十六夜の月

むらさきおいも

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二人きりの部屋(斗亜)

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真壁まかべさんが部屋を出てというもの、お互い手を握りあったまま何も話さず数分が過ぎた。

この無言の時間が、俺らを余計に気まずくさせる。

いい加減手を離した方がいいのか、その前に何か話すべきなのかグルグル考えるけど、貧血気味の脳はそう簡単には働いてくれそうになかった。

だけどふとその白い手に通う青く浮かび上がる血管を見て、ここに俺のも混ざってるんだ…と思ったら龍士りゅうじも俺の一部じゃん!なんて少し勝った気になれた。


「俺の血…入ってるから」

「…あぁ、そうみたいだな」

「だから龍士はもう俺から離れられないからね?」

「そう…なの…?」

「だって俺のだよ?」

「うん、まぁ…そうだけど…」

「俺のが足りなくなったら返して欲しいし…」

「確かに…他にあんまいねぇもんな…」

「それに…俺、住む所無くなっちゃうじゃん。ずっと居ていいって言ったくせに…っ」

「うん…言ったな…」

「約束してよ…どこにも行かないって…っ」


龍士は一度も俺の目を見ることなく、俯いたまま。

こんなに早く離れなきゃいけなくなるなら、こんな感情知らなくて良かったのに…

だったら優しくなんてして欲しくなかった。



「約束できないなら…っ、もう手、離せよっ…」

「ごめん…斗亜とあ…っ」

「さっきからごめんごめんって謝ってばっかじゃんっ!そんなに離れたいなら……っ、え…っ?龍士…!?」


反応の無い龍士の顔を覗き込むと、額にびっしり汗をかき真っ青な顔で浅く息を吐き出し凄く苦しそう。

そして小刻みに手が震えてる事に今更気が付くと、俺は慌てて起き上がり龍士の様子を確かめた。


「龍士!?ねぇ、龍士っ!?」

「…悪ぃ…真壁さん…呼んで…っ」

「どっか痛いの!?龍士!?…っ、真壁さんっ!!真壁さんどこ!?早く来てっ!!」



俺の常軌を逸した大声が届いたのか、真壁さんと充彦みつひこくんが血相を変えて部屋に飛び込んできて、真壁さんは直ぐさま龍士の元に駆け寄った。


「龍士!?大丈夫!?」

「いっ…てぇ…し…っ、苦し…ぃ」

「痛み止めが切れたのかな…ちょっとまってて!とりあえず充彦、龍士をベットに戻してあげて!」

「あ、あぁ…わかった!大丈夫か!?龍士!」


隣のベットに移動する際もこの手は離れず、俺は龍士と一緒に隣のベットまで移動して丸椅子に座った。

龍士は本当に大丈夫なの!?

このまま酷くなっちゃう事なんてないよね!?
真壁さんっ、お願いだよ…

龍士を助けて―――
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