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フェリシテが一番気がかりなのがまさに両親の墓のことだった。
アンプとノヴァのことを忘れろなんて言われたらこの話は無しだ。
産んだ親がわからない子供ではなく、両親から十分な愛情を受けて育ったフェリシテにとっては絶対に譲れないことだった。
まあ、上手くいかなくても孤児院に戻してもらおう。
私は今のままでも十分幸せだもの、何処かで働いてパパみたいな優しい人と結婚してこの村で暮らしていきたいな。
今日が最終日、そしてタイムリミット、孤児院に向かう馬車の中でネージュ夫妻は焦っていた。
「直ぐに一緒に来るって言ってくれると思ったのに…。」
「仕方ないよ。もっと小さな子供なら簡単だったと思うけど。もう13歳だからね、自分の意思もあるさ。無理やり連れて行っても後々、苦労しそうだし説得するしかない。」
「今からでも後、2年しかないのよ。どれぐらい教育できるかわからないわ。平民の子どもを貴族のようにしなければならないのよ。ブラスバン公爵も無茶なことをおっしゃるわ。」
「でもこんな良い取引はないよ。あの娘を何年か育てるだけで多額の養育費とヴィックスの将来も安泰なんだ。」
「…そうね。親の欲目から見てもヴィックスは平凡すぎてパッとしないわ。次男だから継げる爵位はうちにはないし何処かに婿入できればいいけど…探すのは難しそうだわ
。」
「そうだね。でもあの娘を育てれば、ヴィックスを王宮の文官にしてくださる約束をして下さった。」
「本当に王宮の文官になれるならヴィックスの将来を悩む必要は無くなるわ。本当に信じていいの?」
「ああ、ちゃんとブラスバン公爵に誓約書をいただいている。」
「いったいそこまでするなんて、あの女の子はいったいどういう子なのかしら。何処か高貴な方の落とし胤とか?」
「おい、詮索は駄目だよ。公爵も言っていただろう?とにかく今日はあの娘の言うことは全てOKにするんだ。」
「わかったわ。どちらにしろ数年預かるだけだもの。」
フェリシテは戸惑っていた。
フェリシテの要望を全て受け入れてくれると言うネージュ夫妻に。
お墓参りは1年後の春にと約束をしてくれたし、パパとママに毎日お祈りすればいいと子爵領に着いたら遺髪を入れるように綺麗で上等な箱を買ってくれるという。
もう、断る理由はなかった。
今日も沢山のお菓子を持ってきてくれたネージュ夫妻に養女になる、と返事をした。
夫妻はとても嬉しそうだったが、色々と予定が押していたそうで出発が明日になると伝えられた。
その日の夜はフェリシテのお別れ会になった。
司祭達も子供達も皆でフェリシテの為に讃美歌を歌ってくれた。
司祭達に見つからないようにこっそり月明かりの中、ランブロウについてきてもらって両親の墓に離れる挨拶と見守ってほしいと祈りを捧げた。
翌日、フェリシテの迎えに来たネージュ子爵夫妻の馬車を皆が見送りに来てくれた。
フェリシテは馬車の窓から一生懸命皆に手を振った。
ランブロウの寂しそうな顔を見るのが悲しかった。
心の支えになってくれた兄さんと呼べる人だった。
今まで孤児の旅立ちに、立ち会ったことのないタンバル司祭がいることにグルス司祭は珍しいなと思いつつ声をかけてみた。
「あの子はね。私が洗礼式を行ったんですよ。ふふふ、無事に大きくなってよかったですよ。今日の日を迎える事が出来て。」
満面の笑みを浮かべるタンバル司祭を見て、グルスもモーゼンも何か違和感を感じた。
夫妻が多額の寄付をしてくれたので満場一致で送り出したのだが…
本当に良かったのだろうか?
アンプとノヴァのことを忘れろなんて言われたらこの話は無しだ。
産んだ親がわからない子供ではなく、両親から十分な愛情を受けて育ったフェリシテにとっては絶対に譲れないことだった。
まあ、上手くいかなくても孤児院に戻してもらおう。
私は今のままでも十分幸せだもの、何処かで働いてパパみたいな優しい人と結婚してこの村で暮らしていきたいな。
今日が最終日、そしてタイムリミット、孤児院に向かう馬車の中でネージュ夫妻は焦っていた。
「直ぐに一緒に来るって言ってくれると思ったのに…。」
「仕方ないよ。もっと小さな子供なら簡単だったと思うけど。もう13歳だからね、自分の意思もあるさ。無理やり連れて行っても後々、苦労しそうだし説得するしかない。」
「今からでも後、2年しかないのよ。どれぐらい教育できるかわからないわ。平民の子どもを貴族のようにしなければならないのよ。ブラスバン公爵も無茶なことをおっしゃるわ。」
「でもこんな良い取引はないよ。あの娘を何年か育てるだけで多額の養育費とヴィックスの将来も安泰なんだ。」
「…そうね。親の欲目から見てもヴィックスは平凡すぎてパッとしないわ。次男だから継げる爵位はうちにはないし何処かに婿入できればいいけど…探すのは難しそうだわ
。」
「そうだね。でもあの娘を育てれば、ヴィックスを王宮の文官にしてくださる約束をして下さった。」
「本当に王宮の文官になれるならヴィックスの将来を悩む必要は無くなるわ。本当に信じていいの?」
「ああ、ちゃんとブラスバン公爵に誓約書をいただいている。」
「いったいそこまでするなんて、あの女の子はいったいどういう子なのかしら。何処か高貴な方の落とし胤とか?」
「おい、詮索は駄目だよ。公爵も言っていただろう?とにかく今日はあの娘の言うことは全てOKにするんだ。」
「わかったわ。どちらにしろ数年預かるだけだもの。」
フェリシテは戸惑っていた。
フェリシテの要望を全て受け入れてくれると言うネージュ夫妻に。
お墓参りは1年後の春にと約束をしてくれたし、パパとママに毎日お祈りすればいいと子爵領に着いたら遺髪を入れるように綺麗で上等な箱を買ってくれるという。
もう、断る理由はなかった。
今日も沢山のお菓子を持ってきてくれたネージュ夫妻に養女になる、と返事をした。
夫妻はとても嬉しそうだったが、色々と予定が押していたそうで出発が明日になると伝えられた。
その日の夜はフェリシテのお別れ会になった。
司祭達も子供達も皆でフェリシテの為に讃美歌を歌ってくれた。
司祭達に見つからないようにこっそり月明かりの中、ランブロウについてきてもらって両親の墓に離れる挨拶と見守ってほしいと祈りを捧げた。
翌日、フェリシテの迎えに来たネージュ子爵夫妻の馬車を皆が見送りに来てくれた。
フェリシテは馬車の窓から一生懸命皆に手を振った。
ランブロウの寂しそうな顔を見るのが悲しかった。
心の支えになってくれた兄さんと呼べる人だった。
今まで孤児の旅立ちに、立ち会ったことのないタンバル司祭がいることにグルス司祭は珍しいなと思いつつ声をかけてみた。
「あの子はね。私が洗礼式を行ったんですよ。ふふふ、無事に大きくなってよかったですよ。今日の日を迎える事が出来て。」
満面の笑みを浮かべるタンバル司祭を見て、グルスもモーゼンも何か違和感を感じた。
夫妻が多額の寄付をしてくれたので満場一致で送り出したのだが…
本当に良かったのだろうか?
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