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第13章 2度目の学園生活
67 新しい関係
ゆっくりと顔を離して熱を持った顔を誤魔化すように照れ隠しの笑みを浮かべる。
その間もコルネリアスは呆気に取られて目を見開いたまま固まっていた。呆然としたまま彼が唇を指先で触れるとパチパチと私の口元に視線を向ける。
少しして私が何をしたかを理解したようで頬を赤く染めて恥ずかしそうに視線を逸らした。
「不意打ちは……ずるいだろう……」
「想いが通じ合った後だし……誰もいないのだから口付けくらいいいでしょ。コルネリアスだって嫌じゃないよね?」
大胆な行動をしたせいで鼓動がどくどくと荒くなっているが、恥ずかしさ以上に幸福感に包まれていた。口付けをした時のことはスピカから何度か話を聞いている。当時は想像でしかなかったが今となってはスピカの気持ちがよく分かる気がした。
「夢にまで見ていた事なのだからもちろん嬉しいが……少しは心の準備をさせてくれ。心臓に悪いぞ」
「ごめんごめん。こういった事も少しの間はお預けになると思ったら……ね?」
正式な婚約者となるまではコルネリアスとこのような密室で2人になる機会はあまりないだろう。仮に今回のように誰かの協力を得られたとしてもたまの機会になるはずだ。
想いを自覚した私は意外と積極的になるのだなと考えながら言い訳をしてみた。
「早く婚約者となって堂々と触れ合いたいものだ」
コルネリアスも名残惜しそうに大きく息を吐いた。
「それで、これからどうするの?リーファス……国王陛下は私のことを認めていないのでしょう?」
「なかなか難しいだろうな。地道に説得は続けるつもりだが……とりあえず私とティアが恋仲であることを皆に示しておこうかと考えている。ティアには迷惑をかけてしまうかもしれないがな」
「いいと思うよ。私たちのことを皆に知ってもらった方が牽制できるし……その方がある程度は堂々と会えるからね」
まだ婚約者ではないため周りに人がいる場で触れ合うことは難しいだろうし外聞を気にする必要もあるが、それでもコルネリアスと親しげに話すことはできる。
何より婚約者の立場を狙っている令嬢たちを牽制できるのは嬉しく感じた。気持ちを自覚した今となっては、下心を抱いて彼に近づいてくる相手を見るのは不愉快だ。できることなら彼の隣は私だけの場所だと知らしめたい。
「婚約を認めさせることは私が頑張るべき問題だ。ただ貴族令嬢の中にはティアのことを排してでも婚約者になろうと考えるものもいるだろう。きっと面倒をかけると思う」
「大丈夫。私はコルネリアスの妃として隣にいたいから……そのために必要なことは何だってやるもの」
何の後ろ盾もない平民で孤児に近い私がコルネリアスと結婚し王太子妃となり最後は王妃となるわけだ。ラティアーナが女王となった時よりも険しい道になるだろう。
けれど、好きな相手と2人での人生を歩くための苦難であればいくらでも受け入れよう。今度こそ最期まで生きるためにも全力を尽くすだけだ。
「そうか……ありがとう」
「こちらこそ」
この時間を名残惜しいと感じながらも一度だけ抱擁を交わした。約束の半刻までは少し時間があるが、この部屋をいつまでも占拠しているのは悪いだろうと学園長室を後にした。
「その様子だと上手くいったようですね」
エントランスの近くではローザリンデが本を読みながら私たちのことを待っていた。私とコルネリアスの顔を交互に見て納得すると優しげな笑みを浮かべた。
「おかげさまでね。私はコルネリアスの恋仲になった……これからは妃になれるように頑張るわ」
「伯母上もありがとうございました」
「2人には幸せになってもらいたいですから。何かあればいつでも協力しますから遠慮なく言ってくださいね」
「ありがとう」
ローザリンデにお礼を言うと彼女はもう一度笑みを浮かべて大きく頷いた。
それからコルネリアスと共に寮に戻った私はアスカルテの部屋がある高位貴族向けの女子寮へ向かった。
入り口にいる騎士にお願いして「上手くいった」とアスカルテに伝言を伝えてもらうと部屋の中で少し話をしたいと返事がくる。
許可をもらって寮の中に入り、懐かしさを覚えるエントランスや廊下を進んでアスカルテの部屋がある最上階へと登る。この階は王族や公爵家専用となっていて、今年はアスカルテとレジーナしか使っていないフロアでもあった。
「ようこそ。今日のうちに来るとは思わなかったので驚きました」
ドアノッカーを鳴らすとアスカルテが出迎えてくれた。普段から見ている制服やドレスのような格好ではなくワンピースのようなネグリジェを着ているところを見ると部屋の中で寛いでいたらしい。
初めて見る格好でとても新鮮な気分だ。
「できるだけ早く報告をと思ってね。改めてコルネリアスとは正式に恋仲になったわ」
その様子だと上手くいくと確信していたようだが、きちんと言葉にして伝えるとアスカルテは「嬉しいです」と自分のことのように喜んでくれた。
その間もコルネリアスは呆気に取られて目を見開いたまま固まっていた。呆然としたまま彼が唇を指先で触れるとパチパチと私の口元に視線を向ける。
少しして私が何をしたかを理解したようで頬を赤く染めて恥ずかしそうに視線を逸らした。
「不意打ちは……ずるいだろう……」
「想いが通じ合った後だし……誰もいないのだから口付けくらいいいでしょ。コルネリアスだって嫌じゃないよね?」
大胆な行動をしたせいで鼓動がどくどくと荒くなっているが、恥ずかしさ以上に幸福感に包まれていた。口付けをした時のことはスピカから何度か話を聞いている。当時は想像でしかなかったが今となってはスピカの気持ちがよく分かる気がした。
「夢にまで見ていた事なのだからもちろん嬉しいが……少しは心の準備をさせてくれ。心臓に悪いぞ」
「ごめんごめん。こういった事も少しの間はお預けになると思ったら……ね?」
正式な婚約者となるまではコルネリアスとこのような密室で2人になる機会はあまりないだろう。仮に今回のように誰かの協力を得られたとしてもたまの機会になるはずだ。
想いを自覚した私は意外と積極的になるのだなと考えながら言い訳をしてみた。
「早く婚約者となって堂々と触れ合いたいものだ」
コルネリアスも名残惜しそうに大きく息を吐いた。
「それで、これからどうするの?リーファス……国王陛下は私のことを認めていないのでしょう?」
「なかなか難しいだろうな。地道に説得は続けるつもりだが……とりあえず私とティアが恋仲であることを皆に示しておこうかと考えている。ティアには迷惑をかけてしまうかもしれないがな」
「いいと思うよ。私たちのことを皆に知ってもらった方が牽制できるし……その方がある程度は堂々と会えるからね」
まだ婚約者ではないため周りに人がいる場で触れ合うことは難しいだろうし外聞を気にする必要もあるが、それでもコルネリアスと親しげに話すことはできる。
何より婚約者の立場を狙っている令嬢たちを牽制できるのは嬉しく感じた。気持ちを自覚した今となっては、下心を抱いて彼に近づいてくる相手を見るのは不愉快だ。できることなら彼の隣は私だけの場所だと知らしめたい。
「婚約を認めさせることは私が頑張るべき問題だ。ただ貴族令嬢の中にはティアのことを排してでも婚約者になろうと考えるものもいるだろう。きっと面倒をかけると思う」
「大丈夫。私はコルネリアスの妃として隣にいたいから……そのために必要なことは何だってやるもの」
何の後ろ盾もない平民で孤児に近い私がコルネリアスと結婚し王太子妃となり最後は王妃となるわけだ。ラティアーナが女王となった時よりも険しい道になるだろう。
けれど、好きな相手と2人での人生を歩くための苦難であればいくらでも受け入れよう。今度こそ最期まで生きるためにも全力を尽くすだけだ。
「そうか……ありがとう」
「こちらこそ」
この時間を名残惜しいと感じながらも一度だけ抱擁を交わした。約束の半刻までは少し時間があるが、この部屋をいつまでも占拠しているのは悪いだろうと学園長室を後にした。
「その様子だと上手くいったようですね」
エントランスの近くではローザリンデが本を読みながら私たちのことを待っていた。私とコルネリアスの顔を交互に見て納得すると優しげな笑みを浮かべた。
「おかげさまでね。私はコルネリアスの恋仲になった……これからは妃になれるように頑張るわ」
「伯母上もありがとうございました」
「2人には幸せになってもらいたいですから。何かあればいつでも協力しますから遠慮なく言ってくださいね」
「ありがとう」
ローザリンデにお礼を言うと彼女はもう一度笑みを浮かべて大きく頷いた。
それからコルネリアスと共に寮に戻った私はアスカルテの部屋がある高位貴族向けの女子寮へ向かった。
入り口にいる騎士にお願いして「上手くいった」とアスカルテに伝言を伝えてもらうと部屋の中で少し話をしたいと返事がくる。
許可をもらって寮の中に入り、懐かしさを覚えるエントランスや廊下を進んでアスカルテの部屋がある最上階へと登る。この階は王族や公爵家専用となっていて、今年はアスカルテとレジーナしか使っていないフロアでもあった。
「ようこそ。今日のうちに来るとは思わなかったので驚きました」
ドアノッカーを鳴らすとアスカルテが出迎えてくれた。普段から見ている制服やドレスのような格好ではなくワンピースのようなネグリジェを着ているところを見ると部屋の中で寛いでいたらしい。
初めて見る格好でとても新鮮な気分だ。
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