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中編
第46話
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東北の夜が明け、明日軌はコクマに起こされた。
旅の疲れのせいか、夢も見ないで熟睡してしまった様だ。他人に寝顔を見られたのは久しぶりかも知れない。
十分な睡眠が取れたのは良いが、頭がボーっとして身体がダルい。遊びに来た訳じゃないのだからしっかりしなければ。
コクマは、続いて隣りの部屋で寝ている蜜月も起こす。あちらも熟睡している様で、乱暴な言葉使いに叩き起こされている。
それから紺色メイドの助けを借りて身支度を整え、朝食を取る。
「さて。出発しましょう」
明日軌は青いセーラー服、蜜月は鏡の鎧を着て、この家の主人に挨拶に向かう。
この家の家政婦に案内されたのは、昨日とは違う洋風な部屋だった。
武装したままでは失礼に当たるので、蜜月は廊下で待つ紺色メイドに武器類を一時的に預ける。
「おはようございます。予定通り、この街の蛤石の視察をし、それから北へ向かいます」
スーツの黒沢は、気を付けをして明日軌に向き直った。
改めて背筋を伸ばす明日軌。
蜜月は金持ち臭い調度品に目を奪われている。
「よろしくお願いします。用心と道案内を兼ねて我が家の妹社を同行させましょう」
黒沢はパンパンと手を打ち鳴らし、使用人に合図を送った。
「あ、いえ。大事な戦力を割いて頂く訳には参りません」
「現在この街は平和状態です。この状態を維持するには、橋の完成を阻止する事が重要なのです」
「失礼します」
ドアを開け、蜜月と同じデザインの鏡の鎧を着た萌子が洋室に入って来た。
「不束者ですが、よろしくお願いします」
黒沢の横に立った萌子は、緊張した面持ちでオカッパ頭を下げた。年相応の華奢な身体。妹社なので見た目通りではないだろうが、どう見ても鏡の鎧に着られている。
妹社同士の戦闘が行われるかも知れない場所に行くには頼りないと思ったが、明日軌はすぐに考えを改めた。黒沢から見れば、蜜月と萌子は同じ様な小娘か。勿論明日軌も小娘だ。コクマなんかただのメイドだろう。
「お言葉に甘えさせて頂きます。ただ、敵襲が有った場合の対処はどうされますか?」
「この街には雛白家に負けない規模の戦車隊が有ります。それに一春も居ます。ご心配は不要です」
「分かりました。では、行って参ります」
男の妹社は強いんだろうな。絶対の信頼が出来る事が羨ましい。
黒沢家の玄関から表に出た一行は、用意された軍用車に乗り込んだ。
座席は三列になっていて、運転席の後ろに明日軌とコクマ、最後列にフル装備の蜜月と萌子が座る。
一春と三人の紺色メイドが見送りの為に車に近寄って来た。
「お気を付けて、明日軌様」
心配そうな表情のメイド三人に微笑みを返す明日軌。
「貴女達も気を付けて。万が一戦闘になったら、この家に従って避難しなさい」
動き易そうな普段着の一春は萌子に話し掛ける。
「雛白様のご迷惑にならないように」
「分かってます、兄さん」
そして車は走り出す。
黒眼鏡を掛けた明日軌は真っ直ぐ前を見て、コクマは街並みに視線を送っている。木造平屋の民家ばかりで、行き交う人々に危機感は無い。越後の名失いの街と同じ風景だ。
歩兵銃を胸に抱いている蜜月は、同じく歩兵銃を抱いている萌子に話し掛ける。
「えっと、お、おはよう。萌子さんは、何歳なのかな」
「あ、おはようございます。十三歳です」
「私とひとつしか違わないんだ。私十四」
「あ、そ、そうなんですか? 蜜月さんって、浮遊型の大型を落としたって言う、あの蜜月さんですよね」
「うん。その事を知ってるんだ」
もじもじしながら頷く萌子。
「はい。世界初の偉業を成し遂げた方だから、もっと大人の方だと思っていました」
「あはは。一緒に戦ったのじこちゃんなんか十歳だよ」
「ほえ~……凄い。私、ちっちゃくて弱いから兄さんの足を引っ張ってばっかりいるんです。でも、もっとちっちゃい子が、そんな事を成し遂げたなんて……」
「まぁ、あの子は特別だから……」
苦笑いする蜜月。
「私、もっと頑張らなきゃ……」
萌子は雛白の物より大きい歩兵銃を強く抱く。
慰めの言葉を掛けようと思った蜜月だったが、良い言葉が見付からなかった。
戦っている所をまだ見ていないので、頑張ってるよ、はおかしい。
身体を鍛えろ、と言うのは偉そうか。
武器が身体に合っていないのでは? と言ったところで、それは萌子自身が一番分っている事だろう。
蜜月の歩兵銃は、雛白家の武器を設計している植杉が蜜月の身体に合わせて作った物だ。萌子の銃より小さくて軽い。
しかし蜜月には武器の調整は出来ないので、それについては何も言えない。
そんな事を考えている内に、軍用車は目的地に着いた。
「蛤石監視所に到着しました」
運転手がそう言ったので、明日軌達は車を降りた。いつの間に用意したのか、コクマは大きな鞄を持っている。
目の前には、見上げても天辺が見えない高さの木の壁。
「ここの造りもウチの街と同じですね」
蜜月は、日本刀を腰のベルトに差しながら天を仰いでいる。
「政府の指示に従って造っていますからね。あ、あの人がここの責任者ですね」
木の壁に開いている大きな入口からハンチング帽を被った若い男が出て来た。セーラー服とメイド服を見て愛想良い笑顔を浮かべる。
黒眼鏡を外した明日軌はその男と挨拶を交わし、それから壁の中の階段を登る。
壁の上の風景も同じだが、こちらには簡単な造りの屋根が有る。屋根が作る日陰に入って涼んでいる男達が、物珍しそうに明日軌達を見ている。東北の夏は越後より涼しいが、男達は屋根を重宝している様だ。
帰ったら屋根を付ける工事の指示をしようかしら。要望が無かったので後回しになっていたけど、屋根は必要ね。
そう考えながら歩いていた明日軌は、責任者の案内に従って監視小屋に入る。
中の風景も同じ。双眼鏡を目に当てた二人の男性が窓から蛤石を監視している。
「お邪魔します」
この場所では初めて聞く若い娘の声に、監視していた男達が一瞬だけ振り向く。
「差し入れです。みなさんで召し上がってください」
コクマが小屋の中の机に大きな鞄を置いた。
「私、ここに入るのは初めてです」
「そうなんだ。ここも私の街と同じだ」
萌子と蜜月も小屋に入って来る。
「双眼鏡をお借りしても宜しいかしら?」
「どうぞ」
責任者から双眼鏡を受け取る明日軌。
「ありがとう」
窓から外を見る。
右目には、茶色の地面から生えた銀水晶が。
左目には、鬱蒼とした森の中の風景が見えた。小川のせせらぎ、舞う蝶、木を登るリス。そんな素敵な風景が失われている。
ただ、それだけだった。
この地に特別な意味は無さそうだ。
「……特に問題は有りませんね。萌子さん」
「あ、は、はい!」
急に名前を呼ばれたので、オカッパ少女は裏返った声で返事をしてしまう。
「ここに来たのが初めてなら、蛤石を見た事は有りませんよね。どうぞ御覧になってください」
「はいぃ!」
明日軌が差し出す双眼鏡を、まるで貴重品を受け取るかの様に両手で持つ萌子。
「では、失礼します」
萌子は恐縮しながら双眼鏡を覗く。
「あれが……思ったより綺麗……」
そう呟いている萌子から離れ、蜜月に近付く明日軌。犬の様な髪型の頭に小さな唇が寄り、囁く。
「以前、我が街の蛤石を左目で見た時、人の顔をした三本の樹が生えている、と言う話をしましたね」
「え? あ、はい」
越後の名失いの街に有る蛤石を龍の目で見ると、蜜月、のじこ、あと一人の顔が付いた三本の樹が生えている。
それが何なのかは、明日軌には分からない。土地の記憶が見えているだけなので、それが何を表しているかまでは知りようが無いのだ。
現実とは余りにも掛け離れた光景なので推理も出来ない。
どう説明したら良いのか分からないので政府にも報告していない。
その風景の事を他人に話したのは、蜜月に対してだけだ。当人である蜜月も、それが何なのかは分からなかった。
「三本目の樹の顔は、萌子さんです」
「え?」
驚いた顔で明日軌を見た蜜月は、それから萌子の後ろ姿を見る。まだ双眼鏡を覗いている。
「私達がこの街に来たのも、運命のレール通りと言う気配がします。最悪の事態も予想されます」
「最悪、とは?」
明日軌の眉間に皺が刻まれる。
「萌子さんが、私達の街に来る、と言う事です。エルエルさんと同じ様に」
「……? あ、そうか」
奥歯に物の挟まった言い方の意味がやっと分かる蜜月。
エルエルが蜜月達の街に来たのは、守るべき国が滅んだからだ。
萌子が蜜月達の街に来ると言う事は、東北が神鬼支配になり、越後に後退せざるを得ない事態になると言う事だ。
明日軌が言う最悪とは、北から攻めて来る敵にこの街が蹂躙される、と言う意味か。
そんな事は、二四時間蛤石を監視しているこの小屋では言葉に出来ない。他所の街の士気を下げる訳には行かないし。
「では、そろそろ北に向かうとしましょうか。蛤石監視員の皆様、お邪魔しました。頑張ってください」
さっさと小屋を後にする明日軌とコクマ。
「あ、双眼鏡、ありがとうございました!」
責任者に双眼鏡を返した萌子は、慌てて明日軌の後を追う。
一人緊張した面持ちの蜜月は、萌子の小さな背中を追いながら武者震いした。
北で最悪が待っているかも知れない。私達は無事に帰れるんだろうか……?
旅の疲れのせいか、夢も見ないで熟睡してしまった様だ。他人に寝顔を見られたのは久しぶりかも知れない。
十分な睡眠が取れたのは良いが、頭がボーっとして身体がダルい。遊びに来た訳じゃないのだからしっかりしなければ。
コクマは、続いて隣りの部屋で寝ている蜜月も起こす。あちらも熟睡している様で、乱暴な言葉使いに叩き起こされている。
それから紺色メイドの助けを借りて身支度を整え、朝食を取る。
「さて。出発しましょう」
明日軌は青いセーラー服、蜜月は鏡の鎧を着て、この家の主人に挨拶に向かう。
この家の家政婦に案内されたのは、昨日とは違う洋風な部屋だった。
武装したままでは失礼に当たるので、蜜月は廊下で待つ紺色メイドに武器類を一時的に預ける。
「おはようございます。予定通り、この街の蛤石の視察をし、それから北へ向かいます」
スーツの黒沢は、気を付けをして明日軌に向き直った。
改めて背筋を伸ばす明日軌。
蜜月は金持ち臭い調度品に目を奪われている。
「よろしくお願いします。用心と道案内を兼ねて我が家の妹社を同行させましょう」
黒沢はパンパンと手を打ち鳴らし、使用人に合図を送った。
「あ、いえ。大事な戦力を割いて頂く訳には参りません」
「現在この街は平和状態です。この状態を維持するには、橋の完成を阻止する事が重要なのです」
「失礼します」
ドアを開け、蜜月と同じデザインの鏡の鎧を着た萌子が洋室に入って来た。
「不束者ですが、よろしくお願いします」
黒沢の横に立った萌子は、緊張した面持ちでオカッパ頭を下げた。年相応の華奢な身体。妹社なので見た目通りではないだろうが、どう見ても鏡の鎧に着られている。
妹社同士の戦闘が行われるかも知れない場所に行くには頼りないと思ったが、明日軌はすぐに考えを改めた。黒沢から見れば、蜜月と萌子は同じ様な小娘か。勿論明日軌も小娘だ。コクマなんかただのメイドだろう。
「お言葉に甘えさせて頂きます。ただ、敵襲が有った場合の対処はどうされますか?」
「この街には雛白家に負けない規模の戦車隊が有ります。それに一春も居ます。ご心配は不要です」
「分かりました。では、行って参ります」
男の妹社は強いんだろうな。絶対の信頼が出来る事が羨ましい。
黒沢家の玄関から表に出た一行は、用意された軍用車に乗り込んだ。
座席は三列になっていて、運転席の後ろに明日軌とコクマ、最後列にフル装備の蜜月と萌子が座る。
一春と三人の紺色メイドが見送りの為に車に近寄って来た。
「お気を付けて、明日軌様」
心配そうな表情のメイド三人に微笑みを返す明日軌。
「貴女達も気を付けて。万が一戦闘になったら、この家に従って避難しなさい」
動き易そうな普段着の一春は萌子に話し掛ける。
「雛白様のご迷惑にならないように」
「分かってます、兄さん」
そして車は走り出す。
黒眼鏡を掛けた明日軌は真っ直ぐ前を見て、コクマは街並みに視線を送っている。木造平屋の民家ばかりで、行き交う人々に危機感は無い。越後の名失いの街と同じ風景だ。
歩兵銃を胸に抱いている蜜月は、同じく歩兵銃を抱いている萌子に話し掛ける。
「えっと、お、おはよう。萌子さんは、何歳なのかな」
「あ、おはようございます。十三歳です」
「私とひとつしか違わないんだ。私十四」
「あ、そ、そうなんですか? 蜜月さんって、浮遊型の大型を落としたって言う、あの蜜月さんですよね」
「うん。その事を知ってるんだ」
もじもじしながら頷く萌子。
「はい。世界初の偉業を成し遂げた方だから、もっと大人の方だと思っていました」
「あはは。一緒に戦ったのじこちゃんなんか十歳だよ」
「ほえ~……凄い。私、ちっちゃくて弱いから兄さんの足を引っ張ってばっかりいるんです。でも、もっとちっちゃい子が、そんな事を成し遂げたなんて……」
「まぁ、あの子は特別だから……」
苦笑いする蜜月。
「私、もっと頑張らなきゃ……」
萌子は雛白の物より大きい歩兵銃を強く抱く。
慰めの言葉を掛けようと思った蜜月だったが、良い言葉が見付からなかった。
戦っている所をまだ見ていないので、頑張ってるよ、はおかしい。
身体を鍛えろ、と言うのは偉そうか。
武器が身体に合っていないのでは? と言ったところで、それは萌子自身が一番分っている事だろう。
蜜月の歩兵銃は、雛白家の武器を設計している植杉が蜜月の身体に合わせて作った物だ。萌子の銃より小さくて軽い。
しかし蜜月には武器の調整は出来ないので、それについては何も言えない。
そんな事を考えている内に、軍用車は目的地に着いた。
「蛤石監視所に到着しました」
運転手がそう言ったので、明日軌達は車を降りた。いつの間に用意したのか、コクマは大きな鞄を持っている。
目の前には、見上げても天辺が見えない高さの木の壁。
「ここの造りもウチの街と同じですね」
蜜月は、日本刀を腰のベルトに差しながら天を仰いでいる。
「政府の指示に従って造っていますからね。あ、あの人がここの責任者ですね」
木の壁に開いている大きな入口からハンチング帽を被った若い男が出て来た。セーラー服とメイド服を見て愛想良い笑顔を浮かべる。
黒眼鏡を外した明日軌はその男と挨拶を交わし、それから壁の中の階段を登る。
壁の上の風景も同じだが、こちらには簡単な造りの屋根が有る。屋根が作る日陰に入って涼んでいる男達が、物珍しそうに明日軌達を見ている。東北の夏は越後より涼しいが、男達は屋根を重宝している様だ。
帰ったら屋根を付ける工事の指示をしようかしら。要望が無かったので後回しになっていたけど、屋根は必要ね。
そう考えながら歩いていた明日軌は、責任者の案内に従って監視小屋に入る。
中の風景も同じ。双眼鏡を目に当てた二人の男性が窓から蛤石を監視している。
「お邪魔します」
この場所では初めて聞く若い娘の声に、監視していた男達が一瞬だけ振り向く。
「差し入れです。みなさんで召し上がってください」
コクマが小屋の中の机に大きな鞄を置いた。
「私、ここに入るのは初めてです」
「そうなんだ。ここも私の街と同じだ」
萌子と蜜月も小屋に入って来る。
「双眼鏡をお借りしても宜しいかしら?」
「どうぞ」
責任者から双眼鏡を受け取る明日軌。
「ありがとう」
窓から外を見る。
右目には、茶色の地面から生えた銀水晶が。
左目には、鬱蒼とした森の中の風景が見えた。小川のせせらぎ、舞う蝶、木を登るリス。そんな素敵な風景が失われている。
ただ、それだけだった。
この地に特別な意味は無さそうだ。
「……特に問題は有りませんね。萌子さん」
「あ、は、はい!」
急に名前を呼ばれたので、オカッパ少女は裏返った声で返事をしてしまう。
「ここに来たのが初めてなら、蛤石を見た事は有りませんよね。どうぞ御覧になってください」
「はいぃ!」
明日軌が差し出す双眼鏡を、まるで貴重品を受け取るかの様に両手で持つ萌子。
「では、失礼します」
萌子は恐縮しながら双眼鏡を覗く。
「あれが……思ったより綺麗……」
そう呟いている萌子から離れ、蜜月に近付く明日軌。犬の様な髪型の頭に小さな唇が寄り、囁く。
「以前、我が街の蛤石を左目で見た時、人の顔をした三本の樹が生えている、と言う話をしましたね」
「え? あ、はい」
越後の名失いの街に有る蛤石を龍の目で見ると、蜜月、のじこ、あと一人の顔が付いた三本の樹が生えている。
それが何なのかは、明日軌には分からない。土地の記憶が見えているだけなので、それが何を表しているかまでは知りようが無いのだ。
現実とは余りにも掛け離れた光景なので推理も出来ない。
どう説明したら良いのか分からないので政府にも報告していない。
その風景の事を他人に話したのは、蜜月に対してだけだ。当人である蜜月も、それが何なのかは分からなかった。
「三本目の樹の顔は、萌子さんです」
「え?」
驚いた顔で明日軌を見た蜜月は、それから萌子の後ろ姿を見る。まだ双眼鏡を覗いている。
「私達がこの街に来たのも、運命のレール通りと言う気配がします。最悪の事態も予想されます」
「最悪、とは?」
明日軌の眉間に皺が刻まれる。
「萌子さんが、私達の街に来る、と言う事です。エルエルさんと同じ様に」
「……? あ、そうか」
奥歯に物の挟まった言い方の意味がやっと分かる蜜月。
エルエルが蜜月達の街に来たのは、守るべき国が滅んだからだ。
萌子が蜜月達の街に来ると言う事は、東北が神鬼支配になり、越後に後退せざるを得ない事態になると言う事だ。
明日軌が言う最悪とは、北から攻めて来る敵にこの街が蹂躙される、と言う意味か。
そんな事は、二四時間蛤石を監視しているこの小屋では言葉に出来ない。他所の街の士気を下げる訳には行かないし。
「では、そろそろ北に向かうとしましょうか。蛤石監視員の皆様、お邪魔しました。頑張ってください」
さっさと小屋を後にする明日軌とコクマ。
「あ、双眼鏡、ありがとうございました!」
責任者に双眼鏡を返した萌子は、慌てて明日軌の後を追う。
一人緊張した面持ちの蜜月は、萌子の小さな背中を追いながら武者震いした。
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