カジャタン・ペンシュー

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砂糖の一粒

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憎しみを感じる相手やトラウマに蓋をしてしまう。
つまりは逃げだが、誰だって向き合いたく無いしイヤなモノからは逃げたいものだ。
かの太宰治が言っていた、えっとなんだっけ、いやこれは今出てきそうにないからもういいや
本題に戻るが、トラウマだ。
だが中には嫌いなモノを無理矢理に、、、例えば食べたり、嫌いな人の写真を毎日見続けて麻痺させたり、向き合うことで平気になるという方法を取る場合がある。
これがまた効果的で、食べ物に関してはただの好き嫌いであれば(アレルギーなどは除く)間違いなく克服するし、犬が怖いとか、蜘蛛が怖いとか、おばけや、ジェットコースターなども簡単に克服できてしまう。
ただ最初のとっかかりが一番つらいし、怖い、誰もやりたいなんて思わない。もちろん現代において前時代的な方法だとバッシングを受ける事だろう事も承知しているが、今の時代は何でもダメダメダメで、腫れ物に触るように相手を扱いすぎる。本人もそれが正しいとぬるま湯に浸かるのを良しとする風潮がある、向き合うことの何が悪いのか!だ。

話がそれたが、あとは現在進行形で付き合いのあるパワハラ上司等にはこの方法は通用しない。
かと思ってた。
だが、、、いける。いけたのだ
これは無責任に「個人の感想であり…」などといったお決まりの注釈をつけるつもりはないし、「効果効能には個人差があります」だとかも言わない。
絶対なのだ。
食わず嫌いはやはり食わず嫌いなのだ。
例えば私はパワハラ上司を拉致監禁し毎日少しずつ食べている。最初はとっとと殺してしまおうかと思ったし、顔を最初に食べれば怖い顔を見なくて済むとも思ったが、それでは向き合うことにならないし、肉になってしまえば美味いのは当たり前のこと。
初日から話しておこうかな
いつも通り私は「サービス残業はしてはいけないからタイムカード17時には押しとけよ」と言われ17時1分にタイムカードを刺してしまい罵詈雑言を1時間超ほかの社員がいる中浴びせられた。
その日が私だっただけで他の人の事もあるし、うまく立ち回って同じようにしているのに怒られない腰巾着もいる。まぁきたないよの中の縮図だ。
「男のくせに」だの「女の私にも敵わない」だの女尊男卑な事も散々言われた。

その夜、0時を回ると職場のセキュリティーの問題でエレベーターが止まるのでさすがに11時50分には絶対に出ないといけないため、一応切り上げた。
すると普通なら自分は真っ先に帰る上司がなぜか道にいて、どうも自分だけ飲みに出ていて職場に忘れ物をしたらしく取りに来たものの会社の閉まる時間で間に合わなかったようだった。
知らない振りをしてやり過ごそうとしたのだが(というか思い出すに連れて心拍数が上がってきて文書が支離滅裂なのは許してほしい)私は背が高く目立つので、すぐにばれてしまい。
「私の化粧ポーチ見なかったか?あれがないと明日朝から化粧が出来ないんだけど」
と何故か私に切れている始末。そういえば上司の机の上に何かがあったのは見た。
社則で机のモノは全て引き出しにしまって帰るようようになっているので(どんなに会議が白熱し資料がバラバラでまとまってなくてもそのままにしてはいけないので凄く困ることがある)
我が社の社員は帰りに机の上にモノが有ると違和感がある。
「気づいたなら何でそこで持ってこないんだよ仕えねえな!上司が忘れ物をしたら電話するとかさあ!ほんっとだめだわお前」
ろれつの回ってない口で言われて
あ、ここで三択問題。

そういわれて私は上司にどう思ったでしょうか

1 ろれつ回ってなくて意外と可愛いな
2 マジ糞上司が殺すぞ
3 殺す




ちくたくちくたくちくたく




はい終了




答えは1番、そうなんか可愛いなと思ってしまった、それで「あっ持って帰らなきゃ」と。
とりあえず顔をぶん殴り、次の言葉や悲鳴を上げないようにボコボコにして腹も殴りまくって蹴りまくって、周りを探して置いてあった造化の植木鉢で頭を殴ったら動かなくなったので、おんぶして連れて帰った。
同僚に見つかっても「酔っ払った上司を送らされてる」で通るだろうし、誰も関わりたくないだろうからとなぜかあの時は強気だった。まぁだれにも見つからずに帰れたんだが。
家につくととりあえず生きてるようだったので、ラップで手と足を考えられる限りぐるぐる巻きにしうごけないようにして口は声を出されたら困るのでふさいだ、鼻は息をするためにあけたが、意外と鼻から声のようなものが出せる(試しに口を塞いでやってみてほしい)ので、そこは少しためらったが死なれたら殺人犯になってしまうのでやめた。
揺さぶって上司を起こすと恐怖で大きな声を出したらまた殴られるのを察したのか、おとなしくおびえた目で俺を見てきた。
いつも同僚と言っていた「年下だし、顔はきれいだけど性格が糞すぎて絶対に欲情しないよな」と、まぁ録音されててそれをネタに脅され仕事をいくつか押しつけられた事があったがまぁそれはいい。それももう、解決している。
「大きな声出したり暴れたりしないなら口の取ります。どうですか?」
うんうんと頷く
外してあげるとまくし立てられるモノかと思ったが何も喋らない。
「えっとどうしましょう。コーヒーかなにかのみますか?」
「…のみません…」
ひきつった声
体を起こしてあげて座椅子にもたれ掛からせてあげた、もともと恐怖の対象ではあったが憎しみや殺意や怒りは無かったので無抵抗で怖くなくなれば可愛い女性が部屋にいるだけで、その事に何故か脳が固執しだし、「どうしよう女の人が部屋にいる。何を話そう」そういった感情に支配されていた。舞い上がってなぜか照れくさかったのを覚えている。
「野上…君…私家に帰りたいです」
ああどうしよう、面白いトークが出来なかったから退屈させたんだ、それにこんな遅い時間にコーヒーをすすめるとか眠れなくなるじゃないか、失敗した失敗した失敗した。まくし立てるとキモいかもと思い
「すみません!コーヒーこんな時間に飲まないですよね!何かほかに飲みたいモノありますか?」
普段はスタバだ何だのコーヒーを買ってこいとパシらされるからてっきりコーヒーが好きだと思っていたが、それ以外のモノももちろん飲むはず。お酒もあったな
「ビールと安いものですけどワインがありますよ」
「いえあの、帰りたいです…うぇああ…あ…」
泣き出してしまった。
もうこうなるとパニックである。初めて女性を部屋に招いたのに失敗ばかりしている。と、その朝にコーヒーカップに入りきれず机に数粒こぼれた砂糖のうちの一粒を見ながらモジモジするしかできなかった。
10分ほど見つめていたかと思うと、3分ほどしかたっておらず、次に時計を見ると1時間近くたっていた。1時間の沈黙はどうしたものかと、話題を考えるも、何か思いついてもどう話を聞りだしたものか、彼女が興味のない話をまたしてしまうのではないか?この時間なら少しくらい下ネタとか交えた方がフランクかな?いやいやそんなの絶対だめだとか
少しも考えはまとまらないまま2時になっていた。
その後も色々話しかけようとしたが、
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