十六夜の月

むらさきおいも

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写真のあの子(派手なお兄さん)

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今日は店が暇すぎていつもより早い時間に仕事から帰ってくると、見慣れない男の子が家の扉の前に膝を抱えながら座っていた。

俺に気がついたその子が顔を上げた瞬間、すぐに分かった。

写真のあの子だ―――

敦史あつしの部屋に飾ってあるその写真の男の子は小学生くらいだったけど、確かに面影があって涙袋の下にある2つのホクロで確信した。

その写真を見る度、俺が可愛い可愛い言うからだいぶ警戒されて、過保護な敦史からお前には会わせんっ!なんて娘の父親みたいな事言われてたけど、まさかこんなところで会えるとはな…

とは言えもう高校生くらいだよな?
すっかり大きくなっちゃって…

だけど顔立ちは今でも女の子みたいだし、肌なんて真っ白で綺麗で話し方とかメチャクチャ俺のツボで…

って、ちょっと本当に可愛いじゃん?なんて思ってしまった。
しかも、完全に俺に体を預けウトウトしちゃってさぁ?

知らない人にこんなに懐っこくてこの子大丈夫?と思いながらも満更でもなく、動けないついでに俺はポケットの携帯を取り出して敦史に連絡した。


「もしもーし」

龍士りゅうじ?どうしたの?)

「敦史んとこの可愛い子預かってんだけどさぁ?」

(は?可愛い子?誰の事?)

「あの可愛い男の子よ、例の写真の!」

(例の写真…えっ?斗亜とあの事!?)

「あー名前まではわかんね。もう寝ちゃったんだよね…」

(ちょっ…は?どういう事だよっ…お前っ、まさか誘拐…っ)

「ははっ!いくら俺でもそこまでしねぇわ!敦史に会いに来たんだと。家の前に座ってたんだけど、ずぶ濡れだったから取り敢えず家に入れたのよ」

(あぁ…それは面倒かけたな。ありがとう)

「いいっていいって!取り敢えず明日、そっち連れてくわ」

(うん、頼むわ。にしてもこんな時間に…何で…)


何で?と言われても、俺にも事情なんか分からない訳で…

高校生が終電間際のこんな夜中に荷物抱えて傘もささずに飛び出してきたとなれば、理由はさて置き恐らく…


「詳しくはわかんねぇけど…荷物の量からすると家出か何かじゃん?」

(あぁ…家出か…)

「思い当たる節がおありで?」

(まぁな…)


高校生の家出なんてそんな大したことじゃないと思うが、敦史の感じからするとこれは何かありそうか。

とは言え俺には関係ないし面倒な事には巻き込まれたくないから、とりあえずさっさと引き渡してしまいたいところだ。

可愛いけど…


「ん、じゃあまぁ…そういうことだから、また明日な」

(あ、龍士?)

「ん?」

(くれぐれも手、出さないでくれよ…)

「ちょっ、出すわけねぇだろ!?可愛いったってこいつ男じゃん!」

(お前ならやりかねないだろ…)

「もう、嫌だなぁ敦史くん…人をそんな変態みたいな言い方しないでよぉ」

(変態だろ?)

「んぅ…わかりましたぁ…気をつけまぁす…」


上っ面の返事をして電話を切った後、寄りかかる斗亜くんを起こさないようにそっと抱き抱えると、自分より少し小さくて細くて軽そうに見えた体も、やっぱり流石に男子だし想像してたよりは重たい。

開きっぱなしだった寝室にゆっくりと運んでると、無意識なのか首元にギューッとしがみついてくる。

そしてベットに下ろそうと屈むと何故か全然離れてくれなくて、腰が悲鳴を上げ始めたのでそのまま自分もベットになだれ込んだ。

何これ!?起きてんの?わざと?

まじまじと斗亜くんの顔を覗き込むが起きてる様子はなく、スヤスヤと眠り続けている。

そんな斗亜くんの頬に思わず触れれば、ペロッと唇を舐める仕草にいよいよちょっとヤバいかもって思って、下敷きになった腕を抜いてそっとベットから抜け出した。

あぁ、何だこの子…
思ってたより可愛いすぎる…っ

俺、このままだといつか敦史に殺されるかも!?

ふぅ…と大きくため息をついてシャワーを浴び、変な気を起こさないようにと、その日は仕方なくソファーで眠ることにした。
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