十六夜の月

むらさきおいも

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失態と後悔(充彦)

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追ってくる奴らを片っ端から片付けながら、下の連中に現場を任せ斗亜とあを無理やり車に乗せ先に本部に向かう。

俺は龍士りゅうじを連れ出せなかった事が悔しくてたまらなくて、車内でしゃくりあげながら泣く斗亜に声をかけてやる事も出来なかった。

こんな事に巻き込まれて絶対怖かったはずだし、屈辱的だったと思う。

本来なら俺が龍士の代わりに支えてやらなきゃなんないのに、今の俺は全然役に立たない…

本部に着き、立って歩く事もままならない虚ろな斗亜を抱き抱えながら敦史あつしさんの元へ向かえば、敦史さんと真壁まかべさんがが心配そうな顔をして奥から出てきた。


「斗亜っ…」

「あ…くん…」


俺の元を離れ敦史さんに手を伸ばし、崩れ落ちそうになる斗亜を敦史さんが咄嗟に抱き抱える。


「りゅ…っ…龍士が…グスッ…」

「辛かったな…話は後で聞くから。圭吾けいご…」

「うん。斗亜、奥で休もう?」

「あっくんっ!!やだっ!!早く龍士助けてよっ!!早くしないと龍士死んじゃうよぉ…っ!!」


真っ直ぐな斗亜の言葉に心臓が締め付けられた。

俺は龍士を信じるって、龍士は絶対大丈夫だって勝手に思い込もうとして、ずっと自分に言い聞かせてたから。

敦史さんにしがみつき泣きじゃくる斗亜を見てたら、龍士は大丈夫だなんて思えなくなってきて、俺は自分の不甲斐なさが悔しくて拳にグッと力を込めて込み上げてくるものを抑えた。


「斗亜、龍士は絶対助けるから…今は休んで?」

「うぅ…っ…」

「さ、行こう」


敦史さんに説得され、真壁さんに抱き抱えられながら奥の部屋に入って行った斗亜を見送り、俺は今回の全ての失敗を反省すべく、敦史さんに土下座する勢いで一歩下がり膝を着くと、頭を下げるより早くふわっと上から包み込まれた。


「充彦…斗亜の事ありがとう。無理させて悪かったな。」

「…でもっ、俺は…っ!」

「龍士を見捨てていくのは辛かっただろ?」

「…っ、うぅ…っ、敦史さん…っ…」

「龍士は俺にとっても大事な親友だ。次は俺が出る。充彦も少し休め…」

「でもっ…」

「しっかり次に備えておけ」

「…っ、はい…っ」

「根こそぎブッ潰してやる」
 

敦史さんがボソッと呟いたは心底怒りに満ちていて、俺もその言葉と共に拳に力が入ったが、敦史さんが少し震えてるのを感じると、俺は怖くて顔を上げる事が出来なかった。

敦史さんがマジで怒ってる…
こんなこと、今までに一度だってなかった。

俺は自分の失敗を悔やみながら一旦は家に戻ろうとしたが、今すぐにでも龍士を助けに行きたい衝動が抑えられなくて、一人になるのが怖かった…

これ以上、敦史さんや仲間に迷惑はかけられない。
どうか…どうにかこの衝動よ治まれ…っ!
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