チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第2章 強敵ルシファーと新たな力を得る

第510話 陛下の意味深過ぎる言葉！

「アレクよ。忙しい時に呼び出してすまぬ！早速で悪いが、まず褒賞の件を聞かせてくれぬか？」

陛下は、アレクが来て早々ではあるが、本題を切り出す。

「いえ、お伝えしたいこともございましたので、ちょうどよかったです！褒賞の件に付きましては、全てのことが終わってからでもよろしいですか？」

アレクは、考えていたのだが、欲しい物が全く浮かばず、聖王国のことが終わるまで先延ばしにしようと考えた。

「アレクが、それでよいならそうするが、そうなると国を一つや王女を娶って貰うくらいの褒美を与えねばならぬな！しっかりと考えておくのだぞ」

「え！？娶る......あ！はい！何か考えておきます」

いつも以上に眼光が鋭くなる陛下を見て、本気で言っているのは明白なので驚くアレク。しかし、ハッキリと言ってしまえば大変なことになってしまいそうな予感がしたので、曖昧な返事を返すのだ。

「アントンよ、これで王国も安泰であるな！」

「そうですね！より一層未来が明るくなったと言えましょう」

アレクは、「ん？ん？」と聞き返しそうになるようなことを陛下とアントンは話している。

「王国も安泰？未来が明るくなる？」

「この話は、ここまでにして犯罪者の処遇について話そうではないか！」

アレクが、聞き返すと話を完全に流されてしまう。陛下とアントンは、終始にこやかなのだ。アレクは、抜け出せない泥沼に嵌ってしまったのでないかと思ってしまう。

「え？あの～不穏な言葉が......」

「なんだ？何か不満でもあるのか？」

アレクの言葉は、途中で遮られ、またしても眼光が鋭くなった陛下に睨まれる。

「いえ、何もございません」

アレクは、これ以上聞いてはいけない何かを感じて、この話を考えるのはやめようと思う。

「うむ！ならば話を戻すが、犯罪者の薬による奴隷に関しては容認しよう！ここ数日ではあるが、あのどうしようもなかった極悪人共が静かになり、毎日反省の弁を述べているそうだ」

アレクの薬は、効果絶大だったようで、すっかり犯罪者は大人しくなったらしい。

「それはよかったです！これで、少しは人々が安心して暮らせるようになりますね」

「うむ！第一歩である！何年後になるかはわからぬが、まずは魔物の街で様子を見てからあらゆる街に労働力として使えるかどうか見定めていく必要があるな」

アレクの考えはしっかり陛下へと伝わっており、いつか遠い未来になるとは思うが、犯罪者を街に溶け込ませて労働力として使えるようになりそうである。

「まだまだ、先の未来ではあるがな！定期的に薬を服用しなくてはいけない！監視者をどうするか？問題は山のように残っておるのでな！だが、やってみる価値は十分にある」

現時点では、決して費用対効果がいいとは言えない犯罪者活用方法ではあるが、未来を見据えて考えられる陛下にとっては、やってみる価値のある事柄だと考えている。

「ありがとうございます！力になれることがあれば言って下さいね」

アレクは、自分が言い出したことなので、些細なことでも力になろうと考える。

「流石はアレクであるな！もう、余の後のことまで考えているとは、安心して任せられるな！アントンも、そう思うであろう？」

「おっしゃる通りでございますね」

二人は、いつになく大笑いをして満足そうな表情を浮かべる。アレクは、あれ？あれ？何か良からぬ方向に進んでいるぞとなる。

「陛下の後ですか？話したことはありませんが、王子様に譲るということですか？それを俺が支えると？」

「アレクよ、今は良いではないか！それよりも、アレクからも話があるのであろう？」

またしても、肝心なところで話を逸らされてしまう。アレクも、これ以上突っ込めば今すぐに地雷を踏みそうなので、話を止める。

「はい！ゼロの仲間であろう人物が、魔物の街へ襲来し、デストロイを攫おうとしました」

「な、なにぃぃぃぃ！」

思っても見なかった大変な出来事に、陛下は思わず大きな声を出してしまうのであった。