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「あー……くっそ、頭痛てえ……」
目覚めの朝。体感だと7時位だろうか。
昨日飲み過ぎた俺はベロンベロンに酔っ払い、フラフラになりながらベッドで爆睡していたのだ。
二日酔いの頭痛に耐えつつ隣を見ると、長い髪の女の子が寝息をたてている。天使のような寝顔だ。
天使という種族に知り合いがいるが、そいつより天使っぽい。……まあそいつも可愛いが。
俺は女の子の頭を優しく撫でる。
「んみゅ……う……」
あーーすっげえ癒される。
思いっきり抱きしめてわしゃわしゃしてえーーっ!
……もちろんしないが。
同意がないし、同意があっても一般的に見たら事案である。ポリスメンは待ってくれない。
……少々名残惜しいが、女の子を起こす事にした。
「おい、起きろ。朝だぞ。」
女の子の肩を掴んで揺すってやる。
「みゅ……う……あふ。おは……よう。」
「おうおはよう。よく眠れた?」
「……ぐっすり。ふぁ……」
「二度寝すんなよ?後で大事な話があるから。……これ、君の服。洗っといたよ。」
「……ありがとう。……ねえ」
「ん?」
「……名前……何?」
「七上陽炎。皆はカゲとか、ながみんとか勝手によんでる。好きに呼んでくれ。」
「……じゃあ……「げろ」で……」
「?!」
素晴らしいセンスだ。確かにカゲロウだしカとウ抜いたら「ゲロ」だけども。
「訂正する。カゲと呼んでくれ。」
「……ん。……かげ……私はシルフィード……シルって……呼んで。」
「了解シル。着替えて下行くぞ。」
……にしてもなんか懐かれすぎな気がする。
--
軽い朝食を取った俺は、シルを呼ぶ。
「シル、ここに座ってくれ。」
「……ん。」
……なんだか緊張してきた。胃がキリキリする。
なんせ今から、「ここは傭兵ギルドです。あなたの家族は俺達が殺して、屋敷は俺達が燃やしました。あなたはしばらく俺達の所で暮らして下さい」みたいな事を言うのだ。こんな小さな女の子に。
出来る事ならば、言いたくない。
しかし。言わなければならないのだ。これはケジメだ。家族を殺し、身勝手にも保護した俺の。
「……シル。落ち着いてよーく聞いてくれ。」
「……?」
「お前の家族は死んだ。屋敷も燃えた。……そして、それは俺達がやった。本当にすまない。」
「……」
「俺達は傭兵ギルド。Out-of-place。依頼で、君の家族を殺し、家を燃やした。……君は、その後瓦礫の中で偶然俺が見つけたんだ。……その、身勝手だけど、シルを保護させて貰った。しばらくの間、ここで君に過ごして貰う。本当、身勝手だけどね。」
「……」
シルは無言だ。相当のショックなのだろう。
元々無口で、あまり感情を出さないというのもあるのだろうが。
「……かげ。」
「……なんだ?」
ようやくシルが口を開ける。
俺はおそるおそる視線を合わせた。
「…別に……良い。……家族も家も……どうせシルのいばしょ……ない……から。」
「……そっか。」
「それに……あの人が……悪い人だって……知ってる。かげ……悪くないよ?」
「……おう。ありがとう。」
「……ここの方が……居心地……良い……から。私……だい……じょうぶ。」
シルは細い腕で、力こぶを出すポーズをした。
「……本当、ごめん。」
「あやまらなくて……いい……よ?」
思わず俯いてしまった俺の頭を、シルがポンポンと撫でる。
その手は温かく、小さな手だった。
--
「秋山ー、いるかー?」
シルを暇そうにしてた修に任せ、俺は武器庫に居た。
動作不良で預けていた銃を取りにきたのだ。
銃や装備は、転移したときに神を名乗る者によって、俺達が実際にFPSで使用していた物等が用意されていた。しかし、それらは上手く動作しない事がある。砂を大量に噛めば動作不良を起こすし、自動拳銃の反動を手首で殺すと廃莢が上手くいかない。
何故かクリーニングは要らないが。
武器の生成は行えるが、月一という回数制限がある。
分解して、直せるならばそれが一番なのだ。
「入るぞー」
そう言って、俺は武器庫に入る。……武器庫と言っても、少し予備の銃とナイフ、爆薬等があるだけだ。
弾は支援兵の近くにいれば補給できるし、武器も自前のが多い為、あまり必要ない。
そのためもっぱら修理に使われる事が多い部屋だ。
「おーカゲ。来たか。ちょうど良かった。M4A1の分解終わったよ。」
「さんきゅ。……で、どうだ?」
「もうダメだな。どっかにかなり強くぶつけたりしたろ。バレルも少し曲がってるし、部品もかけたりしてる。撃てないとは言わねえけど危ないよ。次の生成を待つか、別のにするんだな。」
「……なんか代用の銃、あるか?」
「普通のM4があるよ。サイトはリフレックス。あとは固定銃床の89式。」
「解った。とりあえずM4使うよ。ありがとな。」
俺はM4を受け取り、背負うと武器庫を後にした。
目覚めの朝。体感だと7時位だろうか。
昨日飲み過ぎた俺はベロンベロンに酔っ払い、フラフラになりながらベッドで爆睡していたのだ。
二日酔いの頭痛に耐えつつ隣を見ると、長い髪の女の子が寝息をたてている。天使のような寝顔だ。
天使という種族に知り合いがいるが、そいつより天使っぽい。……まあそいつも可愛いが。
俺は女の子の頭を優しく撫でる。
「んみゅ……う……」
あーーすっげえ癒される。
思いっきり抱きしめてわしゃわしゃしてえーーっ!
……もちろんしないが。
同意がないし、同意があっても一般的に見たら事案である。ポリスメンは待ってくれない。
……少々名残惜しいが、女の子を起こす事にした。
「おい、起きろ。朝だぞ。」
女の子の肩を掴んで揺すってやる。
「みゅ……う……あふ。おは……よう。」
「おうおはよう。よく眠れた?」
「……ぐっすり。ふぁ……」
「二度寝すんなよ?後で大事な話があるから。……これ、君の服。洗っといたよ。」
「……ありがとう。……ねえ」
「ん?」
「……名前……何?」
「七上陽炎。皆はカゲとか、ながみんとか勝手によんでる。好きに呼んでくれ。」
「……じゃあ……「げろ」で……」
「?!」
素晴らしいセンスだ。確かにカゲロウだしカとウ抜いたら「ゲロ」だけども。
「訂正する。カゲと呼んでくれ。」
「……ん。……かげ……私はシルフィード……シルって……呼んで。」
「了解シル。着替えて下行くぞ。」
……にしてもなんか懐かれすぎな気がする。
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軽い朝食を取った俺は、シルを呼ぶ。
「シル、ここに座ってくれ。」
「……ん。」
……なんだか緊張してきた。胃がキリキリする。
なんせ今から、「ここは傭兵ギルドです。あなたの家族は俺達が殺して、屋敷は俺達が燃やしました。あなたはしばらく俺達の所で暮らして下さい」みたいな事を言うのだ。こんな小さな女の子に。
出来る事ならば、言いたくない。
しかし。言わなければならないのだ。これはケジメだ。家族を殺し、身勝手にも保護した俺の。
「……シル。落ち着いてよーく聞いてくれ。」
「……?」
「お前の家族は死んだ。屋敷も燃えた。……そして、それは俺達がやった。本当にすまない。」
「……」
「俺達は傭兵ギルド。Out-of-place。依頼で、君の家族を殺し、家を燃やした。……君は、その後瓦礫の中で偶然俺が見つけたんだ。……その、身勝手だけど、シルを保護させて貰った。しばらくの間、ここで君に過ごして貰う。本当、身勝手だけどね。」
「……」
シルは無言だ。相当のショックなのだろう。
元々無口で、あまり感情を出さないというのもあるのだろうが。
「……かげ。」
「……なんだ?」
ようやくシルが口を開ける。
俺はおそるおそる視線を合わせた。
「…別に……良い。……家族も家も……どうせシルのいばしょ……ない……から。」
「……そっか。」
「それに……あの人が……悪い人だって……知ってる。かげ……悪くないよ?」
「……おう。ありがとう。」
「……ここの方が……居心地……良い……から。私……だい……じょうぶ。」
シルは細い腕で、力こぶを出すポーズをした。
「……本当、ごめん。」
「あやまらなくて……いい……よ?」
思わず俯いてしまった俺の頭を、シルがポンポンと撫でる。
その手は温かく、小さな手だった。
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「秋山ー、いるかー?」
シルを暇そうにしてた修に任せ、俺は武器庫に居た。
動作不良で預けていた銃を取りにきたのだ。
銃や装備は、転移したときに神を名乗る者によって、俺達が実際にFPSで使用していた物等が用意されていた。しかし、それらは上手く動作しない事がある。砂を大量に噛めば動作不良を起こすし、自動拳銃の反動を手首で殺すと廃莢が上手くいかない。
何故かクリーニングは要らないが。
武器の生成は行えるが、月一という回数制限がある。
分解して、直せるならばそれが一番なのだ。
「入るぞー」
そう言って、俺は武器庫に入る。……武器庫と言っても、少し予備の銃とナイフ、爆薬等があるだけだ。
弾は支援兵の近くにいれば補給できるし、武器も自前のが多い為、あまり必要ない。
そのためもっぱら修理に使われる事が多い部屋だ。
「おーカゲ。来たか。ちょうど良かった。M4A1の分解終わったよ。」
「さんきゅ。……で、どうだ?」
「もうダメだな。どっかにかなり強くぶつけたりしたろ。バレルも少し曲がってるし、部品もかけたりしてる。撃てないとは言わねえけど危ないよ。次の生成を待つか、別のにするんだな。」
「……なんか代用の銃、あるか?」
「普通のM4があるよ。サイトはリフレックス。あとは固定銃床の89式。」
「解った。とりあえずM4使うよ。ありがとな。」
俺はM4を受け取り、背負うと武器庫を後にした。
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