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第4章 新たな出会いと充実していくスローライフ
第87話 (前編)100年の眠りから覚めたゴーレム!
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地下の研究施設
薬剤やフラスコのような物や人形や何の機械か分からないものが、あちこちに散乱している。 だが、台の上に1体の綺麗な人型ゴーレムが横たわっている。 突如、研究施設のシステムが作動する。
〔ビビビビ...魔境ニテ高エネルギー検知!直チニ破壊ノ必要アリ! 実験体起動シーケンス開始マデ10...9...8...7...6...5...4...3...ビービービーシステムエラーシステムエラー実験体NO.87 ヤナ強制起動完.....プシュー〕
長い間、放置されていた影響なのか?エネルギー不足なのか?システムエラーが起こる。
それでも、うまく起動はしたのか台の上に寝ていた実験体NO.87 ヤナは目覚め上半身を起き上がらせる。
「ここは、どこ? うぅ...ぐがあぁぁぁぁぁぁ頭が...」
突如、激痛に見舞われ、頭の中に声が響く。
〔データ一部破損ヲ確認! 修復不能! 取得可能データノインストールヲ開始〕
一気に頭の中に、様々な知識がインストールされる。 だが、システムエラーのせいか、目的地のインストールはされたが、破壊に関するデータはインストールされなかった。
「作られて100年...人間に近いゴーレムか...! よくわからないけど、とりあえずは目的の場所に向かってみるとするか」
ヤナの見た目は、緑色の短髪で16歳か17歳くらい顔はヤンチャそうだが、目鼻立ちがくっきりしていてイケメンである。
その肉体はミスリルと泥と特別の魔法薬を混ぜ合わせて形成されている。 このゴーレムを作った博士が、より人間に近づけたい為に、五感をシステムに組み込んでいる。 そして、大気中のマナや食べた物は全てエネルギーに変換されるのである。
稼働していない他の実験体が着ていた服を剥ぎ取り、それを着て出口に向かおうとすると、1人の白骨死体があった。 ヤナは黙って白骨死体を持ち上げて、出口に繋がる昇降機に乗る。 昇降機を降りると、一面木に覆われた森であった。 一本の木の下の土を掘り返して、白骨死体を埋めるヤナ。
「博士...安らかに眠ってください。 何故俺を作ったのかわかりませんが、博士から頂いた命を大切に生きていこうと思います」
研究途中で息絶えた博士を埋めて、一言言葉をかけて目的地に足を進めるヤナ。
あれから森を彷徨い2日が経過した。
襲い掛かる魔物を倒しながら、夜になると木の上で過ごして、大気中のマナを吸収してエネルギーを回復させる。そうしながら、2日間かけて目的地に到着した。
「料理屋憩い亭この先真っ直ぐ? よくわからないけど、行ってみるか」
看板に書いてあった通りに、綺麗に舗装された道を歩いて進むヤナ。 暫くすると、家が建ち並び、デカい畑などが見えて来る。 たまたま歩いていた人物が見えたので声をかける。
「あの~すいませんが、憩い亭はどこですか?」
声をかけたのは、精霊のシャーリーであった。 シャーリーは、笑顔で答える。
「初めてくる方ですね。 憩い亭は、夜にならないと営業しないのですよ。 あ!そうだ!少し待っててください。 憩い亭の店主を連れてきますから」
そう言ってすぐ駆け出して行ったシャーリー。 ヤナは何か言いかけるも、すぐ行ってしまったので、待つしかなかった。
数分経ったくらいで、シャーリーと拓哉がヤナの元に来る。
「君が、憩い亭を訪ねてきたと聞いたんだけど合ってるかな!? 一応俺が憩い亭で、店主をしてる拓哉って言うからよろしくね」
拓哉が話している間も、ヤナはじっと見つめる。 拓哉に「えっと、俺の顔になんかついてる?」と言われて、ヤナはハッとする。
「すいません。 拓哉さんのエネルギーが凄いので観察していました。 俺は、ゴーレムのヤナと言います。 何故作られたのか?何故ここに来ないと行けなかったのかわかりません。 ただインストールされた目的地がここでした。 そして、入り口の看板に憩い亭と書いてあったので、目的の答えが見つかると思いそちらの女性に尋ねました」
拓哉とシャーリーは驚いて顔を見合わせる。 見た目が、人間そのものなのだ。 一瞬、冗談かと思ったが、真剣に話すヤナが冗談を言っているようには感じなかったからだ。
「ゴーレムと思わなかったよ...人間かと。ヤナくんの目的はわからないけど、憩い亭に来たなら食事していくか? ゴーレムが食事できるのかわからないけど」
ヤナは少し悩むような仕草をしたが、すぐ返答をする。
「博士が人間に近い存在にしたかったみたいで、五感はありますし、食べてもエネルギーになるので食すことは可能です。 でも、生まれてから食事をしたことがなくて、食事や料理がどういう物かがわかりません」
拓哉は、それを聞いて料理の素晴らしさを知ってもらいたいと考えた。 だが、服もボロボロで体も薄汚れているのだ。
「まずは、その汚れた服と体をどうにかしないとな。 露天風呂に案内するから綺麗にしてから、人生初めての食事を楽しもうじゃないか」
ヤナは、露天風呂もよくわからなかったが、2日森にいたせいで、確かに服もボロボロで体も汚れていると思い、拓哉の案を受け入れる。
「露天風呂がよくわかりませんが、拓哉さんの言う通りにします。よろしくお願いします」
そのまま、露天風呂に案内をする拓哉。 果たして、初めての露天風呂と初めての食事にゴーレムのヤナはどういう印象を抱くのか?
薬剤やフラスコのような物や人形や何の機械か分からないものが、あちこちに散乱している。 だが、台の上に1体の綺麗な人型ゴーレムが横たわっている。 突如、研究施設のシステムが作動する。
〔ビビビビ...魔境ニテ高エネルギー検知!直チニ破壊ノ必要アリ! 実験体起動シーケンス開始マデ10...9...8...7...6...5...4...3...ビービービーシステムエラーシステムエラー実験体NO.87 ヤナ強制起動完.....プシュー〕
長い間、放置されていた影響なのか?エネルギー不足なのか?システムエラーが起こる。
それでも、うまく起動はしたのか台の上に寝ていた実験体NO.87 ヤナは目覚め上半身を起き上がらせる。
「ここは、どこ? うぅ...ぐがあぁぁぁぁぁぁ頭が...」
突如、激痛に見舞われ、頭の中に声が響く。
〔データ一部破損ヲ確認! 修復不能! 取得可能データノインストールヲ開始〕
一気に頭の中に、様々な知識がインストールされる。 だが、システムエラーのせいか、目的地のインストールはされたが、破壊に関するデータはインストールされなかった。
「作られて100年...人間に近いゴーレムか...! よくわからないけど、とりあえずは目的の場所に向かってみるとするか」
ヤナの見た目は、緑色の短髪で16歳か17歳くらい顔はヤンチャそうだが、目鼻立ちがくっきりしていてイケメンである。
その肉体はミスリルと泥と特別の魔法薬を混ぜ合わせて形成されている。 このゴーレムを作った博士が、より人間に近づけたい為に、五感をシステムに組み込んでいる。 そして、大気中のマナや食べた物は全てエネルギーに変換されるのである。
稼働していない他の実験体が着ていた服を剥ぎ取り、それを着て出口に向かおうとすると、1人の白骨死体があった。 ヤナは黙って白骨死体を持ち上げて、出口に繋がる昇降機に乗る。 昇降機を降りると、一面木に覆われた森であった。 一本の木の下の土を掘り返して、白骨死体を埋めるヤナ。
「博士...安らかに眠ってください。 何故俺を作ったのかわかりませんが、博士から頂いた命を大切に生きていこうと思います」
研究途中で息絶えた博士を埋めて、一言言葉をかけて目的地に足を進めるヤナ。
あれから森を彷徨い2日が経過した。
襲い掛かる魔物を倒しながら、夜になると木の上で過ごして、大気中のマナを吸収してエネルギーを回復させる。そうしながら、2日間かけて目的地に到着した。
「料理屋憩い亭この先真っ直ぐ? よくわからないけど、行ってみるか」
看板に書いてあった通りに、綺麗に舗装された道を歩いて進むヤナ。 暫くすると、家が建ち並び、デカい畑などが見えて来る。 たまたま歩いていた人物が見えたので声をかける。
「あの~すいませんが、憩い亭はどこですか?」
声をかけたのは、精霊のシャーリーであった。 シャーリーは、笑顔で答える。
「初めてくる方ですね。 憩い亭は、夜にならないと営業しないのですよ。 あ!そうだ!少し待っててください。 憩い亭の店主を連れてきますから」
そう言ってすぐ駆け出して行ったシャーリー。 ヤナは何か言いかけるも、すぐ行ってしまったので、待つしかなかった。
数分経ったくらいで、シャーリーと拓哉がヤナの元に来る。
「君が、憩い亭を訪ねてきたと聞いたんだけど合ってるかな!? 一応俺が憩い亭で、店主をしてる拓哉って言うからよろしくね」
拓哉が話している間も、ヤナはじっと見つめる。 拓哉に「えっと、俺の顔になんかついてる?」と言われて、ヤナはハッとする。
「すいません。 拓哉さんのエネルギーが凄いので観察していました。 俺は、ゴーレムのヤナと言います。 何故作られたのか?何故ここに来ないと行けなかったのかわかりません。 ただインストールされた目的地がここでした。 そして、入り口の看板に憩い亭と書いてあったので、目的の答えが見つかると思いそちらの女性に尋ねました」
拓哉とシャーリーは驚いて顔を見合わせる。 見た目が、人間そのものなのだ。 一瞬、冗談かと思ったが、真剣に話すヤナが冗談を言っているようには感じなかったからだ。
「ゴーレムと思わなかったよ...人間かと。ヤナくんの目的はわからないけど、憩い亭に来たなら食事していくか? ゴーレムが食事できるのかわからないけど」
ヤナは少し悩むような仕草をしたが、すぐ返答をする。
「博士が人間に近い存在にしたかったみたいで、五感はありますし、食べてもエネルギーになるので食すことは可能です。 でも、生まれてから食事をしたことがなくて、食事や料理がどういう物かがわかりません」
拓哉は、それを聞いて料理の素晴らしさを知ってもらいたいと考えた。 だが、服もボロボロで体も薄汚れているのだ。
「まずは、その汚れた服と体をどうにかしないとな。 露天風呂に案内するから綺麗にしてから、人生初めての食事を楽しもうじゃないか」
ヤナは、露天風呂もよくわからなかったが、2日森にいたせいで、確かに服もボロボロで体も汚れていると思い、拓哉の案を受け入れる。
「露天風呂がよくわかりませんが、拓哉さんの言う通りにします。よろしくお願いします」
そのまま、露天風呂に案内をする拓哉。 果たして、初めての露天風呂と初めての食事にゴーレムのヤナはどういう印象を抱くのか?
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