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25 変化する気持ち
3週間ぶりの外出に気分が良かった。
フェリーチェはミリラ地区の麦畑に来ていた。
今日のお供はアニエスとユージェニー、御者兼護衛が1人だった。
「ここは私の実家のモス伯爵家の領地なんですよ。それで、カマユー様にすぐにお教えすることができたんです。」
「そうなのね。麦穂がきれいね。収穫まであとひと月ぐらいかしら?」
「おや、フェリーチェ様は麦にお詳しいですね。」
「ふふふ。そうでもないわ。」
太陽の陽射しが強く傘をさして歩くフェリーチェを見つめてユージェニーは思った。
この方にはこんな自然の中の風景がよく似合う。
この方がアーサー様の閨房役で無ければよかったのに。
最近はそう思うことが増えた。
后と仲睦まじく過ごしているのにフェリーチェ様を王子宮に置いておく必要があるのか?
閨房役が満了となったら、彼女にはどこか婚家をあてがわれるはずだ。
そこに私の名前が挙がることは無いのだろうか…。
フェリーチェとユージェニーが並んで散歩するのを少し離れてアニエスも歩いていた。
一面の麦畑の側道。
どこかで…いつだったか…麦畑で誰かの手伝いをしてパンをもらった事があった。
自分以外にも子どもたちが大勢いて…隣にいつもいたのは少し背の高い自分と同じ黒髪、黒い瞳の男の子が…。
ああ…どうして子供の頃の記憶がこんなにも思い出せないのか?
私の12歳までの思い出はどこにいったのか?
サヴォア家に来るまでの記憶は本当にぼんやりとしている。
「あら、ユージェニーさん。この麦の穂を見てください。何か黒い塊が着いているわ。」
「本当ですね…あちらにも同じようなものがありますね。」
「何か病気だったら困りますね、広がったら…。もう少しで刈り入れなのに。」
「そうですね…後で父に言って農民に確認させるようにします。助言ありがとうございます。」
「いえいえ、どういたしまして。」
「ではそろそろ、王都に戻りネージュ夫人へのプレゼントを探しに行きましょう。誕生日にお呼ばれになっているのでしょう?」
「そうね!早く戻りましょう。きっと迷って時間がかかるから。」
王の執務室では側近たちが重苦しい雰囲気でひたすら書類を書いていた。
このところ、麦の病気発生の報告が度々届くようになっていた。
収穫量が減りそうだから減税をしてほしいとの訴えが何通も来ていた。
仕事は優秀な文官たちで何とでもなるのだ、今迄の王のように。
困っているのは、農政大臣を現地に向かわせるには王の承認がいるのに王が執務室にいないことだった。
結婚してからというもの、アーサーが執務室に来るのは昼食が終わってからだった。
「王妃がこの国に慣れるまでは伴侶である私が心を砕かなければならないだろう。」
誰が何を言っても、いつもこう返答されるだけだった。
宰相や大臣が諌めたところでいっこうに改善されていない。
それどころか王になったアーサーには王太子だった頃のような勤勉さが無かった。
結婚してもう時期2ヶ月になる。
それなのにアーサーはスタリナのそばにいたくて仕方なかった。
初夜の日、蕾だったスタリナの体はアーサーの手によって花が開いた。
一見幼く見える妻の顔が、抱く度に官能的な女の顔になっていくのが愉しくて仕方がない。
それに、時々寂しそうに母国から持ってきた風景画を見つめているのを見ると、帰りたいと言われるのではないかと心配になった。
できるだけ傍にいてやろうと思うのは当たり前だろう。
確かに執務時間が減って、署名する書類も期限付きのものから処理しているので、そうでないものは後回しになっていた。
そして、未決済は溜まっていくのだが、アーサーは自分は仕事ができるという自負があったので、いざとなればすぐに終わらせる自信があった。
フェリーチェはミリラ地区の麦畑に来ていた。
今日のお供はアニエスとユージェニー、御者兼護衛が1人だった。
「ここは私の実家のモス伯爵家の領地なんですよ。それで、カマユー様にすぐにお教えすることができたんです。」
「そうなのね。麦穂がきれいね。収穫まであとひと月ぐらいかしら?」
「おや、フェリーチェ様は麦にお詳しいですね。」
「ふふふ。そうでもないわ。」
太陽の陽射しが強く傘をさして歩くフェリーチェを見つめてユージェニーは思った。
この方にはこんな自然の中の風景がよく似合う。
この方がアーサー様の閨房役で無ければよかったのに。
最近はそう思うことが増えた。
后と仲睦まじく過ごしているのにフェリーチェ様を王子宮に置いておく必要があるのか?
閨房役が満了となったら、彼女にはどこか婚家をあてがわれるはずだ。
そこに私の名前が挙がることは無いのだろうか…。
フェリーチェとユージェニーが並んで散歩するのを少し離れてアニエスも歩いていた。
一面の麦畑の側道。
どこかで…いつだったか…麦畑で誰かの手伝いをしてパンをもらった事があった。
自分以外にも子どもたちが大勢いて…隣にいつもいたのは少し背の高い自分と同じ黒髪、黒い瞳の男の子が…。
ああ…どうして子供の頃の記憶がこんなにも思い出せないのか?
私の12歳までの思い出はどこにいったのか?
サヴォア家に来るまでの記憶は本当にぼんやりとしている。
「あら、ユージェニーさん。この麦の穂を見てください。何か黒い塊が着いているわ。」
「本当ですね…あちらにも同じようなものがありますね。」
「何か病気だったら困りますね、広がったら…。もう少しで刈り入れなのに。」
「そうですね…後で父に言って農民に確認させるようにします。助言ありがとうございます。」
「いえいえ、どういたしまして。」
「ではそろそろ、王都に戻りネージュ夫人へのプレゼントを探しに行きましょう。誕生日にお呼ばれになっているのでしょう?」
「そうね!早く戻りましょう。きっと迷って時間がかかるから。」
王の執務室では側近たちが重苦しい雰囲気でひたすら書類を書いていた。
このところ、麦の病気発生の報告が度々届くようになっていた。
収穫量が減りそうだから減税をしてほしいとの訴えが何通も来ていた。
仕事は優秀な文官たちで何とでもなるのだ、今迄の王のように。
困っているのは、農政大臣を現地に向かわせるには王の承認がいるのに王が執務室にいないことだった。
結婚してからというもの、アーサーが執務室に来るのは昼食が終わってからだった。
「王妃がこの国に慣れるまでは伴侶である私が心を砕かなければならないだろう。」
誰が何を言っても、いつもこう返答されるだけだった。
宰相や大臣が諌めたところでいっこうに改善されていない。
それどころか王になったアーサーには王太子だった頃のような勤勉さが無かった。
結婚してもう時期2ヶ月になる。
それなのにアーサーはスタリナのそばにいたくて仕方なかった。
初夜の日、蕾だったスタリナの体はアーサーの手によって花が開いた。
一見幼く見える妻の顔が、抱く度に官能的な女の顔になっていくのが愉しくて仕方がない。
それに、時々寂しそうに母国から持ってきた風景画を見つめているのを見ると、帰りたいと言われるのではないかと心配になった。
できるだけ傍にいてやろうと思うのは当たり前だろう。
確かに執務時間が減って、署名する書類も期限付きのものから処理しているので、そうでないものは後回しになっていた。
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