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4 お伽話『王冠の乙女』 ①
ネージュ夫妻は困惑していた。
本来なら貴族の子息令嬢は16歳から18歳まで貴族学院で学ばなければならない。
なのに、宰相の補佐官であるギー・サヴォア伯爵がわざわざやって来てフェリーチェが貴族学院に通う必要はない(行かせるな)と言ってきたからだ。
夫妻にとっては契約とはいえ大事に育てている娘を、貴族なら誰でもいく学校に行かせないという選択肢はなかった。
貴族として育てろと言っておきながら、貴族の子としての当たり前の権利は奪うというのか?
ギーはフェリーチェに悪い虫が付いてはいけないからだと言った。
そんな理由に納得できない夫妻は抗議したが、契約不履行になると言われれば夫妻は悔しげに唇を噛むしかなかった。
「ネージュ子爵。今後の事はあまり話せませんが、フェリーチェ嬢には18歳になったら第3王子の元へ行ってもらいます。これは、ほぼ決定事項です。なので学院より子爵家で教育を徹底して下さい。教師はこちらで手配をしますので決まるまではマナーを中心に教育をして下さい。あと、フェリーチェ嬢と他家との交流は控えて下さい。」
「あの、それはどういうことでしょうか?」
その問いに表情の無いまま立ち上がると何も答えずにギーは帰って行った。
他家と交流をするなということは社交界に出るなということで、それは貴族としては致命的なことだった。
王子の元にやるという事は、身分的には妃にも側室にもなれないから侍女に召し上げるのか?
もしかしすると若い王子の欲のはけ口にでもするつもりなのか…
これでは王子に献上する為だけに大切に育てろと言われていたようなものだ。
学校にも行かせず、この家を出たら直ぐに王宮に入れられる。
自分より身分が上の者しかいない王子のそばで、王子のご機嫌を伺いながら暮らしていくのはとてもしんどいことだろう。
まるで籠の中の小鳥のようなフェリーチェが可哀想で夫妻はこの契約を結んでしまったことを悔やんだが、ブラバン領の主君であるブラスバン公爵に逆らえるはずもなく。
談話室に家族が集まり、レイニーからフェリーチェが貴族学院に入学できないことが知らされた。
「フェリーチェが我家の来て勉強を始めてまだ2年だろう。それで、学院に入学するには未熟だと判断されたようなんだ。」
フェリーチェは少しがっかりしたが、確かに王子の茶会で周りに比べて自分が行儀作法や言葉遣いなど劣っていると思っていたのでまあ、仕方ないかと思った。
孤児院で沢山の子供たちと過ごしていたことを思い出して同世代の人との関わりが欲しかったのだけど…。
ケンティとヴィックスはとても怒っていた。
そんな理由で入学させないなんて、まるで貴族とは認めないと言ってるようなものだと。
父上の遠縁なのだから、いくら平民に混じって生活していたとは言え貴族なのに!と。
「フェリーチェ、残念だけど私達ではどうしようもない。それに学院なんか行かなくても君は立派な淑女になれるよ。私が良い先生を探すからね。」
「そうだ!学院なんていってても大した事ない。見返してやれよ!応援するよ。」
ヴィックスはフェリーチェの頭を軽く撫でた。
頭を撫でられるなんて久しぶりすぎてちょっと恥ずかしくて、気持がふんわりして嬉しかった。
この人たちは私が立派に貴族らしい淑女になれると信じてくれているんだわ。
せっかく家族にしてくれたのだから恩返しのためにも私は頑張るわ。
談話室を出たらレイニーがフェリーチェを部屋の前まで送ってくれた。
「17歳になったらまた、ハグルト村に行こうね。」
「ありがとうございます!いいんですか!」
「ああ、学校に行かなくていいなら時間が出来る。今年は無理だけど来年ならば私も仕事の調整が出来るからね。私もセシリアもたまに田舎でのんびりしたいから。」
嬉しそうに部屋に入ったフェリーチェを見送ったレイニーは、此処にいる間は出来る限り大事にしてあげようと思った。
自分も妻も割り切っているつもりだったが…素直で明るく可愛い子だ、情が移っても仕方ないさ、当たり前だ。
レイニーは何とも言えない気持ちでフェリーチェの部屋のドアを見つめるのだった。
本来なら貴族の子息令嬢は16歳から18歳まで貴族学院で学ばなければならない。
なのに、宰相の補佐官であるギー・サヴォア伯爵がわざわざやって来てフェリーチェが貴族学院に通う必要はない(行かせるな)と言ってきたからだ。
夫妻にとっては契約とはいえ大事に育てている娘を、貴族なら誰でもいく学校に行かせないという選択肢はなかった。
貴族として育てろと言っておきながら、貴族の子としての当たり前の権利は奪うというのか?
ギーはフェリーチェに悪い虫が付いてはいけないからだと言った。
そんな理由に納得できない夫妻は抗議したが、契約不履行になると言われれば夫妻は悔しげに唇を噛むしかなかった。
「ネージュ子爵。今後の事はあまり話せませんが、フェリーチェ嬢には18歳になったら第3王子の元へ行ってもらいます。これは、ほぼ決定事項です。なので学院より子爵家で教育を徹底して下さい。教師はこちらで手配をしますので決まるまではマナーを中心に教育をして下さい。あと、フェリーチェ嬢と他家との交流は控えて下さい。」
「あの、それはどういうことでしょうか?」
その問いに表情の無いまま立ち上がると何も答えずにギーは帰って行った。
他家と交流をするなということは社交界に出るなということで、それは貴族としては致命的なことだった。
王子の元にやるという事は、身分的には妃にも側室にもなれないから侍女に召し上げるのか?
もしかしすると若い王子の欲のはけ口にでもするつもりなのか…
これでは王子に献上する為だけに大切に育てろと言われていたようなものだ。
学校にも行かせず、この家を出たら直ぐに王宮に入れられる。
自分より身分が上の者しかいない王子のそばで、王子のご機嫌を伺いながら暮らしていくのはとてもしんどいことだろう。
まるで籠の中の小鳥のようなフェリーチェが可哀想で夫妻はこの契約を結んでしまったことを悔やんだが、ブラバン領の主君であるブラスバン公爵に逆らえるはずもなく。
談話室に家族が集まり、レイニーからフェリーチェが貴族学院に入学できないことが知らされた。
「フェリーチェが我家の来て勉強を始めてまだ2年だろう。それで、学院に入学するには未熟だと判断されたようなんだ。」
フェリーチェは少しがっかりしたが、確かに王子の茶会で周りに比べて自分が行儀作法や言葉遣いなど劣っていると思っていたのでまあ、仕方ないかと思った。
孤児院で沢山の子供たちと過ごしていたことを思い出して同世代の人との関わりが欲しかったのだけど…。
ケンティとヴィックスはとても怒っていた。
そんな理由で入学させないなんて、まるで貴族とは認めないと言ってるようなものだと。
父上の遠縁なのだから、いくら平民に混じって生活していたとは言え貴族なのに!と。
「フェリーチェ、残念だけど私達ではどうしようもない。それに学院なんか行かなくても君は立派な淑女になれるよ。私が良い先生を探すからね。」
「そうだ!学院なんていってても大した事ない。見返してやれよ!応援するよ。」
ヴィックスはフェリーチェの頭を軽く撫でた。
頭を撫でられるなんて久しぶりすぎてちょっと恥ずかしくて、気持がふんわりして嬉しかった。
この人たちは私が立派に貴族らしい淑女になれると信じてくれているんだわ。
せっかく家族にしてくれたのだから恩返しのためにも私は頑張るわ。
談話室を出たらレイニーがフェリーチェを部屋の前まで送ってくれた。
「17歳になったらまた、ハグルト村に行こうね。」
「ありがとうございます!いいんですか!」
「ああ、学校に行かなくていいなら時間が出来る。今年は無理だけど来年ならば私も仕事の調整が出来るからね。私もセシリアもたまに田舎でのんびりしたいから。」
嬉しそうに部屋に入ったフェリーチェを見送ったレイニーは、此処にいる間は出来る限り大事にしてあげようと思った。
自分も妻も割り切っているつもりだったが…素直で明るく可愛い子だ、情が移っても仕方ないさ、当たり前だ。
レイニーは何とも言えない気持ちでフェリーチェの部屋のドアを見つめるのだった。
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