35 / 89
12 束の間の安らぎ
フェリーチェが庭園で花を摘んで部屋に戻るとアーサーがソファに座っていた。
「アーサー様…。あの、とてもお顔の色が悪いですよ。」
「ああ。このところ忙しくて…ろくに寝てないんだ。ここにもずっと来れないでごめんね。最近、王宮で起きたこと知っているだろうか?」
「はい…。王太子様がお亡くなりになったとお聞きしました。とても素晴らしいお方だったと侍女が話しておりました。お優しいお方だったとか。」
「うん。尊敬できる人だったよ。エスカペイド兄上のことは聞いた?」
「いえ。何かあったのですか?」
「ああ。落馬して脚が動かなくなってしまった。今もまだベッドで起き上がることもできない。」
「まあ…。そんな事があったとは知りませんでしたわ。」
「それで…暫定的に僕が王太子になった。まだ正式には発表されていないけど。発表されたら僕は王子宮から出て王宮の王太子の部屋に移ることになる。だから落ち着くまでは今以上にここに来る回数が減ると思う。」
「そうですか…。分かりました。アーサー様もお体に気をつけてお過ごしください。私は天国に行かれた王太子様と奥様のために毎日お祈りを捧げます。だからもしも、アーサー様がお忙しくてお祈りができなくてもご安心ください。」
そう言って微笑んだフェリーチェをアーサーは抱きしめた。
「今日はここで夕食をとって泊まりたいんだけどいいかな?久しぶりに来てこんな事を言うのも申し訳ないが…。フェリーチェと一緒にいたいんだ。」
勿論、フェリーチェは喜んで承諾した。
2人は楽しく食事をして、キティと遊んで、一緒に寝た。
この日アーサーは久しぶりに良い眠りを得ることが出来た。
次の日はフェリーチェが起きてもアーサーはまだ隣で眠っていた。
2ヶ月近くも放って置かれたことは寂しくてしかたなかったが、説明してもらえたから納得は出来た。
アーサーが立太子したらその頃には婚約者もいるだろうから、自分はお役御免になるだろうか。
そう思うと悲しかったしアーサーを愛していても、今の窮屈な暮らしに辟易していたフェリーチェは希望を持てるのだった。
それからはアーサーは短時間だが2日に1回はフェリーチェのもとにやって来た。
1週間に一度ぐらいは部屋で夜を過ごす。
アーサーの疲れた顔を見ると、フェリーチェは彼を癒してあげたいと思う気持ちが勝って、いつまでここにいなければならないかと聞くことができずにいた。
アーサーが来るたびにもやもやとした気持ちが溜まっていった。
「アーサー様…。あの、とてもお顔の色が悪いですよ。」
「ああ。このところ忙しくて…ろくに寝てないんだ。ここにもずっと来れないでごめんね。最近、王宮で起きたこと知っているだろうか?」
「はい…。王太子様がお亡くなりになったとお聞きしました。とても素晴らしいお方だったと侍女が話しておりました。お優しいお方だったとか。」
「うん。尊敬できる人だったよ。エスカペイド兄上のことは聞いた?」
「いえ。何かあったのですか?」
「ああ。落馬して脚が動かなくなってしまった。今もまだベッドで起き上がることもできない。」
「まあ…。そんな事があったとは知りませんでしたわ。」
「それで…暫定的に僕が王太子になった。まだ正式には発表されていないけど。発表されたら僕は王子宮から出て王宮の王太子の部屋に移ることになる。だから落ち着くまでは今以上にここに来る回数が減ると思う。」
「そうですか…。分かりました。アーサー様もお体に気をつけてお過ごしください。私は天国に行かれた王太子様と奥様のために毎日お祈りを捧げます。だからもしも、アーサー様がお忙しくてお祈りができなくてもご安心ください。」
そう言って微笑んだフェリーチェをアーサーは抱きしめた。
「今日はここで夕食をとって泊まりたいんだけどいいかな?久しぶりに来てこんな事を言うのも申し訳ないが…。フェリーチェと一緒にいたいんだ。」
勿論、フェリーチェは喜んで承諾した。
2人は楽しく食事をして、キティと遊んで、一緒に寝た。
この日アーサーは久しぶりに良い眠りを得ることが出来た。
次の日はフェリーチェが起きてもアーサーはまだ隣で眠っていた。
2ヶ月近くも放って置かれたことは寂しくてしかたなかったが、説明してもらえたから納得は出来た。
アーサーが立太子したらその頃には婚約者もいるだろうから、自分はお役御免になるだろうか。
そう思うと悲しかったしアーサーを愛していても、今の窮屈な暮らしに辟易していたフェリーチェは希望を持てるのだった。
それからはアーサーは短時間だが2日に1回はフェリーチェのもとにやって来た。
1週間に一度ぐらいは部屋で夜を過ごす。
アーサーの疲れた顔を見ると、フェリーチェは彼を癒してあげたいと思う気持ちが勝って、いつまでここにいなければならないかと聞くことができずにいた。
アーサーが来るたびにもやもやとした気持ちが溜まっていった。
あなたにおすすめの小説
4人の女
猫枕
恋愛
カトリーヌ・スタール侯爵令嬢、セリーヌ・ラルミナ伯爵令嬢、イネス・フーリエ伯爵令嬢、ミレーユ・リオンヌ子爵令息夫人。
うららかな春の日の午後、4人の見目麗しき女性達の優雅なティータイム。
このご婦人方には共通点がある。
かつて4人共が、ある一人の男性の妻であった。
『氷の貴公子』の異名を持つ男。
ジルベール・タレーラン公爵令息。
絶対的権力と富を有するタレーラン公爵家の唯一の後継者で絶世の美貌を持つ男。
しかしてその本性は冷酷無慈悲の女嫌い。
この国きっての選りすぐりの4人のご令嬢達は揃いも揃ってタレーラン家を叩き出された仲間なのだ。
こうやって集まるのはこれで2回目なのだが、やはり、話は自然と共通の話題、あの男のことになるわけで・・・。
仮面王の花嫁
松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。
しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【感謝】
第19回恋愛小説大賞にて奨励賞を受賞しました。
ありがとうございます。
とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
2度死んだ王子は今度こそ生き残りたい
緑緑緑
ファンタジー
王太子ロイは、かつて二度の革命によって祖国を崩壊させてしまった過去を持つ。命を落とすたび、彼はある時点へと巻き戻される。そして今、三度目の人生が静かに幕を開けようとしていた。
――自分は民を理解しているつもりだった。
だが実際には、その表面しか見えていなかったのだ。
その痛烈な自覚から、物語は動き始める。
革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。
彼はエコール学園での生活を通じ、身分も立場も異なる様々な人間と深く関わっていく。
そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。
【完結】クズ男と決別した私の未来は輝いている。
カシスサワー
恋愛
五年間、幸は彼を信じ、支え続けてきた。
「会社が成功したら、祖父に紹介するつもりだ。それまで俺を支えて待っていてほしい。必ず幸と結婚するから」
そう、圭吾は約束した。
けれど――すべてが順調に進んでいるはずの今、幸が目にしたのは、圭吾の婚約の報せ。
問い詰めた幸に、圭吾は冷たく言い放つ。
「結婚相手は、それなりの家柄じゃないと祖父が納得しない。だから幸とは結婚できない。でも……愛人としてなら、そばに置いてやってもいい」
その瞬間、幸の中で、なにかがプチッと切れた。
花言葉は「私のものになって」
岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。)
そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。
その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。
美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。
青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。