とある修練士は闇夜に踊る

音無闇夫

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上野事変

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新宿、渋谷の事件は、解決し報告書を管理官に提出した。俺は、イクミのサポートに徹することにした。夜の街は、新宿や渋谷だけでは無い上野には、江戸の時代より遊廓があり未だにその名残、吉原がある事件自体は上野公園内だが、吉原と言う歓楽街は、色んな人間が、欲望と快楽を求める街だ、稀血人と接触しやすい今までの調書を上野公園内に絞ったのが初動遅れと考えた、そりゃそうだ、イクミは素人だし、調査の仕方も分からない訳だ。なら、夜遅くでどこに人が集まるか?などリサーチは、皆無だろう?しかも、快楽を求めた男が群がりそれを生業とする女性達、木を隠すには森と言う発想は無いし、無防備に入り込みたくない場所だ。
俺ですら、見落としていた。相手が鬼女なら餌を求めるなら、吉原を拠点にした方が、都合が良いはずだ、新宿渋谷事件の拠点は、新宿の一番街、眠らない街の大名詞だった、なら、北東の拠点は、ここしか無いと当たりを着けた。
しかし、イクミは、行きたがらないだろうな?
吉原内での行動は、俺が担当し、討伐はイクミに、任す段取りだ。まぁ~上手く行けば御の字だなと、言う感じだ。然し、鬼女と、決めつけるのも尚早だ、今までの調書では、被害者は、女性が多いもしかしたら、ただの鬼かも知れないしかし鬼の仕業ならかなり特殊な鬼となるただの鬼なら肉をも食らうしかし、こちらも新宿渋谷事件と、同じ特殊なケースだ。もしかしたらもう事件は、起きないかもしれない?俺が倒した鬼女の単独なら、しかし可能性が捨てきれない場合、張り込むしかないのだ。上野署の八島警部が車の窓を叩いた「よっ誠!張り込みか?」と声を掛けてきた。隣には、師匠がいた俺は、「え~そうですよ?浮気調査です。」師匠は、助手席に座り旦那か?嫁か?と聞いてきた
おれは、「娘さんからの依頼なのでどちらともいえませんが、もう1人は別の場所で張り込んでます。」イクミが、現場になるであろう場所で待機してると言うことを、理解した。師匠は、「なら、俺がここに残るからお前は、助手の方にフォローに回れ」と行ってきた。確かに初めての案件だ緊張もするし気負いもするだろうその配慮である。流石は、師匠、この雑多な、人混みの中から、怪異を見つける、一流の退魔師なのだろう?イクミの所に、いった。巫女服に身を包み白銀の長い髪をなびかせ、十字槍を、ゆらりゆらりと、踊る様に、舞っていた。手持ち無沙汰なのだろうが?手の内を、見せていいの?って感じになっていた俺であった。「頭痛い!」と涙目になった。あの十字槍の形、あのいでたち、確信した。長野の名家真田家の者だ、今、真田家の当主は、確か、女性だったな?まさかな、現当主は、真田百花、一人っ子なはずだ?真名がわかってしまったよ!無防備すぎなんだよ!馬鹿がと、思い、トイレで正装にぎがえ儀式剣舞を舞う月夜に、二人が舞う。そこには、陰と陽を描く様に舞い踊る2人の姿が、あった、古来より、統治王は、男の役目、祭事王は女性の役目とされて来た、別に男女差別するつもりは無いが、日本の歴史を見れば明らかだつまり男は、陽、女は陰となる。分かっちまった上野の事件の怪異は男の鬼だ、新宿渋谷事件は、番の鬼、なら新宿渋谷が鬼女なら、上野は、男鬼だ!ここまで分かれば、必然と真名が、見えて来る。「源義仲か!」と、ボソッと、呟いた鬼と、化しても、夫婦であろうとした、その意気や、良し!しかし、やり方を、間違いたな。平安の世で、夫婦となり2人で戦場をかけた、アンタらには、敬意を評するが、この世じゃ、悪鬼に、なっちまったら、終わりじゃないか。直ぐに、嫁さんの所に、送ってやるから、安心しろ!と、心で誓った。オーナーに電話し相手の正体を明かした。さて、修練槍士の腕をしかと見させてもらいましょうかね?とベンチに座り見学と洒落こんだ。ターゲットの到着を待つ、2人が行ったのは陰陽結界陣と言う男女にしか、出来ない、神楽神事で行う結界陣である。神楽神事には、その土地、その地域、風習が、口伝や、伝承、古文書で、今でも伝えられている。ただ、修練士や退魔師、陰陽道など、の神事は、その技や、型に隠されている。二人の舞は、その一つなのだ、誠は、「きたか?鬼人源義仲がさん?上野事件の犯人さん?」鬼人は、「我が真名知りし者よ何用か?稀血でない者に、興味が無い!」俺は、「俺の名は茅場誠一介の探偵だ。」鬼人は、「そこの、女子も、稀血じゃない!なのに、稀血の匂いがするのは、なぜじゃ?」俺は、「巴御前を倒したのが、俺だからじゃない?」と言った途端、鬼人が襲いかかってきた。誘導するように、避け、陣に誘い込む俺は、イクミに、「任せていいか?」イクミは、「任された。」と、槍を構えた。緊張しているのか?ガチガチに、なっている。「まぁ~初陣じゃしかたないか?でも、手を貸したら貸したで成長が、見込めないし、どうしたもんか?」イクミは、鬼人に突進して行く、おれは、「つっこむだけが、其の槍の使い方、じゃないなんの為の十字槍か、考えろ。」おれは、小声で呟いた、イクミの戦い方を静に見守っていた。イクミは、「見てないで、手伝って下さいよ。」俺は、「だって、これは、君の、仕事だよ?俺が手伝ったら、意味無いじゃん?」確かに、相手の、鬼人の、真名まで、教えたんだ、真名を言い、黄泉送りをすれば、終わりなんだが?教わらなかったんだろうか?仕方がない、「じゃ、変わろうか?」と、言って抜刀し、「鬼人源義仲、帰る所に帰るべし!奥義月光第一秘剣新月!隠り世にもどれ!」と、叫び、暗闇に、吸い込まれる。
抵抗しているが、新月の闇に強く吸い込まれる。ハバキリを納刀した途端新月の門が閉じる
イクミは、口を、半開きにして、眺めていた。
俺は、「はぁ~弱い怪異でも、ぶった切ればいい訳じゃないんだよ!」イクミは、「まだ、奥義は、修得していません。私はどうすれば?」俺は、「君の師匠は、?その、槍、真田家が、帝から、賜った物だよね?」イクミは、「まさか、私の真名もご存知なのですか?」おれは、「想像は、着いたよ?武具を見ればね!俺だって修練士になって10年になるからね?武術16呪術4家は、有るんだよ。これら、20家が、帝から認められた。修練士20家と呼ばれる者たちだね?」俺は、「イクミの真名を言うつもりは無いから気にしないでいいよ。俺の事は茅場誠で、頼むよ真名を教えるつもりもないから!」現場から歩きながら、「さて日常に帰りますかね?明日国家試験と溜まったレポートと今回の事件の報告書書かなきゃだ~」と一気に肩を落とした。イクミは、「真田百花、わたしの真名?」俺は、「聞かなかった、聞こえなかった!それと、無防備に真名は晒すな!真名は相手を縛るから、だから、知ってても、真名を晒さないのが、鉄の掟!」と言ってコートのポケットに、手を入れ駅に向かった。俺は、振り向いて、「まぁ~、なんだ~、今日迄、楽しかった、有難う、今後、会わないと、思うが、がんばれよ?後良い師匠探して鍛えてもらうんだぞ。」と、手を振りながら、ホームに降りていった。管理官に、電話で報告をした。この件は、終わった、のだが?何で俺の事務所に、「何で、お前が、ここに居るのかな?」イクミが、そこにいた。管理官からの書簡には、探偵助手として、修練士の先輩として、指導する事を、命ずる。とあった、俺は、「あのタヌキオヤジが~~~~!」と天井にむかって叫んだ。
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