十六夜の月

むらさきおいも

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真壁先生が心配(大輝)

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斗亜とあくんが帰った後、強がる真壁まかべさんが心配で、仕事を続ける真壁さんの手を掴んで無理やり椅子に座らせた。


「真壁さん、本当に顔色悪いですよ」

「大丈夫…これくらいなんてことないから…」

「もう…言う事聞かないんだったら最終手段ですからね?」

「えっ、なに…っ」


俺はポケットに手を突っ込み、じっと真壁さん見つめながら携帯を取り出すと、ある所に連絡をした。


「あ、お疲れ様です敦史あつしさん。至急真壁さん引き取ってもらえません?」

「あーっ!大輝たいきっ!何で敦史さん呼ぶの…っ!?」

「だって俺の言う事聞かないんだもん…」


真壁さんはいつも何も言わないけど、時々絶対無理してる。

基本いつも笑ってるけど、ふとした時にため息ついたり寂しそうに視線を下げたまま考え込んでる時もある。

敦史さんに気を使いながら、迷惑かけないようにって顔色伺ってるのも俺は知ってる。

だから具合が悪くても、敦史さんには知られたくないんだよね?

みんなそれぞれ何かしらの事情があってここにいるって事はお互い察してはいるけど、各々の事情なんて殆ど知らない。

真壁さんにもきっと何かしらの事情があるんだろうし、俺で良ければ力になってあげたいって思うけど、恐らくそれを俺が受け入れるにはまだまだ経験値が低すぎるんだろうと、馬鹿な俺でもそれは何となくわかってしまう。

悔しいけれど、真壁さんが唯一頼れるのはきっと、今は敦史さんだけなんだろう…

暫くすると、敦史さんが息切らし部屋に入ってきた。

椅子に座り俯く真壁さんの顔を敦史さんは心配そうに覗き込み、愛おしそうにふらつく身体をそっと支える…


「真壁…!?具合悪いって…」

「敦史さん…っ、大丈夫だから…っ」

「大丈夫じゃないだろ?何で早く言わないの?」


真壁さんもまた、強がっていながらもどことなく安心しているように見えて、敦史さんになら気を許せるんだなぁ…ってほっとした反面、やっぱりちょっと悔しかったりもする。

そんな2人をいつまでも眺めてたって仕方がないので頭を切りかえて、俺はもう一人気にかかっていた奏の様子を見に行く事にした。


「じゃあ、俺ちょっと奏んとこ行きますんで、敦史さん真壁さんの事、よろしくお願いします」

「あぁ、ありがとな。奏の事頼むな」


敦史さんに真壁さんを託して部屋を出ていこうとすると、真壁さんが俺の名前を呼ぶ。


「あっ、大輝…っ」

「ん?」

「ありが…とう…」

「はい。無理しないで下さいね…」
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