十六夜の月

むらさきおいも

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無事帰宅

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その後、龍士りゅうじは2日間位ずっとベットの上で痛みに悶えてて、見てるこっちが辛くなるくらい可愛そうで仕方なかった。

龍士自身も余りにも辛いのか、組を辞めるとかここから出て行くなんて事は考えなくなったみたいで、挙句、俺にそばにいてくれとまで言い出した。

言われなくたって俺は龍士のそばにいるよ…
これからは、俺が龍士を守るんだからっ。

そして、真壁まかべさんの献身的な介抱のかいもあり、龍士もやっと家に戻れることになって、俺と龍士は久しぶりに二人であの家に戻ることになった。


「ただいまぁ~」

「ただいま…」

「はぁ…帰ってきたぁ」

「自分が出て行ったくせに…」


ぼそぼそっと嫌味を吐き出してみれば、気まずそうに頭をポリポリと掻く龍士。

もうこの事に関してはほとぼりも冷めたし、本気で怒ってるなんて事は無いんだけど、何かまだ言い足りなくてついつい言いたくなってしまう。

しょんぼりとしたままソファーに座った龍士の隣に俺も座り、ちらっと様子を伺えばバッチリと目が合い急に心臓が跳ね上がった。

今、ここには龍士と俺、二人きり…

そして思い出されるのは、龍士がいなくなった前日の夜の出来事。

あの日は何だか嫌な予感しかしなくて龍士に触れていたくて、あわよくば本当にどうにかなってもいいとさえ思ったんだ。


「龍士…」

「あ、えっと…なんか飲む?」

「いらない」

「そっか…じゃあ…っ」

「ねぇ」

「ん?」


俺から目を逸らし立上がろうとした龍士の腕を掴み、こっちを向かせるとそっと唇を重ね、そして離れないようにぎゅっとしがみついた。


「…っ、ちょっ///」

「もう離れないでよ」

「…う、ん」


龍士の腕が俺の背中に回りそっと抱きしめられると、安心して眠くなってくる。

ずっとこんな日が続けばいいのに―――


「龍士」

「ん?」

「今日一緒に寝たい」

「えっ!?一緒に!?///」

「だめ…?」

「だ、ダメじゃねぇけど…っ、ほら、ベット狭いしさ…っ」

「ぎゅーってすればいいじゃんっ///」

「やっ、そんな事したら俺っ…斗亜とあの事…」

「いいって言ってんじゃん…龍士になら…」


俺、龍士の事好き…
だから龍士になら何されてもいい。

や、むしろその先を期待してる自分もいる…
だけどきっと龍士は、俺に指一本触れてこないだろうな。

龍士から離れ立ち上がると、ぽかんとする龍士の腕を引っ張り上げ自分の寝室に連れていく。

入る事を拒むように抵抗してくる龍士を無理やり引っ張ってベットに押し倒すと、龍士の表情が少し歪んだ。


「いっ…」

「あ、ごめん…っ、傷、痛かった!?」

「や、大丈夫…っ」


龍士は俺に心配かけたくないのか平気なフリをするけど、まだ少し痛むのか傷口を撫でる素振りを見せた。

真壁さんからは家に帰ってもお仕事とお酒はまだダメって言われてたし、出来るだけ安静にって言われてたっけ。

だから別に何かして欲しいなんて思ってなくて、ただ一緒に…龍士の腕の中で眠りたいって思ってるだけ。


「一緒に…寝るだけ…だめ?」

「そこまで言われてダメなんて言えねぇだろ…」

「本当は嫌なのかよ…」

「嫌なわけねぇだろ。ほら、こっち来い」


広げた腕の中にすっぽり収まったはいいけど、全然目を合わせてくれない龍士。

それに俺と龍士との間に空いた隙間もなんだか寂しくて、隙間が無くなるくらいにしがみついた。

もちろん、傷に負担がかからない程度に…


「斗亜...くっつきすぎじゃね…?」

「離れて多分埋めさせろ」

「んぅ...////」

「今日はこれだけで許してやるけど…傷が治ったら…その…」

「な、に…っ」

「…っ、やっぱなんでもない…っ!」


龍士の胸の近くに顔を寄せると、心臓の鼓動が大きく早く聞こえる気がして、ドキドキしてるのは俺だけじゃないのかもと少しだけ安心する。

そしてお互い会話を交わすことも無く静かな時間が流れると、龍士の手が俺の肩から離れ、頭に優しくぽんと触れた。

それから龍士は繰り返し俺の頭を撫でてくれて、それがなんだかすごく心地よくて、俺はそのまま目を閉じゆっくりと眠りについた。
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