アンインストール❀⡱─人間と大狼の娘

ラス❀⡱

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 学校に潜む殺人鬼❀⡱

 詐欺師はわたしたちの中にIV

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 教室に行くと、羅美の噂が瞬く間に広がっていた。浅井が奈那に近づくと、叫んだ。
「なあ?どうなってるんだよ!」
浅井はパニックのようで、奈那の肩を掴んで激しく振った。
「女子に暴力をふるな、浅井。」
麗々はキッと浅井を睨んだ。浅井は全然落ち着かない様子で言った。
「だってよ、優にしろ羅美にしろ、危ねーじゃんかよ!」
浅井の様子をみた他の生徒もパニックに陥っていた。
「どうしてよ!」
ごめん、わたし人狼のくせに止められなくて。
「このままだと殺されちまう!」
大丈夫、絶対に大丈夫なんて言えない。わたし、弱いから。他の人狼があなたたちを襲っても、守れる気がしない。
「誰か助けてよ!」
助けたいよ。でも、わたしは弱いの。
 麗々はパニックに陥るクラスメイトをただ眺めることしかできなかった。奈那は少し涙ぐんでいる。
「ど、どうしよう麗々。このままだと・・・みんな混乱しちゃう。」
「わかってるよ!そんなことっ!」
麗々はハッとした。今奈那に怒鳴ってしまった。
「ごめん・・・。本当にごめん・・・。」 
麗々は謝った。奈那は首を横に振ったが、涙がポロポロ零れた。
─ごめんね
心の中で何回謝ったのだろう。こんなことになっても、麗々は謝ることしかできなかった。こんな自分が嫌だ。そう思ったけど、直せなかった。

 下校時。麗々は奈那ととぼとぼ歩いていた。結局、先生がなんとかしずめてくれたけど、どうも納得がいかない。
『大丈夫だよ、何かあっても俺が守るから。生徒を守るのは、先生の使命なんだよ?』
使命?麗々は自分に問いかけた。人狼ならば、使命は人間を殺すこと。しかし、クラスメイトとしての使命ならば、みんなを守ること。どっちの使命を全うすれば良いのだ?
「麗々、明日美羽に連絡してみる。明日は学校休みだけど、調べないと。」
奈那はぼんやりとつぶやいた。麗々はこくんとうなずいた。そうだ、落ち込んだり勝手な考察をしている場合ではない。
「わかった。わたしのほうでも調べてくる。」

 家に着くと、麗々の母が心配そうにしていた。
「ああ、おかえり麗々。」
麗々はうなずいた。今は母親にかまっている暇などないのだ。もうこれ以上犠牲者を出さないように、残りの今日の時間は、調べるのに使いたい。
「ちょっと晩御飯は後にするね。」
そう言って、麗々は部屋に駆け込んだ。しっかりドアに鍵をかける。そして、スマホを取り出す。
「アイドルウルフ。あなたは何者なのかしら。」
麗々が気になっていたのは、インターネットで人気のアイドルウルフ。更新されているようだ。
『みんな~!アイドルウルフだよ~。』
こうしてアイドルウルフのライブが始まった。所々、気になる歌詞が入っている。
『学園一位の天才』
『みんなを幸せにする、それがわたしの運命であり、使命。』
『守る、それってどういうこと?』
『嘘はバレるよ、人狼さん』
『太陽の日が輝く窓に、刺さるゲームのヒント。』
『明日、体育館の天井に』
─あるよ、紅く染まった可愛い子ちゃんがね

最後の歌詞に、麗々は背筋がゾクッとした。
 明日、体育館の天井に死体があるよ。この歌詞はそう告げているようだった。
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