十六夜の月

むらさきおいも

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そこには大輝たいきが一人だけ座ってて充彦みつひこはいなかった。

斗亜とあはともかく、龍士りゅうじはまだ目覚めてはいないようで、少し心配しながら様子を伺う。


「大輝、充彦は?」

「外の空気吸ってくるって。結構参ってるみたいだった…」

「そっか…そうだよね」

敦史あつしさんは?」

「うん、さっき目を覚ましたから大丈夫。かなでがついてくれてるし」

「ねぇ、真壁まかべ先生。奏…大丈夫そうだった…?」

「暫く傍にいてあげた方がいいかもね…」

「…俺、奏のとこ行ってくる」


今回の事で少なからず、みんな何かしら心に傷を負った。

大輝が部屋を出てから暫くして、未だに目覚めない龍士の点滴を取り替えていると、僅かに龍士の手に力が入った。


「龍士!?」

「…ん、あ…真壁さん…」

「良かった…このまま目覚まさなかったら、どうしようかと思ってたよ…」

「ごめん…心配かけて…」

「本当だよ。突然いなくなったと思ったら、大怪我して帰ってくるんだもん。斗亜だってずっと心配してたんだから」

「…っ、斗亜は?」

「隣で寝てるよ。輸血したの、斗亜の血。龍士結構やばかったんだから…」

「あ…や、でも俺…っ」

「凄い偶然だよね…二人って本当に結ばれてるんじゃない?もう勝手にどっか行ったりしないでよね」


まだ開ききらない目をめいいっぱい開けて、驚いた表情を見せると照れくさそうに視線を逸らす龍士。

いくら偶然て言ったって、こんなの運命としか思えない。

なのに、こんなにも想い合ってる二人が離れなければならなかったんだろう。

敦史が何とかしてくれたから、龍士がこの組から抜ける事も斗亜から離れる事もしなくて済むんだろうか。


「ねぇ、龍士…どうして組を抜けるなんて事したの?何かあったなら相談してくれても良かったのに…」

「…うん。あん時は俺一人で何とかなると思ったんだ…斗亜は俺が守る、守りたいってカッコつけてさ…結局このザマだよ。ははっ…」

「でも…そもそも、何で斗亜が狙われたの!?」

「俺のせい…アイツが勝手に俺を逆恨みして、俺が行かなければ斗亜に被害が及ぶって脅されてさ。まんまとハメられたよ…結局、斗亜を傷つけた…」

「じゃあ今回のあっちの目的は、個人的な龍士への恨み?」

「まぁ、そういう事。みんなに迷惑かけたくなかったのに、余計心配かけちゃったな…ごめんな」

「そんな事ないっ!龍士はいつも一人で抱えすぎ!もっと周りに迷惑かけていいんだよ!?頼りないかもしれないけど…俺にだって…っ」

「真壁さん…ありがとね。でも俺さ?やっぱ組…抜けようと思うんだよね…」

「えっ!?何で!?解決したじゃない!」

「うん。今回の事は問題は解決したかもしんねぇけどさ、俺がしてきた事もされた事も…何も消せないからさ。斗亜に合わす顔がねぇって言うか…だからもう…」


龍士画像言い終えると、隣のベットから物音がして、俺は慌てて振り返った。
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