異世界のんびり料理屋経営

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第2章 日常の憩い亭

第59話 結婚式の祝い品どうしたらいいんだ〜!

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アドルフとヘルカの結婚式が数日後に控えているにも関わらずまだ祝い品を決めきれていない拓哉。

鍛治工房
「バルトが今作ってる剣が祝い品だったよな?」

「そうじゃ! 明日にはできるぞい。 ワシらは、当日留守番だからの。 拓哉から渡してくれ」

それにしても、ミスリルのロングソードを祝い品にするってどんだけ高価なんだよ。 普通祝い品て5000円くらいか高くて数万程度だろ!?

「わかったよ。 バルトからって言っとく。はぁ...どうしようかな?祝い品」

「まだ悩んでおったのか。 祝い品なんかのぅあげる方が、これでええと思ったのでええんじゃ。 どんな高級品でも相手が喜ばなきゃゴミと同じじゃ。 要は思いやりじゃ」

確かに、相手の気持ちなんか分かるわけがないから、こんな悩んでも仕方ないな。

「ありがとう。 バルトからのアドバイス助かったよ。 これアドバイスのお礼だから受け取って」

ウイスキーを1本渡す。

「気が利くのぅ。 思いやりとはこういうことじゃ。 拓哉は、しっかり出来とるし、祝い品もすぐ決まるじゃろう。 じゃあ、ワシはこいつで一杯やるかのぅ」

そう言って奥に行くバルト。

帰ろうかと思った時、小次郎から声をかけられる。

「拓哉もきてたのか」

「はい! バルトに何を祝い品にしたらいいか相談してまして」

「そうか。 決まったのか?」

「いえ...まだ決まっていませんね。 師匠はどうするのですか?」

「夫婦箸を作ってるとこだ。 その為にバルトのとこに来たのだ」

師匠凄いな。 そんな器用だったのか? それに、火乃国にも夫婦箸の風習もあるのか。まるで日本だよな。

「夫婦箸いいですね。 師匠がそんなに器用だったなんて驚きました」

「いや。作るのは初めてだ。 バルトに教えてもらいながら作っている」

初めてで作ろうとするのは凄い! あ!これも師匠から夫妻への思いやりなのか。 

「そうだったんですね。 呼び止めてしまってすいませんでした」

「いや、気にしなくていい。 では、またな」

バルトのいる奥へ向かう小次郎。

鍛治工房を出た拓哉は畑に向かう。

「3人とも畑の管理お疲れ様!お昼ご飯を一緒に食べようかと思って呼びにきたけどいけそう?」

泥だらけな3人に声をかける。

「はい! 大丈夫です。 2人とも綺麗にするから並んでください」

そうシャーリーが言うとビーチェと桜花が並んでクリーンをかけてもらい綺麗になる。

「「ありがとう」」 

拓哉は、ブルーシートを敷いてアイテムボックスからサンドイッチケースを出す。 ちなみに、サンドイッチの野菜は畑で採れた物を使っている。

「うわぁ~綺麗ですね。 パンもおいしそうです」

シャーリーが目を輝かせる。

「あるじ、早く食べるよ」

目をキラキラさせながら、早く食べたそうにする3人。

「あぁ~食べようか。 頂きます」

パクッモグモグ

「ん!? これのレタスのシャキシャキ感に濃厚な旨味、それに甘さと歯応えがあるのに口に残らずスッと溶けるトマト! これが...野菜の頂点なのか! 改めて言うけど、お前ら世に出せない凄い野菜を作ったな」

最近は食べていなかった拓哉は、3人が品種改良した野菜に驚く。

「驚きましたか? 拓哉さんからもらった肥料とか本で勉強しながら頑張ったんですよ。私たちも、どんどんおいしくなって驚いているんですよ。 ん~それにしても、マヨネーズの濃厚な味と水分たっぷりの甘~い野菜合いますね。 おいしい」

本はちなみに、桜花が翻訳しているそうだ。 これだけ頑張っているなら、この3人に何かご褒美をあげたくなるな~。

「もう少ししたら、りんごとミンカも熟した実がなるんだよ」

確かに、数日しか経っていないが、柵も出来て畑も広くなって果樹園みたく木が成長しているし、知らず知らずのうちにどんどん村化してきてるもんな。 まぁ、みんなが楽しく幸せならそれでいいか。 なる様になるさ。

「いや~本当に、凄いよ。 今以上にお客さんを満足させられるな。 ちなみに、3人からの祝い品はこの野菜でいいんだよね?」

「はい! 是非、お二人には味わってもらいたいですからね。 あと果実も育つと思うのでそれも持って行ってくださいね」

「一緒に連れて行けなくて申し訳ないけど、ちゃんと伝えておくからさ。それから気にせず全部食べていいからな」

「「はい!ありがとうございます」」

シャーリーとビーチェがお礼を言いながら美味しそうに食べる。

「あるじ、最近悩んでる?」

ふと尋ねてくる桜花。

「ん?なんで?」

「う~ん!? いつもと雰囲気が違ってたんだよ」

結構長いこと一緒にいるし、表情とか様子でバレたのかな。 でも気づいてくれるのは嬉しいな。

「いや、結婚の祝い品をどうしよかなって。 みんな決まってるけど、俺は中々決められないからさ」

「あるじは考えすぎだよ。 あるじが作る料理とかお酒が貰えるだけど嬉しいと思うよ。 このたまごサンドも、トロトロのフワフワでマヨネーズとたまごの味が凄い濃厚でおいしいんだよ。 これでも十分喜ぶよ」

桜花が熱弁する。

「そうですそうです。 拓哉さんには、料理って武器があるじゃないですか。 それだとダメなのですか?」

「ダメじゃないんだけど...冷めたら不味くなるし、その場で作らないと嫌というか...」

「じゃあ、一回だけ出張で作りに行くとかはどうですか?」

「そんなのでいいのかな?」

「大丈夫です。 絶対喜びますよ」

シャーリーと桜花も頷く。

「そうか!ありがとう。 その意見参考にさせてもらいながら決めるよ。 バルトと師匠からも色々言って貰ったから決まりそうな気がする」

晴れやかな表情になる拓哉。

「よかったです。 ん~サンドイッチおいしいです」

晴れ空の下で、4人は楽しそうに食事を楽しむのだった。
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