記憶の欠片

むらさきおいも

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過去の記憶(愛斗)

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この感覚結斗ゆいとにもあるのか?

そう思うとやっぱり何かしらの縁を感じずにはいられなくて、俺は早く夢の話をしたくて仕方なかった。 

だけど会った瞬間にあの話は流石にハードルが高いと思い、ファミレスに着くとまず最初に昔話でもしようと、小さい頃によく遊んだ公園とか小学生の時の話なんかをして盛り上がった。

小学生まではずっと一緒にいたから話題が絶えなくて、懐かしさに時間を忘れて話し込んでしまった。

そして、そろそろ確信をついてみようと俺は現世ではない前世の話を会話の隙に織り交ぜてみた。


「昔よく庭の桜の木の下で遊んだよな?結斗は登って落ちたこともあったっけ?」

「あぁ!でっけぇ桜の木な!登るなって言われてたのにあん時俺、調子乗ってさぁ…ん…?桜の木…なんて…あったっけ?あれ?」


心臓が飛び出るかと思うくらいドキッとして、思わず息を飲んだ。

現世での小さい頃の俺らの家は団地のようなところで、まず庭なんかないし周りに桜の木なんかない。

少なくとも曖昧ながらも同じ記憶を持つってことは、やっぱり結斗があの男の子で間違いないんだろうか…

だとしたら、俺はお前をまた探し出す事が出来たのか?

あの時の約束を守れるのかもしれない。

俺は焦る気持ちを必死に抑えて、ゆっくりと結斗に問いかける。


「結斗さ…桜の木…覚えてるの?」

「う~ん。何か一瞬ぶわって思い出したような気がしたんだけど…やっぱりなんか思い出せない…あったっけ?桜の木…」

「その下にさ、俺らの宝物埋めたんだよ…」

「宝物…?桜の木の下……あ、手紙だ…お互いに当てた手紙!」

「そうっ!そうだよっ!嘘だろ…こんな事って…」

「でも…あれどこ?俺らの家じゃ…ないよな…?」


結斗はまだ何も分かってないような感じで、首を傾げながらジュースを啜る。

小さい頃の事だから、曖昧な記憶だとくらいにしか思ってないんだろう。


「結斗…前世って信じる?」

「前世…?んぅ、あんま興味ねぇな…」

「じゃあ、その記憶が前世の記憶だとしたら?」

「は?んな事あるわけねぇだろ?」

「じゃあなんで俺ら同じ記憶持ってんの?俺らが住んでた家には庭もないし、桜の木なんてなかったよ?」

愛斗まなと…?」

「手紙…覚えててくれたんだね…」

「ねぇ…待って…何の事?前世って何?」


次第に、結斗の表情が曇ってくるのがわかる。

戸惑うのも無理もない、数年振り目の前に現れた幼なじみが前世だの何だのって意味わかんないよな。

だけど、俺はどうしても確かめたくて話を続けた。


「昔よく、夢の話したの覚えてない?」

「うん…何となく」

「俺ら共通して同じような夢見てたよね?

「うん…」

「あれが前世の記憶だったら…?」

「え…嘘だろ…?」

「何か思い当たる節…ない?」


結斗は一瞬、何かを思い出したような表情をした後、少し難しい顔をしながら俯いてしまった。


「ごめん…わかんねぇ…」

「そっか…こっちこそごめん。急に変な事言い出して…また会ってくれる?」

「あぁ…もちろん」

「ありがとう…結斗」


思い出して欲しい…
けれど、思い出したことによって二人の関係が崩れてしまったら…

前世と現世の狭間で、俺の気持ちは複雑に絡まり始めたんだ。
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