カジャタン・ペンシュー

冠者

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さてつぎは

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女は感情が無い口調で男に言い慣れたセリフを放った。
「なぜこんなことをするのか、これまで私にその問いをした人間は1人残らず死んだ。」
「じゃあ答えなくて良いよ、こわいこわい」
「答えを聞かなかったから生き残ったという者もいないのだがね」
男はまいったねといった表情で
「あー。それなら聞いて死のうか」
「うむ。この答え自体は私の成長などで変わってきたものでもあるんだが」
「えらく前置くじゃないか」
「これまで200人程にこの話をしてきたのだが、そのたびに後からもっとこう話せば良かっただとか、こう言えば伝わりやすかったか?などと思案するうちに考えが肥大しすぎてしまってね。今回はどういった切り口にしたものかなと、考える時間稼ぎをしている。というのが本音だ」
男は怪訝な顔をした
「なんだその顔は?私は話をオモシロおかしく盛ったりはしていないぞ」
「いや、そういう事じゃない。お前はさっき200人程と言ったんだ」
女は、はっと喜びの表情をする
「お前おもしろいな!」
「そうか?ただイヤに人間らしいじゃないか、と思ってな。程だなんて」
女は自分の頭を指さし
「この頭には、これまで私が生きてきた記憶の全てが詰まっている。当然会話の記録や、この話をしてきた185人、お前で186人目ということも。」
「話は盛らないんじゃなかったのか?」
「185人を200人というのは、話を盛るのではなく人間らしさだ。」
「会話の中で相手の発言の揚げ足を取ったり、それをジョークとして交えるのも人間らしさだよ」
「…なるほど助かる、覚えておこう。」
「これから役に立つかはわからないがな」
短い沈黙
「閑話休題、どうしてこんなことをしているのか、するのかだったな。そうだな、話を盛られるのを警戒されながら話すというのもつまらん。少し長くなるが、私の一番古い記憶から今に至るまでをだらだらと話してやろう。」
「それはありがたいな、それだけ俺の寿命が増えるって寸法なわけだ」
「お前の思惑通りにはならないさ」
「厳しいな」
女は優しくほほえんだ
「まず、話は私が電子レンジだった頃にさかのぼる。」
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