とある修練士は闇夜に踊る

音無闇夫

文字の大きさ
上 下
7 / 9

If(あの時、もし、)

しおりを挟む
俺は、あの時の夢を見ていた。親父とお袋が、まだ生きてた頃、とある怪異災害に、あった時、親父やお袋が、怪異に立ち向かいながらも俺を、逃がしてくれた。あの時の事は、今でもしっかり、覚えてる、親父は、祓魔師で、お袋は、退魔師で、武術は、親父譲りで、最初の師匠であった調伏は、お袋から教わった。月光は、その時に、生み出した技だ、俺は、親父やお袋から免許皆伝を、貰ったそのすぐあとの事だった。もしあの時、俺も参戦出来ていれば、もし、力があれば、今更ながら、情けない、そんな、起きてしまったことを、悔やんでも仕方ないのにな?うなされている俺になにか暖かい温もりを感じた。何だか、懐かしくもあり、優しくもあり、ふと、目が覚めたソファーで寝てしまっていたみたいだ?だが、イクミの膝の上に頭が乗っていた。しかも、頭を撫でられていた。俺は、「あの~イクミさん?何やってるんですか?」イクミは「魘されていたので、落ち着くおまじないです。」いやいや、これおかしいでしょ?俺は、「あのさ、俺、一応男なんだけど?」イクミは「そうですね?男の子ですね?」俺は、「あのさ、一応、警戒心持とうよ?」イクミは、「何に警戒するのですか?」俺は、「一応、俺たち、大人の男女なんだよね?何かあったらと、思わんのかい?」イクミは、「誠さん、そんなことしないこと知ってますから。」俺は、「まぁ~そうなんだがね?無防備に、やるから勘違いされるぞ? 」イクミは、「誠さん、家に修行しに時のこと思い出しますね?」俺は、「真田師匠、厳しかったな?疲れ果ててぶっ倒れてた頃の、ことな?」イクミは、「その度に、こうして、よく、膝枕しましたよね?」俺は、「おっおう、そうだったな?あの時は、わるかったな?もう大丈夫だから、なっ?」イクミは「寝室で寝てくださいね?風邪ひきますからね」俺は「おかんか!」イクミは、「心配してるんですよ?所長に、何かあったら困るので。」と、言ってすくって、立ち上がり、いそいそと自室に戻った。何だったんだ?でも、確かにあの頃は、何度となく、イクミに、あぁやって貰ったっけ?だから、懐かしいと感じてたのか?落ち着いていたのか?得心がいったぜ、有難うな、イクミ!いや、桃花!と心で感謝しながら私室に戻る。いよいよ来週から、地方研修だが、辞令が降りるのは、いつなんだ?イクミは、私室で膝を抱えながら物思いに、ふけっていた。幼き頃の約束を、思い出していたのだろう?俺はそんな事を忘れている。何故ならば、復讐心が強かった、だから、あの頃は、兎に角、がむしゃらに、なっていた。今でも、その気持ちには、変わりは、無いが、しかし、何故だろうな?まぁ、そのおかげで、呪いの様に、瞼の裏側に、両親の、死にめが、フラッシュバックする。俺は「マジ、俺、ダサ」と呟いて
、布団に、潜ったが、眠る事は出来なかった。寝たら、また、あの悪夢を見る、そしたら、また、イクミに、迷惑かける。ベッドから抜け出し、ベランダの椅子に、座り、煙草を、吸いながら、また、バーボンのロックを、呑んでいた、今宵の月は、綺麗だな。眺めグラスを、月にかざし覗き込む、琥珀色に光る酒をちびりと飲みながら、ナッツをつまみに、酒を飲みほ
たち、修練士、なのだ。夜目を、慣らすために、夜の街を、歩く、「そう言えばイクミの真名は桃花だ、桃の花だ、桃は邪気払うと言うなら、これを、参考に調伏術が出来るんじゃないか?」しかし、なにか、参考になる、古文書はないかな?その昔日本神話では、イザナミとイザナギの神話では、確か、蛭子神に桃の実投げて黄泉比良坂から葦原の豊津国に逃げた伝説がある。うる覚えだがな、確か、鉾で、海をかき混ぜ雫から、大地がうまれたんだっけか?これなにかにつかえないか?よし、イクミに調べさせ、何か、ヒントを、つかませるか?もっと神話関係の勉強しときゃ良かったな~と、思う今日この頃だ。まぁ~今じゃネットで調べればヒント位は、見つかるだろう?俺は、イクミの部屋の戸を叩いたイクミの部屋の戸が開く俺は、「ちょっと執務室までいいかな?」イクミは「はい。」と言って、後ろから、付いてくる、執務室の、ソファーに、対面で座り、俺は、「祓魔術の、参考になれば、良いのだけど日本神話イザナギとイザナミの話を、参考にしてみたらどうかな?」イクミは、「イザナギとイザナミですか?天の三柱のご両親の二柱ですよね?」俺は「正式には、火之迦具土神を入れると4柱なんだけど、火之迦具土神を産んで、大火傷を、おって、幽世に、行ってしまった、それを、追いかけて、行った、旦那が、変わり果てた、嫁さんが、見ないでと言ったのに覗いたので蛭子神を使って旦那を追いかけた、その時に、黄泉比良坂で、桃の実投げて逃げ切ったってのが大まかな話だけど」イクミは「桃の実ですか?」俺は「君の真名は何だっけ?思い出してみな?そこから、導き出されるのは?ここまで、ヒントを出したんだ。後は、分かるよね?君は、賢い子だ。後は、君次第だよ。」おれは、「俺は、夜の乙國の住人、だからな、月光は、そこから、生まれた技だからね?」まぁ~お袋の子守唄に感謝だな。更に俺は、「自分の真名にちなんだものが一番馴染みやすいのとイメージがし易いと思ったんだよ。とうかな?」イクミは暫く考えていた、頭の中で、イメージをしているのだろう?桃の花が咲、散って。実を結ぶこの段階を、イメージして、何か得られないかと、思ったのは、確かだ。漠然としたイメージより、確実なイメージが、必要な事なのだ。これは、感覚で覚えるしかない。感覚を研ぎ澄まし、自分を高め行うしかないのだ。俺は、「ヒントは与えたあとは自分次第だ?技術なら幾らでも伝授出来るが感覚は、教えられないから、すまんね。」と、言って執務室を後にした。コンビを組み始めていつも同じ夢を見る、両親との思い出最後にイクミとの思い出、これが意味することは何なんだろうか?天は何をしたいのだろうか?そんなことばかり考えるそんなある日、大学の卒業を迎え、法務省、検察官 の、入官し、辞令が下った「茅場誠殿、右の者東京検察庁多摩支部への研修出向を命ずる」これは、あのたぬきが画策したに、違いない他の同期は、都外なのに俺だけ都内っていうのありえないからだ!検察庁TOPから呼び出された。「茅場誠です。失礼致します。」お偉いさんに、よびだされるのは、あまり、嬉しくないのだが、ドアを叩いた、「入りたまえ」と声が聞こえ入室した。ソファーには、あのタヌキと長官が、居た。俺は、「やはり、貴方でしたか?」管理官は「だから、何とかしてやるって、いったろ?」頭を抱えて、「あんたって人は。」管理官は、「東京に、怪異の専門の人が、少ないんだよね?なので、戦力は、温存したいんだよね?」だからって、「あのだからって、これは、やりすぎじゃないっすか?」管理官は、「なにが?」俺は、「イクミさんも居ますし、」管理官は、「イクミさんは、祓魔出来るのかい?」俺は、「今、修練中ですが?」管理官は、「確実に、怪異を、祓魔出来る人間が、君だけって事だね。帝がおわす東京で、対魔及び祓魔ができるのは、師匠と、俺と、数人だけ、その他の、対魔及び祓魔及び修練士は、各地に集中してるんだよ。特に京都に集中してるから、東京には、殆ど居ないんだよ。帝つまり、天皇陛下の守護するものがいないんだよ。」長官は、「君を、この東京に残す事にした訳だ、我々は、近衛修練士として、登録されている以上東京から、出せない訳だ。」俺は、「長官も、ご事情に、詳しいのですね?」長官は、「私も引退したとは言え、祓魔師だったんだよ東京で最強と名高い天乃彼方殿が、うちに入官したんだ未解決事件なんかも、何とか出来るかもね?」俺は「昼は、検察官、夜は修練士してもいいのですか?」長官は、「問題ないよ、しかし、なんで修練士に甘んじてるんだ?」おれは、「お恥ずかしながら、その、お金がありませんで、修練士、止まりなんですよ。」長官は「修練士あるあるですね。」管理官は、「いや~ほらね、お布施が無いと、うちの寺社庁は、やってけないし、エセ術士や振興教団だのが、跋扈してしまうだろ?だからね?」と、言って黙ってしまった。まぁ~理解は、出来るが、ぼたくられてる気がする。管理官が「1級退魔師及び、祓魔師の4名の、推薦が、あれば、半額だぞ?」と、にやけた顔で、言った、俺は、膝を落とし、「今までの、俺の苦労を、返してくれ!推薦状4枚と、お布施です。」現金を、渡した。管理官は、「何だ1級退魔師と祓魔師2名ずつ計4枚確かにお布施もちょうど、これで、晴れて3級剣闘退魔師だね。」長官は、「調伏数は、はるかに特級術士だろ?」管理官は、「確かにそうなんですが、規約では、いかなる場合でも、3級からなんで」俺は、「等級に、執着してませんから、お気になさらずに。」管理官は、「一応3級退魔師だが、近衛には変わりないからね」俺は、「そこは、変わらないんすね。」と肩を落とした。管理官は、「こんな大型ルーキーを帝が手放すわけないだろ?諦めろ。」と高笑いをした。本当にこのタヌキオヤジは!と言う思いが、強かった。俺は、一早くこの場から去りたかった。「あの、御用は、以上ですか?なら失礼します。」長官は、「あぁ多摩支部に行って頑張ってくれたまえ?」俺は、「了解しました。失礼致します。」と一礼し部屋を退室した。
しおりを挟む

処理中です...