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存在の否定
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どれだけの数の異能力バトルアクション物のアニメやマンガ、映画があるだろう、すぐに某マンガを思いつく者、某ヒーロー映画を思いつく者、それに限らず格闘マンガや剣で戦う物であっても現実世界では有り得ない技や境地にたどり着き物理法則や効率を無視した必殺技がありそれが必ず敵に当たる。あれも異能力と呼んで差し支えないだろうがその全ては当然にフィクションであり実在しない。
中にはオーバーテクノロジー物もあるが、実在しないテクノロジーを存在させ、その能力を使う時点で異能と呼べるのではないだろうか。
志乃渉(しのわたる)もまたそのような異能を手に入れ、自身のこれからの冒険譚を夢見るような普通の14才の少年だった。
自室で独りの時にふと手から炎が出ないものかと力んでみたり、授業中にクラスメイトに心が読める奴がいると仮定して おまえが心を読めるの気づいてるぞ とメッセージを心の中で送ってみたりしてきたが、ついぞそのような事は起こらなかった。
15才になり高校受験まっただ中、飲み慣れないブラックコーヒーを格好つけて飲んでいると、ふと砂糖だけ入れたら見た目はブラックになるなと試してみた。まるで砂糖が入ってないみたいなコーヒーの完成だ、彼には発明だった。
数口飲み、ミルクも欲しいなと結局台所にミルクを求めて行くと母から愛犬の散歩を仰せつかり、すっかりミルクのことを忘れてコーヒーを飲んだ。
「やっぱブラックは苦いな…」
砂糖でも入れるか、でも冷めてしまって砂糖が溶けないだろうな…と考えながら「おや?」となった、忘れてたが砂糖は入れたはずだミルクを入れに台所に行ったのだから間違いない。
もう一口飲むとしっかりと甘い。角砂糖を三つも入れたのだ当然だ。
ブラックだから苦いと思っていたから苦く感じたのだろう、そういえばそういう格闘マンガもあったなと、思いこみの力で体にその変化を実現させるような…。背後の本棚からそのマンガのその話を取り出し読みふける。勉強はそっちのけだ。
彼が試したのは次は本当のブラックを淹れ、「甘いと思えば甘いのではないか」という実験だ。
しかし苦い。
「当たり前か」
砂糖とミルクも足し
「ん、!」
満足げに勉強をはじめた。
後日、そんな1人遊びの事を忘れていたのだが、偶然にも同じ事が起こった。これは完全に思い込めばこんどこそいける!と色々ためしたが、「これは砂糖とミルクが入ってるけど苦いブラックコーヒーなのだ」と自分を騙すのは容易ではない。「何も考えない」と考えてしまうのと同じと言えばわかりやすいだろうか。
結局再現は出来なかったし、おなかがいっぱいになってしまった。
だがあきらめが付かない。
勉強に使えばいいのに、深い集中をした。 剣道をずっとしている彼は、面をつける瞬間に強い集中力を発揮していた。ゾーンに入るという言い方をするが、まさにそれだ。ただとりわけ強いわけでも、その状態なら相手の竹刀が止まって見えるなどということもなく。腕前は中の下だったが、、、。
あくまでも精神面だけの話であるが、その集中状態、座禅に近いものかもしれない。
一度コーヒーから完全に意識をはずし、ただ目の前の鉛筆に集中した
コーヒーが甘いだの苦いだのではなく、一度存在を忘れ…飲む。
砂糖とミルクを入れたコーヒーは…
「甘い」
それはそうだ。また無駄な時間を彼は過ごした。
ところがそれからも何度か似た経験をした。そしついに彼がその違和感の結論にたどり着いた頃には19になっていた。
自身の中から対象の存在への意識や記憶などを完全に取り除くと、自身の世界からその対象から受ける影響を全て取り除くことが出来る。
だが意識しない考えないというようなものが簡単には出来ないし、砂糖を入れたコーヒーが苦くなる能力など何の役に立つのだろうか。
そして先の「思いこみやプラシーボ」といったものではない。あくまでも取り除くことが出来るだけなので、ブラックコーヒーは甘いコーヒーにはならない。
それもコーヒーに起こった砂糖を入れたという現象を消すことは出来ない、それであれば超能力に他なら無い。あくまでも自身にとっての砂糖の概念を消すのだ、それも超能力、異能力なのではないかと感じるだろうがそうではない、例えば時間の概念がこの世に存在するかどうか、存在しなければ時をさかのぼるという行為はそもそも存在しない物を遡る事になり不可能だが、存在すれば可能かもしれない、時間とは確かに存在すると皆が信じて疑わないが、物体として存在しないのだからあると証明は不可能でもある、無い物への干渉は不可能だが、あれば干渉できる、不可逆性の物であろうと干渉できた時点で異能力ではない。過去に戻った人がいたとして、その人が未来から来たかを本人も証明できなければただそこにいる頭のおかしい奴かもしれない。
彼の「能力」は、他者へ干渉しない「能力」であり、観測が出来ないのであれば存在しないのと同義で本人にしか分からないのであれば存在しないのと同じ、思いこみの範疇なのかもしれないし、実在するのかもしれないし、それは本人にしか分からない。
回りくどいが、彼はそういった考えにたどり着いた。つまりこれは異能ではなく、結局は思いこみだと。
だがある日味だけでなく明らかに包丁で指を切ったはずなのに切れなかった。
同じように自身に起こった事を否定し
コレどこでおもしろくなるの?
中にはオーバーテクノロジー物もあるが、実在しないテクノロジーを存在させ、その能力を使う時点で異能と呼べるのではないだろうか。
志乃渉(しのわたる)もまたそのような異能を手に入れ、自身のこれからの冒険譚を夢見るような普通の14才の少年だった。
自室で独りの時にふと手から炎が出ないものかと力んでみたり、授業中にクラスメイトに心が読める奴がいると仮定して おまえが心を読めるの気づいてるぞ とメッセージを心の中で送ってみたりしてきたが、ついぞそのような事は起こらなかった。
15才になり高校受験まっただ中、飲み慣れないブラックコーヒーを格好つけて飲んでいると、ふと砂糖だけ入れたら見た目はブラックになるなと試してみた。まるで砂糖が入ってないみたいなコーヒーの完成だ、彼には発明だった。
数口飲み、ミルクも欲しいなと結局台所にミルクを求めて行くと母から愛犬の散歩を仰せつかり、すっかりミルクのことを忘れてコーヒーを飲んだ。
「やっぱブラックは苦いな…」
砂糖でも入れるか、でも冷めてしまって砂糖が溶けないだろうな…と考えながら「おや?」となった、忘れてたが砂糖は入れたはずだミルクを入れに台所に行ったのだから間違いない。
もう一口飲むとしっかりと甘い。角砂糖を三つも入れたのだ当然だ。
ブラックだから苦いと思っていたから苦く感じたのだろう、そういえばそういう格闘マンガもあったなと、思いこみの力で体にその変化を実現させるような…。背後の本棚からそのマンガのその話を取り出し読みふける。勉強はそっちのけだ。
彼が試したのは次は本当のブラックを淹れ、「甘いと思えば甘いのではないか」という実験だ。
しかし苦い。
「当たり前か」
砂糖とミルクも足し
「ん、!」
満足げに勉強をはじめた。
後日、そんな1人遊びの事を忘れていたのだが、偶然にも同じ事が起こった。これは完全に思い込めばこんどこそいける!と色々ためしたが、「これは砂糖とミルクが入ってるけど苦いブラックコーヒーなのだ」と自分を騙すのは容易ではない。「何も考えない」と考えてしまうのと同じと言えばわかりやすいだろうか。
結局再現は出来なかったし、おなかがいっぱいになってしまった。
だがあきらめが付かない。
勉強に使えばいいのに、深い集中をした。 剣道をずっとしている彼は、面をつける瞬間に強い集中力を発揮していた。ゾーンに入るという言い方をするが、まさにそれだ。ただとりわけ強いわけでも、その状態なら相手の竹刀が止まって見えるなどということもなく。腕前は中の下だったが、、、。
あくまでも精神面だけの話であるが、その集中状態、座禅に近いものかもしれない。
一度コーヒーから完全に意識をはずし、ただ目の前の鉛筆に集中した
コーヒーが甘いだの苦いだのではなく、一度存在を忘れ…飲む。
砂糖とミルクを入れたコーヒーは…
「甘い」
それはそうだ。また無駄な時間を彼は過ごした。
ところがそれからも何度か似た経験をした。そしついに彼がその違和感の結論にたどり着いた頃には19になっていた。
自身の中から対象の存在への意識や記憶などを完全に取り除くと、自身の世界からその対象から受ける影響を全て取り除くことが出来る。
だが意識しない考えないというようなものが簡単には出来ないし、砂糖を入れたコーヒーが苦くなる能力など何の役に立つのだろうか。
そして先の「思いこみやプラシーボ」といったものではない。あくまでも取り除くことが出来るだけなので、ブラックコーヒーは甘いコーヒーにはならない。
それもコーヒーに起こった砂糖を入れたという現象を消すことは出来ない、それであれば超能力に他なら無い。あくまでも自身にとっての砂糖の概念を消すのだ、それも超能力、異能力なのではないかと感じるだろうがそうではない、例えば時間の概念がこの世に存在するかどうか、存在しなければ時をさかのぼるという行為はそもそも存在しない物を遡る事になり不可能だが、存在すれば可能かもしれない、時間とは確かに存在すると皆が信じて疑わないが、物体として存在しないのだからあると証明は不可能でもある、無い物への干渉は不可能だが、あれば干渉できる、不可逆性の物であろうと干渉できた時点で異能力ではない。過去に戻った人がいたとして、その人が未来から来たかを本人も証明できなければただそこにいる頭のおかしい奴かもしれない。
彼の「能力」は、他者へ干渉しない「能力」であり、観測が出来ないのであれば存在しないのと同義で本人にしか分からないのであれば存在しないのと同じ、思いこみの範疇なのかもしれないし、実在するのかもしれないし、それは本人にしか分からない。
回りくどいが、彼はそういった考えにたどり着いた。つまりこれは異能ではなく、結局は思いこみだと。
だがある日味だけでなく明らかに包丁で指を切ったはずなのに切れなかった。
同じように自身に起こった事を否定し
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