カジャタン・ペンシュー

冠者

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人誑し

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兄が高校生の女の子と歩いている。
それも堂々と。
近所の高校の制服で、女の子の方も下手に噂されたりするのを気にしている様子もなく自然体だ。
たまたまコンビニに立ち寄った私は寒さで中のイートインスペースを利用して飲み物を飲んでいて偶然兄を見つけた。急いで飲み物を飲み干し声をかけようと思ったが、隣に女子高生がいたものでこうして少し隠れて様子をうかがっている。
女の子の方はちょいちょい兄の腕をつかんだり、兄の冗談に嬉しそうに肩をたたいたりしている。
「どう見てもカップルやん」
つい出てしまった少し大きめの独り言に自分でびびってキョロキョロしてしまう。
兄は28で、相手は高校生だが制服も真新しく1年生くらいの顔立ちに見える。恋愛は自由だが色々と気にはなる歳の差であるのは間違いない。
私と兄とは血が繋がっておらず、1つしか違わないし私が中3のとき親の再婚で兄妹になったため正直異性として意識はあった。
なにせ高校受験まっただ中のときに親の離婚と再婚がばたばたと決まり引っ越しまでした私を、わりと優秀な方である兄が家庭教師よろしく志望校へと導いてくれた。
よく学生と生徒の恋や、家庭教師とのーなんてものがあるが、その相手と毎日家に一緒にいれば意識しないわけがない。兄も年頃の男の子であったし、何の意識もなかった訳はないだろうが、お互いに親の離婚や再婚でゴタゴタしていて正直2人とも心に傷を負っていたので恋愛や性欲のようなものとは少し遠いところにいたことが幸いした。
というか私が高校に上がってすぐに兄を意識しないためにすぐに適当に彼氏を作ってしまってから、兄が遠慮をしてくれてか家庭内でも最初より距離感が出来たのは間違いない。その彼氏とは1月もせずに別れたのだが、それからずっとその距離感だ。
私も中学生の無邪気さを発揮してればと高校になってから後悔したし、成人してからも「既成事実でもつくってりゃな」と考えたこともあった、
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