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記憶を失った魔女
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目を覚ますと、見知らぬ部屋のベッドに寝かされていた。
全く見覚えのない綺麗な部屋に、私が戸惑っていると「目を覚ましたのね。良かった」と、綺麗な声が聞こえてシャロンが声のした方を見ると、美少女二人が微笑んでいた。
戸惑うシャロンに、二人は自己紹介をしてくれた。
「鈴宮鈴羽ですわ」
「紅侑李です」
二人は自己紹介を終えると、貴女の名前は魔女さんとシャロンに名前を尋ねたのだが、シャロンは何も言えなかった。
彼女達が自分を魔女と言ったのと、自分の首にぶら下がる魔女の証であるペンダントで、自分が魔女と呼ばれる存在なのだとわかったが、それ以上は何も覚えていないし、何も思い出せなかった。
目の前で、優しく微笑んでいる美少女二人は、私のしてるペンダントを身に着けていない事から、人間の女の子なんだと言う事は理解出来たが、どうして自分が、彼女達の自宅と思われる場所にいるのか、ベッドに寝かされていたのかも、そして何より自分が何者で何と言う名前なのかもわからず困惑して、シャロンは俯いてしまう。
貴女のお名前は? そう鈴羽と名乗った少女が優しく聞くが、私は俯いたままで、ただ首をふるふると横に振る事しか出来ない。
覚えていない以上は、答え様がなかった。
「お嬢様、もしかして彼女記憶が」
「ええ、嘘を吐いている様には見えないわね」
鈴羽は、ごめんねと一言断ると、シャロンが来ていた洋服を弄まさぐり始めた。彼女の名前がわかる物があればと思ったのだ。
手に何かが当たった感触がして、鈴羽が取り出すとそれは、IDカードだった。
IDカードを鈴羽と侑李が確認すると、そこには目の前の少女の顔写真とともに、シャロンと記載されており、彼女の年齢と彼女がとある施設に所属している事が記載されていた。
「名前はシャロン、可愛い名前ねって! 同い年なの!! 」
絶対に年下だと思っていたので、鈴羽は驚きを隠せずに大声を出してしまった。その声の大きさにシャロンがビクッと驚いて震えている。
「シャロンさん、大丈夫ですよ。ここには貴女を襲う敵は一人もいませんから」
そう言って、侑李がシャロンを抱きしめるとシャロンは、幼い子供の様な表情で本当に? と侑李を見つめている。
記憶を失っているとは言え、本能的に覚えているのか、シャロンは侑李の胸の中で怯えている。
「お嬢様、いくら驚いたとは言え、状況を考えてください」
「しゅいません」
目を覚ましたら、知らない場所にいた。それだけでシャロンじゃなくても、大半の人間は不安に駆られてしまう。
そんな不安な状況で、大声を出されれば怯えても仕方ない。
侑李はそれを理解していたから、シャロンが自分達と同い年と知って驚いたが、敢えて平静さを装っていたのに、鈴羽がそれを台無しにしてくれたので、内心このエロお嬢様がと、お世話係の立場の人間が考える事ではない失礼な事を考えて、鈴羽を睨んでいた。
「ええ大丈夫よ。ごめんなさいね。馬鹿でエロいお嬢様が」
ちょっと、その言い草はないんじゃないの! とまた大声を出しそうになったが、不安そうにこちらを見つめるシャロンの顔が見えて、鈴羽は平静さを保って、シャロンに再び何も覚えていないの? とIDカードを見せながら問うたが、シャロンはわからないですと、それしか言わなかったので、気持ちを切り替えさせる為に、夕食にしましょうとシャロンをリビングに連れて行く事にした。
侑李に連れられてリビングに案内されると、侑李は三人分の食事を温める。シャロンの前にも置いてくれたが、シャロンは食事に手をつけようとはしなかった。
食べていいのよと言われても、シャロンは食べようとしないので、侑李が食事を口元まで運んでから、あ~んと言って笑顔を見せるので、シャロンは根負けしたのか、やっと口を開いて食べてくれた。
その様子を見た鈴羽は、食べながらでいいから聞いてねと言うと、シャロンを発見した時の様子を語ってくれた。
鈴羽の話を聞いても、やっぱり何も思い出せない。何故自分が大怪我を負っていたのかも、どうして魔女の自分が人間の居住区で倒れていたのかも、さっぱりだ。
鈴羽の話だけでは、シャロンが困惑してしまうのではないかと、侑李がシャロンにご飯を食べさせながら、シャロンが身に着けていたペンダントは魔女のみが身に着ける物である事と、人間と魔女は普段は必要以上の交流は持たずに、それぞれの居住区で生活している事を説明してくれた。
シャロンは『魔女』と言う言葉に何故か強く反応している自分がいる事に気付いていた。確かに自分の中に何か強い力が流れている事を感じていた。だから、二人が自分を魔女と言っても、その事には違和感は全くなかった。
もっとも違和感を覚えたのは、二人が言っていた自分が大怪我をしていて倒れていたと言う部分。大怪我をしていたと言う事は自分で傷つけたか或いは誰かに襲われたかのどちらかだ。
二人の話しぶりから、前者は可能性が低い。なら後者が正解と言う事になる。誰かに襲われたのなら、その相手は人間? それとも同じ魔女なのか、自分にはそれすらもわからない。
本当に何も覚えていなかった。
鈴羽と侑李の話を聞いて悩むシャロンに、鈴羽は「襲ったのは、きっと同じ魔女よ」と侑李は「人間では魔女には傷一つつけれませんから」と、更にシャロンを悩ませる言葉を発した。
「どう言う事ですか? 」
人間では、魔女には傷一つつけられない?
見た目は同じなのに、どうして?
二人の言ってる意味がわからないが、侑李さんの作ってくれたご飯が美味しくて、侑李さんがあ~んをしてくれるので、シャロンはモグモグと口を動かしながら、二人が教えてくれるのを待つ。
本当に何も覚えていないのねと言うと、鈴羽は取り敢えず目の前のおかずを一つ口に入れると、おかずを咀嚼しながら侑李に目配せする。
鈴羽も学園での成績は上位組だが、初等部時代から一度もトップの座から陥落した事のない侑李の方が、自分よりも詳しいだろうと、侑李に説明しなさいと、今度はスープを口に運びながら目で合図する。
仕方のないオナニー好きお嬢様ですねと、かなり失礼な事を口にすると、シャロンにオナニーの意味わかる? と関係ない事を聞き出した。
「ちょ、ちょっと侑李! あんた今はそんな事を聞いてる場合じゃないでしょうが! 」
オナニーが好きなのは本当だが、今は自分がオナニーが好きで、その意味をシャロンが知ってるなんて事よりも、人間では魔女に傷一つつけられない理由を、それを人間が知ってる事を教えるべきでしょ! とオナニー好きなのをカミングアウトしながら、侑李を睨みつける。
「本当に、この百合アニメ(エロ)と百合ゲーム(勿論エロ)が好きな、オナニー大好きエロお嬢様は、いいですか、まずはシャロンさんを和ませる事が最優先ですよ」
それからでも、問題ありませんよと、ニコリと優しい笑みを浮かべながら、シャロンにオナニーって知ってる? と再度尋ねる。
オナニー? オナニー? 侑李の言った言葉を頭の中で何度もオナニーと言う言葉を反芻してみたが、その意味には辿り着かなかったので、正直にわかりませんと答えると、侑李はちょっといやらしくも悪戯な笑みを浮かべながら、シャロンの耳元でオナニーの意味をそっと教えた。
シャロンは、真っ赤な顔をしながら鈴羽を見ている。
「鈴羽さんって、大人なんですね」
シャロンの言葉に、ぷっ、ぷぷぷと侑李は必死に笑いを堪えている。
「しゃ、シャロンさんって初心なんですね」
「ど、どうしてですか? だって、そう言うのは大人がするもんじゃないんですか? 」
大人の女性でもしない人はしないし、鈴羽や侑李位の年齢の女の子でもする子はするのだが、シャロンはエッチな事は大人がすると思い込んでいる様で、私なにか変な事言いました? って顔をしているのが可愛らしくて、侑李は「シャロンちゃんは、あんなエロになったら駄目よ」と言うとシャロンを抱きしめながら、鈴羽に「大人って言われて良かったですね。処女ですけどね」と、シャロンに大人と言われて喜んでいる鈴羽にトドメを刺した。
ハグァ! と奇声を発すると鈴羽は俯きながら、どうせ処女ですよと、オナニー好きの処女ですよと、落ち込み始めたが、そんな鈴羽を無視して侑李は、大人じゃなくてもオナニーしますよと、気持ちいいですからと、シャロンさんには、今度教えてあげますねと言うと、食事を再開したので、シャロンも教えるってどうやって? と思いながらも食事を再開する事にした。
未だに、どうせオナニーが大好きな処女ですよと落ち込んでいる鈴羽を無視して、食事を終えた侑李が私も処女ですけどねと言いながら、それでは、そろそろ説明しますかと「いつまで落ち込んでるんですか? 後で好きなだけオナニーしても、喘ぎ声が煩いって怒りませんから、いい加減シャロンさんに説明しますよ」と、シャロンをソファーに座らせると、コーヒーでいい? とシャロンはコーヒーって何ですか? とわかりませんって顔をしているので、侑李は飲めばわかりますよと三人分のコーヒーを用意すると、オナニーして喘いでも怒られないと喜んでいる鈴羽を、ソファーに座らせると、コーヒーの苦さに目をまん丸にしているシャロンのコーヒーに砂糖を入れてあげながら、説明を始めた。
侑李が入れてくれた砂糖のお陰で何とか飲める様になったコーヒーを飲みながら、シャロンは侑李の話に真剣に耳を傾け始めた。
人間が魔女の恐ろしさを知ったのは、今から僅か百年前。
それまで、人間は自分たちがこの地上で一番強くて偉い生き物だと思い切り勘違いをしていた。
その勘違いから、同じ地上に住む魔女の事を蔑ろにして、ぞんざいに扱っていた。
しかしそれが、大きな間違いなのだと、すぐに気付く事になる。調子に乗った人間が、魔女の居住区に攻め込むと言う、今考えれば地上から人間が姿を消してもおかしくない過ちを犯したのだ。
「本当に人間とは愚かですわね」
「女王様、どういたしますか? 」
「人間にも使い道はあります。ですから、二度と逆らえない程度に痛めつけるだけにしましょう」
「本当に、その程度で宜しいのですか? 」
そう問われた、当時の魔女のトップに君臨する女王様は、微笑みながら人間にも利用価値はありますよと、自分達には無い技術力は魔女にとっても魅力的であると、女王様は美しい微笑を浮かべたままで、やり過ぎてはいけませんよと言うと、魔女に号令を出した。
勝敗はあっさりと決した。
当然と言えば当然だろう。人間の作り出した兵器では、魔女にかすり傷一つつけられないのだから、一方人間側は、魔女の魔法を防ぐ術など何一つ持ち合わせていないものだから、次々と兵器を破壊されて、兵士を殺戮されていき、人間が魔女の居住区に攻め込んでから一時間も経たずに人間側は壊滅状態に追い込まれていた。
その圧倒的な戦力の差に、人間は震えあがり、魔女の女王が提案した案を飲む以外の選択肢はなかった。
それ以来人間が魔女側に必要以上に関わる事はなくなった。魔女側も、人間の技術力を徴収する時と、人間の居住区に妖が現れた時に妖退治を行う以外は、関わる事はなかった。
年に数回、お互いの代表による会談は続けられているが、人間側は魔女を畏怖している為に、基本魔女側に有利な条件で会談が終わる。
それでも、人間が魔女に文句を言う事は一度もなかった。
下手に逆らえば、魔女に滅ぼされてしまうと言う恐怖心からだった。魔女の女王はそれを理解していたが、人間側に無理を言う事も強いる事もなかった。
大規模な戦争も無く、平和に暮らせているのは魔女のお陰でもあるのだ。大規模な戦争になれば、魔女の居住区にも影響を及ぼしてしまう。そうなれば、嫌でも魔女が介入する。
魔女が介入すると言う事は、即ち人類の滅亡を意味する。人類としては、それだけは避けなければいけない最重要事項だった。
私達は、シャロンさん達魔女には感謝しないといけないんですよと、そう説明してくれた侑李が微笑むが、シャロンは自分にそんな恐ろしい力が秘められていると思うと、素直に喜べなかった。
今は、どうやって魔法を使うのか想像もつかないが、もし無意識に魔法を使ってしまったら、目の前の自分を助けてくれた少女二人を殺してしまうかもしれない。
一瞬、鈴羽と侑李が血だらけで、どうして? どうしてなのシャロンさん? と血塗れの顔で、自分を恨む様な瞳で自分を見つめたまま絶命する二人の姿が、恐ろしいイメージが脳裏を過ってシャロンは、自分が魔女と言う存在が恐ろしくなる。
そんなシャロンの様子に気付いた侑李が、優しく大丈夫ですよと、シャロンさんは、きっと優しい魔女ですからと微笑んでくれたお陰で、シャロンは自分を見失わずに済んだ。
侑李と言う少女は、普段から良く周りを見て、状況を判断出来る少女だった。
シャロンが落ち着いたのを確認してから、侑李は再び話を再開した。
「ですから、私もお嬢様もシャロンさんを攻撃して大怪我を負わせたのは、シャロンさんと同じ魔女だと考えているんです」
「侑李が話した様に、私達では貴女に魔女に傷一つ負わせられないのよ」
二人が、そう説明しても、シャロンは信じられないと言った顔をしているので、侑李は溜息を吐いた後に「仕方ありませんね」と一言言うと、いきなりどこに隠し持っていたのか、包丁を取り出すとシャロンに襲い掛かった。
「ゆ、侑李さん、や、やめてえーーーー! 」
そうシャロンが叫んだかと思うと、侑李の持っていた包丁は跡形も無く砕け散ってしまった。
「これでわかりましたか? 貴女は魔女で、私達はどうあがいても魔女である貴女には、傷一つつけられない事に」
「………………はい」
シャロンには、はいと言う以外の選択肢はなかった。今自分の目で確認してしまったのだから、本当に襲うつもりも傷つけるつもりもなかったとしても、自分に向けられた刃は、自分に触れる手前で砕け散ってしまったのだから、シャロンは二人の言った事を認めざるをえなかった。
「でも、どうして砕け散ってしまったんですか? 」
特別何かをした訳でも、念じた訳でもないのに包丁はあっさりと砕け散ってしまった。
「それは、私にもお嬢様にもわかりません。魔女ではありませんし、魔女に知り合いもいませんので」
「シャロン、貴女が初めて話した魔女。だから、ごめんね」
鈴羽も侑李も、教えてあげられなくてごめんねと謝るので、シャロンは逆に申し訳なくなってしまった。
結局、本当の所はわからないが、鈴羽と侑李の二人は、魔女には生まれつきの防御本能的な機能が備わっているのではないか、能力を持たない自分達と違う部分ではないかと結論を出した。
「でも、私も侑李も、そしてシャロンも一人の女の子なのは変わらないよね」
鈴羽の言った『一人の女の子』と言う言葉で、心が救われた様な気がしたシャロンだった。
「確かに女の子なのは一緒ですけど、変態エロお嬢様と同一視されるのは、私もシャロンさんも断固反対します。ね~えシャロンさん」
そう言って、天使の微笑を見せる侑李さんに、私は何も言えなかった。言えないので、頑張って引き攣った笑顔を見せるのが精一杯だった。
「相変わらず口の悪い世話係ね侑李は、お給料あげないわよ」
額の血管をピクピクさせながら、シャロンの前だからとお淑やかに言う鈴羽に、侑李はあっさりと「お給料は旦那様から頂いていますから、お嬢様からは頂いていませんので」と、やっぱり鈴羽をお嬢様だとは、自分の雇い主の娘だなんて、1ミリも思っていない発言をしながら、シャロンさん一緒にお風呂に入りましょうねと、シャロンの頬に自分の頬をすりすりしている。
そんな様子を見せられて、鈴羽は私も一緒に入るも~ん!! とまるで駄々を捏ねる子供の様に、鈴羽を無視してシャロンの手を引いてリビングを出て行こうとする侑李の後を必死に追っていた。
本当に、どっちがお嬢様で世話係なのかわからない、そんな二人のやり取りに、この二人は敵じゃないんだと、心から安心するシャロンだった。
脱衣所で全裸になったシャロンから、二人は特に鈴羽は目が離せなかった。金髪碧眼のシャロンの陰毛は、髪の毛と同じ金色で照明に照らされると、まるで陰毛なんて生えていないのではないかと錯覚してしまう。
「シャロンさんの身体綺麗ですね。特にあそこの毛は」
「へ、変ですか? 」
自分は、髪の毛もあそこの毛も金色だが、鈴羽さんと侑李さんは美しい黒色をしている。
自分が魔女だから? そんな事を考えてしまう。
「貴女が魔女だからではないですよ」
侑李が微笑みながら言う。人間にも、黒色の髪をしている人もいれば、金髪の人もブロンドの人もいる。それは、あくまでも人種の違いであって決して変な事ではないと、そう言ってくれた事が嬉しかった。
「いい加減、シャロンさんの全裸を変態親父の様に上から下まで舐める様に、エロい瞳で見るのやめてくれませんか、変態お嬢様。シャロンさんが困惑していますよ」
侑李の指摘通りで、鈴羽は今にも鼻血を吹きそうな程で、思い切り鼻の下を伸ばして、シャロンの全裸をエロい瞳で見ている。
「侑李さん、鈴羽さんの瞳が怖いです」
今にも泣きだしそうなシャロンの訴えに、侑李は本当に困ったエロ娘ですと言うと、思い切り鈴羽の頭部にチョップをかますと、ぬおぁ! とまた意味不明な奇声を上げた鈴羽を無視して、シャロンの手を引いて浴室に入って行った。
侑李がシャロンの髪の毛を洗ってあげていると、ダメージから回復した鈴羽が、酷いんですけどと言いながら浴室に入ってきて、三つあるシャワーの内、シャロンが使ってる隣に来ると、髪の毛を洗いだした。
勿論、洗いながら横目でシャロンの裸を堪能していた。
先に洗い終えた二人が湯船に浸かっていると、髪と身体を洗ってスッキリ顔の鈴羽も湯船に浸かる。
シャロンのは、私より少し小さい位ねとシャロンのおっぱいを見ながら言うと、次は嬉しそうにシャロンの頭を撫でている侑李のおっぱいに視線を向ける。
「侑李あんた、また成長したわね。同じ処女のくせに」
「Fカップになりました。お嬢様と違って、ちゃんとおっぱいも揉んでますから、オナニーの時に」
その豊満なおっぱいで、今度はシャロンを抱きしめると、どうせお嬢様はオナニーの時にあそこばっかり弄ってるんでしょ? と勝ち誇った顔で鈴羽を見て微笑む。
気持ちいいけど苦しいですと、シャロンは侑李のおっぱいで窒息しかけている。
ぐぬぬぬ! と鈴羽は侑李の言った事が事実なので、言い返せない。
「ゆ、侑李さん、く、苦しい……れしゅ」
さすがにこのままでは、侑李のおっぱいで窒息死してしまうと、シャロンは必死にもがきながら、苦しいですと訴える。
「ごめんね。気持ち良かった? 」
やっと解放されたシャロンは、正直に気持ち良かったですと答える。記憶がないからわからないけれど、多分同性のおっぱいに顔を埋めたのは初めての経験である。
凄く気持ち良くて、凄く安心出来て、シャロンはもう一度侑李の同性のおっぱいに顔を埋めたいと思ってしまった。
お風呂から上がっても、侑李は甲斐甲斐しくドライヤーで髪を乾かしたり、飲み物を用意したりしている。
「侑李、あんた嬉しそうね」
「ええ、私妹が欲しかったので」
「妹って、シャロンは同い年じゃない」
わかってますよと言いながらも、侑李がシャロンを甘やかす事を止める事はなかった。
シャロンは、侑李にされるがままだったが、嫌だとは思わなかった。寧ろ、侑李も何だかんだ言いながらも、自分を助けてくれた鈴羽も、二人はとても優しくて、二人の事は信用してもいいと思えた。
記憶を失ってしまった。とても不安だけど、鈴羽と侑李の二人が居てくれたら、何とかやっていけるかもしれないと、そう思う気持ちと同時に自分が何故、同じ魔女に狙われたのか、何故襲われてしまったのか、その理由がわからない。
もし、もしまた魔女が私を狙ってきたら……
私は、二人を助けられる?
答えはNOだった。
だって私は、魔法の使い方すら覚えていないのだから、きっと二人を巻き込んでしまう。
きっと二人を死なせてしまう。
そんな事は、絶対に駄目だ!!
「大丈夫よ。私と侑李が守ってあげるからね」
「そうですよ。こう見えて、私は武術の達人ですから」
魔女には勝てないけどねと、鈴羽が茶化すと「運動神経ゼロのエロいだけの、どこぞのお嬢様には言われたくないですね」と、鈴羽に言い返す。そんな二人のやり取りを見ていると、心が和むシャロンだった。
自分の不安な気持ちに気付いてくれる。二人がそんな優しい女の子で良かったと、心から思うシャロンだった。
全く見覚えのない綺麗な部屋に、私が戸惑っていると「目を覚ましたのね。良かった」と、綺麗な声が聞こえてシャロンが声のした方を見ると、美少女二人が微笑んでいた。
戸惑うシャロンに、二人は自己紹介をしてくれた。
「鈴宮鈴羽ですわ」
「紅侑李です」
二人は自己紹介を終えると、貴女の名前は魔女さんとシャロンに名前を尋ねたのだが、シャロンは何も言えなかった。
彼女達が自分を魔女と言ったのと、自分の首にぶら下がる魔女の証であるペンダントで、自分が魔女と呼ばれる存在なのだとわかったが、それ以上は何も覚えていないし、何も思い出せなかった。
目の前で、優しく微笑んでいる美少女二人は、私のしてるペンダントを身に着けていない事から、人間の女の子なんだと言う事は理解出来たが、どうして自分が、彼女達の自宅と思われる場所にいるのか、ベッドに寝かされていたのかも、そして何より自分が何者で何と言う名前なのかもわからず困惑して、シャロンは俯いてしまう。
貴女のお名前は? そう鈴羽と名乗った少女が優しく聞くが、私は俯いたままで、ただ首をふるふると横に振る事しか出来ない。
覚えていない以上は、答え様がなかった。
「お嬢様、もしかして彼女記憶が」
「ええ、嘘を吐いている様には見えないわね」
鈴羽は、ごめんねと一言断ると、シャロンが来ていた洋服を弄まさぐり始めた。彼女の名前がわかる物があればと思ったのだ。
手に何かが当たった感触がして、鈴羽が取り出すとそれは、IDカードだった。
IDカードを鈴羽と侑李が確認すると、そこには目の前の少女の顔写真とともに、シャロンと記載されており、彼女の年齢と彼女がとある施設に所属している事が記載されていた。
「名前はシャロン、可愛い名前ねって! 同い年なの!! 」
絶対に年下だと思っていたので、鈴羽は驚きを隠せずに大声を出してしまった。その声の大きさにシャロンがビクッと驚いて震えている。
「シャロンさん、大丈夫ですよ。ここには貴女を襲う敵は一人もいませんから」
そう言って、侑李がシャロンを抱きしめるとシャロンは、幼い子供の様な表情で本当に? と侑李を見つめている。
記憶を失っているとは言え、本能的に覚えているのか、シャロンは侑李の胸の中で怯えている。
「お嬢様、いくら驚いたとは言え、状況を考えてください」
「しゅいません」
目を覚ましたら、知らない場所にいた。それだけでシャロンじゃなくても、大半の人間は不安に駆られてしまう。
そんな不安な状況で、大声を出されれば怯えても仕方ない。
侑李はそれを理解していたから、シャロンが自分達と同い年と知って驚いたが、敢えて平静さを装っていたのに、鈴羽がそれを台無しにしてくれたので、内心このエロお嬢様がと、お世話係の立場の人間が考える事ではない失礼な事を考えて、鈴羽を睨んでいた。
「ええ大丈夫よ。ごめんなさいね。馬鹿でエロいお嬢様が」
ちょっと、その言い草はないんじゃないの! とまた大声を出しそうになったが、不安そうにこちらを見つめるシャロンの顔が見えて、鈴羽は平静さを保って、シャロンに再び何も覚えていないの? とIDカードを見せながら問うたが、シャロンはわからないですと、それしか言わなかったので、気持ちを切り替えさせる為に、夕食にしましょうとシャロンをリビングに連れて行く事にした。
侑李に連れられてリビングに案内されると、侑李は三人分の食事を温める。シャロンの前にも置いてくれたが、シャロンは食事に手をつけようとはしなかった。
食べていいのよと言われても、シャロンは食べようとしないので、侑李が食事を口元まで運んでから、あ~んと言って笑顔を見せるので、シャロンは根負けしたのか、やっと口を開いて食べてくれた。
その様子を見た鈴羽は、食べながらでいいから聞いてねと言うと、シャロンを発見した時の様子を語ってくれた。
鈴羽の話を聞いても、やっぱり何も思い出せない。何故自分が大怪我を負っていたのかも、どうして魔女の自分が人間の居住区で倒れていたのかも、さっぱりだ。
鈴羽の話だけでは、シャロンが困惑してしまうのではないかと、侑李がシャロンにご飯を食べさせながら、シャロンが身に着けていたペンダントは魔女のみが身に着ける物である事と、人間と魔女は普段は必要以上の交流は持たずに、それぞれの居住区で生活している事を説明してくれた。
シャロンは『魔女』と言う言葉に何故か強く反応している自分がいる事に気付いていた。確かに自分の中に何か強い力が流れている事を感じていた。だから、二人が自分を魔女と言っても、その事には違和感は全くなかった。
もっとも違和感を覚えたのは、二人が言っていた自分が大怪我をしていて倒れていたと言う部分。大怪我をしていたと言う事は自分で傷つけたか或いは誰かに襲われたかのどちらかだ。
二人の話しぶりから、前者は可能性が低い。なら後者が正解と言う事になる。誰かに襲われたのなら、その相手は人間? それとも同じ魔女なのか、自分にはそれすらもわからない。
本当に何も覚えていなかった。
鈴羽と侑李の話を聞いて悩むシャロンに、鈴羽は「襲ったのは、きっと同じ魔女よ」と侑李は「人間では魔女には傷一つつけれませんから」と、更にシャロンを悩ませる言葉を発した。
「どう言う事ですか? 」
人間では、魔女には傷一つつけられない?
見た目は同じなのに、どうして?
二人の言ってる意味がわからないが、侑李さんの作ってくれたご飯が美味しくて、侑李さんがあ~んをしてくれるので、シャロンはモグモグと口を動かしながら、二人が教えてくれるのを待つ。
本当に何も覚えていないのねと言うと、鈴羽は取り敢えず目の前のおかずを一つ口に入れると、おかずを咀嚼しながら侑李に目配せする。
鈴羽も学園での成績は上位組だが、初等部時代から一度もトップの座から陥落した事のない侑李の方が、自分よりも詳しいだろうと、侑李に説明しなさいと、今度はスープを口に運びながら目で合図する。
仕方のないオナニー好きお嬢様ですねと、かなり失礼な事を口にすると、シャロンにオナニーの意味わかる? と関係ない事を聞き出した。
「ちょ、ちょっと侑李! あんた今はそんな事を聞いてる場合じゃないでしょうが! 」
オナニーが好きなのは本当だが、今は自分がオナニーが好きで、その意味をシャロンが知ってるなんて事よりも、人間では魔女に傷一つつけられない理由を、それを人間が知ってる事を教えるべきでしょ! とオナニー好きなのをカミングアウトしながら、侑李を睨みつける。
「本当に、この百合アニメ(エロ)と百合ゲーム(勿論エロ)が好きな、オナニー大好きエロお嬢様は、いいですか、まずはシャロンさんを和ませる事が最優先ですよ」
それからでも、問題ありませんよと、ニコリと優しい笑みを浮かべながら、シャロンにオナニーって知ってる? と再度尋ねる。
オナニー? オナニー? 侑李の言った言葉を頭の中で何度もオナニーと言う言葉を反芻してみたが、その意味には辿り着かなかったので、正直にわかりませんと答えると、侑李はちょっといやらしくも悪戯な笑みを浮かべながら、シャロンの耳元でオナニーの意味をそっと教えた。
シャロンは、真っ赤な顔をしながら鈴羽を見ている。
「鈴羽さんって、大人なんですね」
シャロンの言葉に、ぷっ、ぷぷぷと侑李は必死に笑いを堪えている。
「しゃ、シャロンさんって初心なんですね」
「ど、どうしてですか? だって、そう言うのは大人がするもんじゃないんですか? 」
大人の女性でもしない人はしないし、鈴羽や侑李位の年齢の女の子でもする子はするのだが、シャロンはエッチな事は大人がすると思い込んでいる様で、私なにか変な事言いました? って顔をしているのが可愛らしくて、侑李は「シャロンちゃんは、あんなエロになったら駄目よ」と言うとシャロンを抱きしめながら、鈴羽に「大人って言われて良かったですね。処女ですけどね」と、シャロンに大人と言われて喜んでいる鈴羽にトドメを刺した。
ハグァ! と奇声を発すると鈴羽は俯きながら、どうせ処女ですよと、オナニー好きの処女ですよと、落ち込み始めたが、そんな鈴羽を無視して侑李は、大人じゃなくてもオナニーしますよと、気持ちいいですからと、シャロンさんには、今度教えてあげますねと言うと、食事を再開したので、シャロンも教えるってどうやって? と思いながらも食事を再開する事にした。
未だに、どうせオナニーが大好きな処女ですよと落ち込んでいる鈴羽を無視して、食事を終えた侑李が私も処女ですけどねと言いながら、それでは、そろそろ説明しますかと「いつまで落ち込んでるんですか? 後で好きなだけオナニーしても、喘ぎ声が煩いって怒りませんから、いい加減シャロンさんに説明しますよ」と、シャロンをソファーに座らせると、コーヒーでいい? とシャロンはコーヒーって何ですか? とわかりませんって顔をしているので、侑李は飲めばわかりますよと三人分のコーヒーを用意すると、オナニーして喘いでも怒られないと喜んでいる鈴羽を、ソファーに座らせると、コーヒーの苦さに目をまん丸にしているシャロンのコーヒーに砂糖を入れてあげながら、説明を始めた。
侑李が入れてくれた砂糖のお陰で何とか飲める様になったコーヒーを飲みながら、シャロンは侑李の話に真剣に耳を傾け始めた。
人間が魔女の恐ろしさを知ったのは、今から僅か百年前。
それまで、人間は自分たちがこの地上で一番強くて偉い生き物だと思い切り勘違いをしていた。
その勘違いから、同じ地上に住む魔女の事を蔑ろにして、ぞんざいに扱っていた。
しかしそれが、大きな間違いなのだと、すぐに気付く事になる。調子に乗った人間が、魔女の居住区に攻め込むと言う、今考えれば地上から人間が姿を消してもおかしくない過ちを犯したのだ。
「本当に人間とは愚かですわね」
「女王様、どういたしますか? 」
「人間にも使い道はあります。ですから、二度と逆らえない程度に痛めつけるだけにしましょう」
「本当に、その程度で宜しいのですか? 」
そう問われた、当時の魔女のトップに君臨する女王様は、微笑みながら人間にも利用価値はありますよと、自分達には無い技術力は魔女にとっても魅力的であると、女王様は美しい微笑を浮かべたままで、やり過ぎてはいけませんよと言うと、魔女に号令を出した。
勝敗はあっさりと決した。
当然と言えば当然だろう。人間の作り出した兵器では、魔女にかすり傷一つつけられないのだから、一方人間側は、魔女の魔法を防ぐ術など何一つ持ち合わせていないものだから、次々と兵器を破壊されて、兵士を殺戮されていき、人間が魔女の居住区に攻め込んでから一時間も経たずに人間側は壊滅状態に追い込まれていた。
その圧倒的な戦力の差に、人間は震えあがり、魔女の女王が提案した案を飲む以外の選択肢はなかった。
それ以来人間が魔女側に必要以上に関わる事はなくなった。魔女側も、人間の技術力を徴収する時と、人間の居住区に妖が現れた時に妖退治を行う以外は、関わる事はなかった。
年に数回、お互いの代表による会談は続けられているが、人間側は魔女を畏怖している為に、基本魔女側に有利な条件で会談が終わる。
それでも、人間が魔女に文句を言う事は一度もなかった。
下手に逆らえば、魔女に滅ぼされてしまうと言う恐怖心からだった。魔女の女王はそれを理解していたが、人間側に無理を言う事も強いる事もなかった。
大規模な戦争も無く、平和に暮らせているのは魔女のお陰でもあるのだ。大規模な戦争になれば、魔女の居住区にも影響を及ぼしてしまう。そうなれば、嫌でも魔女が介入する。
魔女が介入すると言う事は、即ち人類の滅亡を意味する。人類としては、それだけは避けなければいけない最重要事項だった。
私達は、シャロンさん達魔女には感謝しないといけないんですよと、そう説明してくれた侑李が微笑むが、シャロンは自分にそんな恐ろしい力が秘められていると思うと、素直に喜べなかった。
今は、どうやって魔法を使うのか想像もつかないが、もし無意識に魔法を使ってしまったら、目の前の自分を助けてくれた少女二人を殺してしまうかもしれない。
一瞬、鈴羽と侑李が血だらけで、どうして? どうしてなのシャロンさん? と血塗れの顔で、自分を恨む様な瞳で自分を見つめたまま絶命する二人の姿が、恐ろしいイメージが脳裏を過ってシャロンは、自分が魔女と言う存在が恐ろしくなる。
そんなシャロンの様子に気付いた侑李が、優しく大丈夫ですよと、シャロンさんは、きっと優しい魔女ですからと微笑んでくれたお陰で、シャロンは自分を見失わずに済んだ。
侑李と言う少女は、普段から良く周りを見て、状況を判断出来る少女だった。
シャロンが落ち着いたのを確認してから、侑李は再び話を再開した。
「ですから、私もお嬢様もシャロンさんを攻撃して大怪我を負わせたのは、シャロンさんと同じ魔女だと考えているんです」
「侑李が話した様に、私達では貴女に魔女に傷一つ負わせられないのよ」
二人が、そう説明しても、シャロンは信じられないと言った顔をしているので、侑李は溜息を吐いた後に「仕方ありませんね」と一言言うと、いきなりどこに隠し持っていたのか、包丁を取り出すとシャロンに襲い掛かった。
「ゆ、侑李さん、や、やめてえーーーー! 」
そうシャロンが叫んだかと思うと、侑李の持っていた包丁は跡形も無く砕け散ってしまった。
「これでわかりましたか? 貴女は魔女で、私達はどうあがいても魔女である貴女には、傷一つつけられない事に」
「………………はい」
シャロンには、はいと言う以外の選択肢はなかった。今自分の目で確認してしまったのだから、本当に襲うつもりも傷つけるつもりもなかったとしても、自分に向けられた刃は、自分に触れる手前で砕け散ってしまったのだから、シャロンは二人の言った事を認めざるをえなかった。
「でも、どうして砕け散ってしまったんですか? 」
特別何かをした訳でも、念じた訳でもないのに包丁はあっさりと砕け散ってしまった。
「それは、私にもお嬢様にもわかりません。魔女ではありませんし、魔女に知り合いもいませんので」
「シャロン、貴女が初めて話した魔女。だから、ごめんね」
鈴羽も侑李も、教えてあげられなくてごめんねと謝るので、シャロンは逆に申し訳なくなってしまった。
結局、本当の所はわからないが、鈴羽と侑李の二人は、魔女には生まれつきの防御本能的な機能が備わっているのではないか、能力を持たない自分達と違う部分ではないかと結論を出した。
「でも、私も侑李も、そしてシャロンも一人の女の子なのは変わらないよね」
鈴羽の言った『一人の女の子』と言う言葉で、心が救われた様な気がしたシャロンだった。
「確かに女の子なのは一緒ですけど、変態エロお嬢様と同一視されるのは、私もシャロンさんも断固反対します。ね~えシャロンさん」
そう言って、天使の微笑を見せる侑李さんに、私は何も言えなかった。言えないので、頑張って引き攣った笑顔を見せるのが精一杯だった。
「相変わらず口の悪い世話係ね侑李は、お給料あげないわよ」
額の血管をピクピクさせながら、シャロンの前だからとお淑やかに言う鈴羽に、侑李はあっさりと「お給料は旦那様から頂いていますから、お嬢様からは頂いていませんので」と、やっぱり鈴羽をお嬢様だとは、自分の雇い主の娘だなんて、1ミリも思っていない発言をしながら、シャロンさん一緒にお風呂に入りましょうねと、シャロンの頬に自分の頬をすりすりしている。
そんな様子を見せられて、鈴羽は私も一緒に入るも~ん!! とまるで駄々を捏ねる子供の様に、鈴羽を無視してシャロンの手を引いてリビングを出て行こうとする侑李の後を必死に追っていた。
本当に、どっちがお嬢様で世話係なのかわからない、そんな二人のやり取りに、この二人は敵じゃないんだと、心から安心するシャロンだった。
脱衣所で全裸になったシャロンから、二人は特に鈴羽は目が離せなかった。金髪碧眼のシャロンの陰毛は、髪の毛と同じ金色で照明に照らされると、まるで陰毛なんて生えていないのではないかと錯覚してしまう。
「シャロンさんの身体綺麗ですね。特にあそこの毛は」
「へ、変ですか? 」
自分は、髪の毛もあそこの毛も金色だが、鈴羽さんと侑李さんは美しい黒色をしている。
自分が魔女だから? そんな事を考えてしまう。
「貴女が魔女だからではないですよ」
侑李が微笑みながら言う。人間にも、黒色の髪をしている人もいれば、金髪の人もブロンドの人もいる。それは、あくまでも人種の違いであって決して変な事ではないと、そう言ってくれた事が嬉しかった。
「いい加減、シャロンさんの全裸を変態親父の様に上から下まで舐める様に、エロい瞳で見るのやめてくれませんか、変態お嬢様。シャロンさんが困惑していますよ」
侑李の指摘通りで、鈴羽は今にも鼻血を吹きそうな程で、思い切り鼻の下を伸ばして、シャロンの全裸をエロい瞳で見ている。
「侑李さん、鈴羽さんの瞳が怖いです」
今にも泣きだしそうなシャロンの訴えに、侑李は本当に困ったエロ娘ですと言うと、思い切り鈴羽の頭部にチョップをかますと、ぬおぁ! とまた意味不明な奇声を上げた鈴羽を無視して、シャロンの手を引いて浴室に入って行った。
侑李がシャロンの髪の毛を洗ってあげていると、ダメージから回復した鈴羽が、酷いんですけどと言いながら浴室に入ってきて、三つあるシャワーの内、シャロンが使ってる隣に来ると、髪の毛を洗いだした。
勿論、洗いながら横目でシャロンの裸を堪能していた。
先に洗い終えた二人が湯船に浸かっていると、髪と身体を洗ってスッキリ顔の鈴羽も湯船に浸かる。
シャロンのは、私より少し小さい位ねとシャロンのおっぱいを見ながら言うと、次は嬉しそうにシャロンの頭を撫でている侑李のおっぱいに視線を向ける。
「侑李あんた、また成長したわね。同じ処女のくせに」
「Fカップになりました。お嬢様と違って、ちゃんとおっぱいも揉んでますから、オナニーの時に」
その豊満なおっぱいで、今度はシャロンを抱きしめると、どうせお嬢様はオナニーの時にあそこばっかり弄ってるんでしょ? と勝ち誇った顔で鈴羽を見て微笑む。
気持ちいいけど苦しいですと、シャロンは侑李のおっぱいで窒息しかけている。
ぐぬぬぬ! と鈴羽は侑李の言った事が事実なので、言い返せない。
「ゆ、侑李さん、く、苦しい……れしゅ」
さすがにこのままでは、侑李のおっぱいで窒息死してしまうと、シャロンは必死にもがきながら、苦しいですと訴える。
「ごめんね。気持ち良かった? 」
やっと解放されたシャロンは、正直に気持ち良かったですと答える。記憶がないからわからないけれど、多分同性のおっぱいに顔を埋めたのは初めての経験である。
凄く気持ち良くて、凄く安心出来て、シャロンはもう一度侑李の同性のおっぱいに顔を埋めたいと思ってしまった。
お風呂から上がっても、侑李は甲斐甲斐しくドライヤーで髪を乾かしたり、飲み物を用意したりしている。
「侑李、あんた嬉しそうね」
「ええ、私妹が欲しかったので」
「妹って、シャロンは同い年じゃない」
わかってますよと言いながらも、侑李がシャロンを甘やかす事を止める事はなかった。
シャロンは、侑李にされるがままだったが、嫌だとは思わなかった。寧ろ、侑李も何だかんだ言いながらも、自分を助けてくれた鈴羽も、二人はとても優しくて、二人の事は信用してもいいと思えた。
記憶を失ってしまった。とても不安だけど、鈴羽と侑李の二人が居てくれたら、何とかやっていけるかもしれないと、そう思う気持ちと同時に自分が何故、同じ魔女に狙われたのか、何故襲われてしまったのか、その理由がわからない。
もし、もしまた魔女が私を狙ってきたら……
私は、二人を助けられる?
答えはNOだった。
だって私は、魔法の使い方すら覚えていないのだから、きっと二人を巻き込んでしまう。
きっと二人を死なせてしまう。
そんな事は、絶対に駄目だ!!
「大丈夫よ。私と侑李が守ってあげるからね」
「そうですよ。こう見えて、私は武術の達人ですから」
魔女には勝てないけどねと、鈴羽が茶化すと「運動神経ゼロのエロいだけの、どこぞのお嬢様には言われたくないですね」と、鈴羽に言い返す。そんな二人のやり取りを見ていると、心が和むシャロンだった。
自分の不安な気持ちに気付いてくれる。二人がそんな優しい女の子で良かったと、心から思うシャロンだった。
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