と目が合うと、期待と不安を纏って揺れる潤んだ瞳が俺を捉えて離さない…
出会った時から可愛くて、どっか儚くてほっとけないやつではあったけど、やっぱりこんな感情…初めてかもしんない。
「あぁ…そうだな」
そう言って頭を撫でてやると、やっとニコッと笑ってくれたから、また将吾の背中にもたれながら抱きしめた。
でも、マジで本気にならないように気をつけなきゃ。
将吾を傷つけないためにも―――
カーテンの隙間から西日が差し込めば、いよいよタイムリミットが迫っているようでとても名残惜しい。
俺の腕の中でスヤスヤと眠る将吾を起こしてしまうのは勿体ないが、そろそろ限界だ。
「将吾…」
「…んぅ」
「そろそろ帰ろ?」
「…あれ…俺……あっ////」
寝ぼけ眼で俺と目が合った瞬間、先程の情事を思い出したのか、耳まで真っ赤にして慌てて俺から離れようとするから、危なっかしくて立ち上がり将吾の腕を掴み再び引き寄せた。
「急に立ち上がったら危ないって…」
「…っ、大丈夫だって///」
俺から視線を逸らし掴んだ俺の手をそっと解くと、将吾は俺に背を向けてボソッと呟いた。
「加野っち…」
「ん?」
「俺の事…好き?」
「えっ?」
「キス…してって言ったから…しただけだよね?」
「あ、いや…」
そりゃしてって言われたらしたし、好きか嫌いかで言えばもちろん好きだ。
いや、むしろ俺は間違いなく将吾が好きだ…
だけど相手は生徒…
今更私情を挟んじゃいけないような気がして、でも嘘はつきたくなくて言葉を選ぶ。
「…好きだよ。俺の可愛い生徒だもん」
「…っ、そういうんじゃなくて」
「ごめん…俺な、生徒とはそういう関係にならないって決めてるの」
「…っ、じゃあなんで…っ」
そう言いかけて振り返った将吾はまた涙を浮かべてて、俺は自分自身が本当に嫌になる。
最低で卑怯で自分勝手で臆病で傷つくのが怖くて、それでも欲しくて…
マジでクズじゃん…
はぁ…っと己の不甲斐なさを溜息に漏らすと、それを自分への物だと勘違いしたのか、将吾がまた俺に背を向けてカバンを掴み出て行こうとするから、俺はその鞄を掴み将吾の足を止めた。
「帰るっ…もう来ない…っ!」
「待って!来てよっ!来て欲しい…頼む…っ、お願いだから…っ」
こんなの完全に俺のわがままだ。
受け入れられないと言いながら、それでも離れたくはなくて離したくなくて、後ろから将吾を抱きしめながら、ここに来てもらう為の口実を必死に考える。
「またさ?前みたいに具合悪くなったら困るし、毎日健康観察するから。だからちゃんと来て?…頼むから…な?」
「んだよそれ…」
「心配だし…将吾が来ないと寂しいじゃん…っ」
これが今できる俺なりの精一杯の誠意であり、愛情表現。
特別な関係にはなれなくても、離れて行ったりはしないで欲しい。
そう思って抱きしめた腕に力を込めた。
すると観念したのか、将吾の手が俺の腕をギュッとつかんだ。
「んぅ…わかったよ…」
「ありがと…」
「その代わり…また、して…くれる…?」
その言葉が衝撃過ぎて、冷静を装いながらも心臓が口から飛び出るかと思った。
振り返った将吾と目が合うと、期待と不安を纏って揺れる潤んだ瞳が俺を捉えて離さない…
出会った時から可愛くて、どっか儚くてほっとけないやつではあったけど、やっぱりこんな感情…初めてかもしんない。
「あぁ…そうだな」
そう言って頭を撫でてやると、やっとニコッと笑ってくれたから、また将吾の背中にもたれながら抱きしめた。
でも、マジで本気にならないように気をつけなきゃ。
将吾を傷つけないためにも―――
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