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庭園に行くことは先に延ばされてしまった。
フェリーチェはがっかりしたが部屋に戻ると子爵家から送られた荷物のことを思い出した。
「あの、私が子爵家から送られた荷物の中にドレスが何着かあったはずですが…あの、どこに置いてありますか?」
フェリーチェはここに来てからは身の回りの世話を侍女がやってくれるため、わざわざクローゼットのチェックなどしていなかった。
確かにネージュ家から出されるトランクの山を見たはずなのに?
フェリーチェとアーサーはディオールを見た。
「申し訳御座いません。あの、お持ちになった御衣装ですが王宮でお召しになられるには格といいますか…なので、こちらには御座いません。」
「えっ。私何も聞いていません。お母様と一緒に選んだ物です。まさか処分、捨てたりしてないですよね!あんまりです。着てはいけない物でも置いといてくださればいいじゃないですか。こんなに広いお部屋なんですから。」
フェリーチェの目から涙が溢れた。
アーサーはフェリーチェの涙を拭いてやった。
「侍女長、答えろ。荷物を何処にやったんだ?」
フェリーチェ付きの侍女として配属された3人は宰相から送られた者たちだった。
「確かにお嬢様に何も言わずにお荷物をお返ししたのは申し訳御座いませんでしたわ。勿論、御礼状とともに子爵家へ返しました。宰相閣下からはお嬢様の身の回りの物は全て王子殿下が揃えられるからと伺っておりましたので、王子殿下の用意された御衣装を直ぐにしまえるようにとクローゼットを空けておかねばと…それで部屋着と夜着だけ残しました。」
「お前達、宰相に何と言われて来たのだ。フェリーチェの専属侍女として来たのだろう。それなのに主人の物を勝手に選別するなど自分を何だと思っているんだ。立場が分かってないな。ブラスバン公爵は優秀な方だが使用人の教育は苦手なようだ。」
アーサーが呆れたように言うとディオールは無機質な声で再度謝罪を述べた。
ドアの近くに立って侍女2人は緊張した様子でこのやりとりを見ていた。
いくら宰相家からの派遣でも今の雇用主はこの若い王子で、仕える相手はこの若い女性なのだ。
気に障ったら戻されるかもしれないと心配していた。
宰相家の一族は皆気位が高く人使いが荒いのだ。
先輩侍女も意地悪な人が多かった。
それと比べたらここは若いお嬢様1人のお世話をするだけで前よりもいい給料をもらえるのだから、何とかこのまま収まりますように!二人は祈る気持ちだった。
フェリーチェはディオールに向かって言った。
「ネージュ子爵家から確かに荷物を受け取ったということを書面で貰ってきて下さい。私宛にです。」
「それは私が嘘をついているとお疑いなんでしょうか?」
ディオールがムッとした表情をあらわにした。
「おい、主人に命じられたことは黙って承れ。ネージュ家は遠くはないのだから明日中に書面をフェリーチェに届けるように。分かったな?私も確認するからな。」
アーサーがフェリーチェの味方でいてくれるのが嬉しくて彼を見ると目が合って背中を擦ってくれた。
フェリーチェはオルゴールを開けて中を確認する。
この中のものはそのままだった、いくら何でも此処までは見ないようね。
もしもこの中の物まで何処かにやったりしたら私だって黙ってはいないわ!
「パパ、ママ。フェリシテです。今日は良い日だったのか判りません。王子殿下が私のことを好いて下さってるのはわかったわ。卒業を前に忙しい中、私の部屋を整えるだけでいっぱいいっぱいだったみたいね。ドレスは後でいいと思われたようね。だって本当ならお母様と選んだドレスがあったんだから…まさか無くなっているなんて思わなかったわ。私ももっとしっかりしなければね。お母様が言ってたわ。王宮の侍女は身元がはっきりしている貴族家の令嬢が多く身分主義の人も多いって。ディオールはいい人だと思ってたのに身分第一主義だったみたい。これからが前途多難だわ。」
鍵付きのオルゴールって売ってるのかしら?そんな事を考えながら眠りについた。
フェリーチェはがっかりしたが部屋に戻ると子爵家から送られた荷物のことを思い出した。
「あの、私が子爵家から送られた荷物の中にドレスが何着かあったはずですが…あの、どこに置いてありますか?」
フェリーチェはここに来てからは身の回りの世話を侍女がやってくれるため、わざわざクローゼットのチェックなどしていなかった。
確かにネージュ家から出されるトランクの山を見たはずなのに?
フェリーチェとアーサーはディオールを見た。
「申し訳御座いません。あの、お持ちになった御衣装ですが王宮でお召しになられるには格といいますか…なので、こちらには御座いません。」
「えっ。私何も聞いていません。お母様と一緒に選んだ物です。まさか処分、捨てたりしてないですよね!あんまりです。着てはいけない物でも置いといてくださればいいじゃないですか。こんなに広いお部屋なんですから。」
フェリーチェの目から涙が溢れた。
アーサーはフェリーチェの涙を拭いてやった。
「侍女長、答えろ。荷物を何処にやったんだ?」
フェリーチェ付きの侍女として配属された3人は宰相から送られた者たちだった。
「確かにお嬢様に何も言わずにお荷物をお返ししたのは申し訳御座いませんでしたわ。勿論、御礼状とともに子爵家へ返しました。宰相閣下からはお嬢様の身の回りの物は全て王子殿下が揃えられるからと伺っておりましたので、王子殿下の用意された御衣装を直ぐにしまえるようにとクローゼットを空けておかねばと…それで部屋着と夜着だけ残しました。」
「お前達、宰相に何と言われて来たのだ。フェリーチェの専属侍女として来たのだろう。それなのに主人の物を勝手に選別するなど自分を何だと思っているんだ。立場が分かってないな。ブラスバン公爵は優秀な方だが使用人の教育は苦手なようだ。」
アーサーが呆れたように言うとディオールは無機質な声で再度謝罪を述べた。
ドアの近くに立って侍女2人は緊張した様子でこのやりとりを見ていた。
いくら宰相家からの派遣でも今の雇用主はこの若い王子で、仕える相手はこの若い女性なのだ。
気に障ったら戻されるかもしれないと心配していた。
宰相家の一族は皆気位が高く人使いが荒いのだ。
先輩侍女も意地悪な人が多かった。
それと比べたらここは若いお嬢様1人のお世話をするだけで前よりもいい給料をもらえるのだから、何とかこのまま収まりますように!二人は祈る気持ちだった。
フェリーチェはディオールに向かって言った。
「ネージュ子爵家から確かに荷物を受け取ったということを書面で貰ってきて下さい。私宛にです。」
「それは私が嘘をついているとお疑いなんでしょうか?」
ディオールがムッとした表情をあらわにした。
「おい、主人に命じられたことは黙って承れ。ネージュ家は遠くはないのだから明日中に書面をフェリーチェに届けるように。分かったな?私も確認するからな。」
アーサーがフェリーチェの味方でいてくれるのが嬉しくて彼を見ると目が合って背中を擦ってくれた。
フェリーチェはオルゴールを開けて中を確認する。
この中のものはそのままだった、いくら何でも此処までは見ないようね。
もしもこの中の物まで何処かにやったりしたら私だって黙ってはいないわ!
「パパ、ママ。フェリシテです。今日は良い日だったのか判りません。王子殿下が私のことを好いて下さってるのはわかったわ。卒業を前に忙しい中、私の部屋を整えるだけでいっぱいいっぱいだったみたいね。ドレスは後でいいと思われたようね。だって本当ならお母様と選んだドレスがあったんだから…まさか無くなっているなんて思わなかったわ。私ももっとしっかりしなければね。お母様が言ってたわ。王宮の侍女は身元がはっきりしている貴族家の令嬢が多く身分主義の人も多いって。ディオールはいい人だと思ってたのに身分第一主義だったみたい。これからが前途多難だわ。」
鍵付きのオルゴールって売ってるのかしら?そんな事を考えながら眠りについた。
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