十六夜の月

むらさきおいも

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大人の話し合い

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俺が寝てる間に、俺をどうするか親同士で話し合いが行われ、父さんが俺を引き取る事になったらしい。

結局、母さんは新しい家族を選んだんだ。

俺は父さんも好きだし、あっくんと一緒にいられるならこの結果に文句はないけど、母さんのことは許せない…

そして今後、俺がどこに住むかという話し合いをあっくんと派手なお兄さん、子供好きのお兄さんの3人で今まさに行われているところだ。

俺を引き取るとはいえ父さんの家は病院の上の小さな部屋で、俺が住む余裕なんてないらしい。

となると、この屋敷の空いてる部屋を使う事になるのか…


「こっから学校は?通えそう?」

「うん、平気」

「けどここは、組員の出入りもあるしなぁ…」


あっくん的には、組員の出入りがあるこの家は反対みたいだ。
すると、子供好きのお兄さんから一つ新しい案が出た。


「じゃあ、アパート借りるってのは?」

「一人暮らしって事?」


俺が問いかけると、あっくんはまた腕を組み直し頭を悩ませる。


「それも心配だよなぁ」


決して真っ当とは言えない雰囲気の大人3人だが、俺を囲んで俺の事を考えてくれている。

部屋の隅っこの方で震えてた何者でもなかった俺が、何だか急に世界の中心でもてはやされているようなそんな錯覚に陥る。

みんなが俺の事を考えてくれてる、それが凄く嬉しかった。

そして話がなかなか進まない中、ずっと黙ってた派手なお兄さんが思いついたように声を発した。


「なぁ、だったら俺ん家来ればよくね?」

「えっ、龍士りゅうじんち!?」


驚きを隠せない子供好きのお兄さんと、更に悩むあっくん。


「うーん。龍士の家ねぇ…いいんだけどさぁ」


「なんだよぉ。いい提案じゃん!?なぁ?」


この人といると何だか安心するのは確かで、一緒に住んでみてもいいかなとは思ったが、2人の反応が気になる。

それにほとんど話した事もない赤の他人の家に上がり込み、寝食を共にする事に抵抗がない訳ではない。

でも同じ赤の他人とは言え、あの人達よりはマシなはず。

何かあればあっくんが絶対助けてるれるっていう後ろ盾もある訳だし、俺はこの人の考えに乗ろうと考えた。


「…うん、あっくんが良いって言うなら」

斗亜とあは本当にそれでいいのか?」

「うん。悪い人じゃ無さそうだし…助けてくれたし…」

「まぁ、そうだな。ここから通うよりはマシか…」

「おっ!じゃあ決まりな!今日からよろしく、斗亜!」

「…っ、よろしくお願いします…えっと…」

「俺、三上龍士三上龍士みかみりゅうじ。龍士でいいよ」

「龍士…」

「ふふっ、困った事があったらなんでも言えよ!」

「うん」


ポンポンと頭を撫でられるとなんだか照れくさくて、不思議と凄く暖かい気持ちになった。


「じゃあ龍士、しばらく頼むな」

「任せといてぇ~」

「俺の大事な預かり物だってこと自覚してね。あと(死んでも手は出すなよ?)」

「はいはい、分かってますって!」

「ん?手…?」


龍士の耳元であっくんが放った言葉を、何となくと聞き取ってしまった俺は少し動揺した。

手を出すな…とはどういうことだろう…?
まさか暴力とか!?

優しそうなイメージだから安心しきってたけど、この組にいるくらいだからそういう事もあるのか!?

けどそんな人のところ、あっくんが許すとも思えないし…


「あぁ…いや、こっちの話だから。斗亜は心配しなくても大丈夫、な?」


珍しくあっくんが少し動揺しているように見えたけど、子供好きのお兄さんがすかさずフォローに入った。


「大丈夫だよ、龍士は優しいから」

「…あぁ、ほら、じゃあ握手!」

「う、うん…」


信頼の意味を込めて龍士から差し出された手を握ると意外と細くて綺麗な手で、とてもじゃないけど人を殴る様な手には見えなくて、それはそれはとっても暖かい手だった…
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