異世界で神が認めたシェフになる

ジェル

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第2章

鎖の繋いだ絆2

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「よし、これで収穫も終わりだなぁ」

「はい。ではアイテムボックスに入れておきますね。」

「ああ。それにしても、これで野菜を育てるのも終わりかと思うと感慨深いものがあるな」

あれから数日、俺たちは今日最後の収穫を終えた。

「そうですね。でも、ソラは結構お世話好きなんですね、ふふっ」

「まあな…、正直、似合わないことしてるなぁって自覚もあるよ。ははっ、らしくないだろ?」

「いえ、素敵なことです。それに将来私たちの子ども……」

「ん?最後なんて…?」

「いえ、と、とても素敵なのでいいと思います。」

「そ、そうか。それはありがとな」

そうして最後の野菜を収穫した俺たちは家に入った。
アリアいわく、野菜は3ヶ月間、毎日食べても余裕があるくらい取れたらしい。

しかし、この数日、野菜やキノコしか食べてないため、正直飽きがきていた。
こんな贅沢な悩みを言っていられるのもアリアのおかげだ。

実際、畑を作ってないところは買うしかないらしく、さらにアリアのところはそんなことはなかったが、今年は野菜の出来が悪く、価格が高騰しているらしい。

ちなみに、この世界のお金なのだが、ゴールドという単位で日本円で例えると1円=1ゴールドと同じような感じだ。
さらに1ゴールドが銭貨、100ゴールドが銅貨、1万ゴールドが銀貨、100万ゴールドが金貨となる。さらに滅多に見られないが、白金貨とよばれ、1億ゴールドもの価値を持つものもあると言う。

と、まあ価格の高騰により、村人も食べる物が不足しているらしい。最近は、あんなに無下にしていたアリアのもとにまでくる始末だ。

本来なら、美味いものを食わしてやりたい俺だが、ここの村人にはどうしてもそんな気にならない。

「兄さん、言われた通り早めに帰ってきたわ」

「おっ、シロお帰り。いった通りこれから村を出るぞっ!」

「わかったわ。準備は終わっているもの。」

「私も大丈夫です。」





「では、いこうかっ!」

そう言って村の中を歩いていると、前に見た衛兵さんと住人が近づいてきて怒鳴ってきた。

「おいっ、お前たちどこに行く。」

「俺たちはこの村を出て王都に向かいますよ。」

「何をバカなこと言っている。食料不足のこの状況でっ!ダメだ、お前たちを出すわけにはいかない。」

…この衛兵、食料のために俺たちを流さないつもりだなぁ。

「なら、なおさら俺たちはいない方がいいですね。人数が少なくなるわけですから、助け合えばよりみんなに食料が行き渡りますよ。」

「くっ!お前たち、みんなが困ってるのに助けようとは思わないのか」

…はぁ、怒りを通り越して呆れたよ

「へぇ、あなた達がそれを言うの?アリアが困っていた時に助けなかったあなたたちがねぇ」

…そうだ、シロ。もっといってやれ。

「あ、あの時は、アリア1人で大勢が助かる状況だった。仕方ないだろ。だが、今回は村人全員の危機だ。食料を置いていけ。」

…こいつら、ホントに自分勝手だな。

「あんた達、図々しすぎるんじゃない。人から優しくされたいなら人に優しくしなさい。アリアは私たちにとてもよくしてくれたわ。だからあたしたちはアリアに味方するわ」

「俺もシロの意見に賛成だな。お前たちは自分で何もしようとしない。」

…さあて、少しわからせてやるか。

「そんなに大勢の村人を助けたいなら、衛兵さん。
あんたが肉を提供しろよ。」

「どうゆうことだっ!」

アリアもシロもキョトンとしている。

「そのまんまの意味さ。あんたが死んで、自分の身体を村人のために差し出せっていってるんだ。」

「兄さん、さすがにそれは…。」

「ソラ、何もそこまで…」

「2人ともいいから…」

衛兵の顔が赤く、今にも殴りかかってきそうだ。

「そんなことできるわけないだろっ!」

「へぇ、できないの?それで村人大勢助かるかもしれないんだぜ。ああ、子供の肉でもいいんじゃないか?
柔らかくて美味しそうだもんな。」

そういうと、子連れの親は我が子を抱え、青い顔をした。

「お、お前は悪魔だ。そんな酷いこと考えられるはずもない。」

その言葉に俺は自分の中で何かが切れた。

「お前らふざけるなよ。お前らはそれより酷いことをアリアにしてきたんだ。
アリアの優しさに甘えて、追い込んで、さらには殺そうとした。
人間のすることじゃねーよな。

俺が悪魔なら、お前らいったい…なんなんだ?」

衛兵も村人も何も言わない。

「まあ、俺も悪魔にはなりたくないから、森にあったキノコを大量に出してやるよ。」

そういって俺はアイテムボックスにあるキノコを半分ほど出した。
それでもものすごい量である。
もちろん毒のないキノコである。

「さあ、こんだけあれば足りるか?食べたければいくらでも持って行ってくれ。」

そういうと村人はいっせいにたかろうとする。
だが俺は、まだ許したつもりはない。

「ただし、こん中には毒のあるキノコも入っているかもしれないな。それを食べたら即死だろうなぁ」

俺はそんな嘘をあえて言った。

「なっ!それでは食べられないではないか。ふざけるなっ。食べられるものを出せ。」

「いや、食べられるキノコもあるかもしれないだろ?ちなみにアリアは全部わかるぜ。
これも、森に入って俺たちと一緒に覚えた知識だ。」

「な、なら教えてくれ。いや、アリア教えろ」

…こいつら、マジで…
もう手を出しそう。

「なんども言わせんな。ふざけるなっ!甘えるなっ!アリアは自分の足で森に行き、自分で覚えたんだ。
何もせず、村にこもってたお前らに教える義理は全くない。」

「だが、それでは下手したら死んでしまうではないか。」

悪魔おれと取り引きするんだから、命をかけろ。じゃあな、俺たちは行く。村人どうしで仲良くやってくれ。」

そう言って俺たち3人は村を出た。

「兄さん、流石にあれは私でも怖かった。」

「流石に許せなくてな。ごめんなアリア、辛い思いさせちゃって。」

「いえ、なんかスッキリしました。それにソラがあんなに私のことを思ってくれてるなんて嬉しくて…」

「兄さんのたらし…」

「え? シロ、みたらしが食べたいのか?あいにく砂糖も醤油もなくてな…」

「兄さんのバーカっ!」

「なんでだよっ!!」

「ふふっ、でも何だかんだ言ってソラは優しいですね。あのキノコにはどれも毒のないものばかりじゃないですか。」

「アリア…、俺が普段から毒キノコを持ち歩いているように見えるのか?」

「ふふふっ!さあ、どうでしょうねっ!」

「えっ!兄さん毒キノコなんか持ち歩いてるの?やめてよ。間違えて食べたらどうするのよ。」

「…シロ、毒キノコが手に入ったら真っ先に食わせてやるよ。」

「そんなの仕入れなくていいわよーーー!」

シロの様子があまりにも可笑しくて俺とアリアは声をあげて笑った。それにつられてシロも声をあげて笑った。

そんな3人の笑い声は村から少しずつ離れていくのだった。




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