異世界で神が認めたシェフになる

ジェル

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第2章

鎖の繋いだ絆3

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村を出た俺たちは王都までの道のりを進んでいた。

今から行くのはディーン王国の王都。この世界では発展している国らしいが、その実態は是非見てみたいと思った。あまり期待しすぎるのもどうかと思うが、少なくとも、野菜やキノコ以外の食材を手に入れたいと思っている。

しかし、手に入れたいと思っても俺たちは金がない。
アリアに聞いたら魔物討伐をして、その証拠を持ち帰ればお金を貰えるらしいので、出てきた魔物は積極的に倒そうと思っている。

しかし、村を出てから1時間ほど、俺たちは未だ魔物に出くわしていない。シロの嗅覚にもそれらしい反応はないようだ。

この辺の魔物はあまり強くないらしいが、俺らは見たことがないので油断できない。

そう思っていると、シロが声をかけてきた。

「兄さん、この先で魔物の匂いがする。しかもすごい数。それと、これは、人間の血の匂いっ!」

「んっ!2人とも急ぐぞ」

俺たちはシロの言う方向へ急いだ。


それから15分くらい走った先では大きな馬車が魔物に囲まれていた。

馬車の周りでは首輪をつけた男たちが戦っていた。


馬車の主人らしき人が首輪をした男たちに声を張って話している。

「こら、魔物など早くやってしまえ、お前たちはそのための道具だ。」

「…ちっ、クソ」

首輪をした男たちは息も乱れ、ケガが多く見られた。

ようやく着いた俺たちはすぐさま助けに入る。

「手伝いますよ。」

「それは助かります。おい、お前たちもやるんだ。」

主人はそう言って指示を出した。

俺は、その時、主人の乗る馬車の中が目に入った。
そこには若い子から年老いた人まで様々な人が乗っていた。首輪をつけて。

とりあえず、魔物を倒すことに専念した。
この魔物はディーンウルフという王国周辺にいる魔物で、肉は食べれないが、毛皮はとても高く売れるらしい。
俺たちは金稼ぎの意図もあったのでなるべく毛皮を傷つけないように倒した。

俺は舞姫についた血を拭うとアイテムボックスにしまい、馬車の主人と話をしにいった。

「大丈夫ですか。と言いたいところですが怪我をしている人がいますね。アリア、回復してあげてくれないか?」

「はい、怪我をしている人は来てください。」

さっき戦ってた人はアリアのところへ行った。
アリアは風属性の次に習得したのが回復魔法で今ではかなり高位のものも使えるようになった。

「いやぁ、回復魔法まで。ホントにすいません。」

「いや、気にしないでください。その代わりと言ってはなんですが、あのウルフたちは俺たちがもらってもいいですか?」

「それはもちろんです。ですが、それでは私の気がすみません。どうかうちの商品も見ていきませんか?今なら安くしておくので。」

…なるほど、この人は商売上手のようだ。

「有難いお話ですが、俺たち、いま持ち合わせがないんですよ。」

「そうですか。それならそのウルフをいくつか譲っていただければいいですよ。」

「はあ、そういうことなら。それで何を扱っているんですか?」

「はい、奴隷です。」


奴隷。

俺は奴隷という存在にショックを受けずにはいられなかった。シロも同じようだ。

「奴隷ですか?それはどのような人たちですか?」

「おや、奴隷を見るのは初めてですか?では、一応説明させていただきますね。まず、奴隷には戦闘、奉仕、犯罪、性奴隷の4種あります。名前からもある程度わかると思いますが、戦闘奴隷は戦闘を、奉仕奴隷は仕事の手伝いを、性奴隷は夜の奉仕を行います。犯罪奴隷だけは少し別で、犯罪を犯したことのある者たちで、このものたちには基本的にどんな命令にでも従うように首輪に魔法がかけられております。」

「なるほど。なんとなくわかりました。」

…正直、どれも興味はない。敷いてあるとすれば将来店を持った時に働き手として、奉仕奴隷を欲しいくらいか。

その時、シロが小さな声で話しかけてきた。

「…兄さん、なんとか奴隷たちを解放してあげられない?」

「シロ、お前の気持ちはよくわかるが、多分全部は無理だ。そんな金がない。それと多分だが、この人はこれで商売をするのだから、立派に職業としてこの世界にはあるのだろう。」

「…そっか。なら買わないの?」

「どうしようか?」

俺たちが話をしていると後ろから商人が声をかけてきた。

「あの、とりあえず見てみますか?」

というので、とりあえずみんなに馬車から出てきてもらった。

みんな、俺の顔をキラキラとした目で見つめ、明らかに買ってほしいみたいな目をしていた。

…そんなに奴隷として仕えたいのかな?

そんな中、俺の目を引く人がいた。
それは金髪ストレートが特徴的なエルフと言われるものだった。

エルフだから気になったというわけではない。

この子だけ、買ってほしいみたいな目でこちらを見ず、下を向いて、唇を噛み締めていた。

「すいません。少し、話をしてみてもいいですか?」

「構いませんがどれとでしょうか。」

「あの、エルフの彼女と話をさせてくれませんか。
お客様、お目が高いですね。うちの商品の中でも容姿に、戦闘にとかなり優秀なものなのですが、あれは返品された物なので、正直、おススメはしかねます。返品は優秀な物はされません。聞くところによると、犯されそうになって相手の逸物を蹴り飛ばしたとか。」

…おう、それは痛そう。

「それでも構いません。俺と一対一で話しをさせてください。」

「わかりました。おい、こっちに来なさい。」

「…はい。」

そうして、俺とエルフの子は2人きりにしてもらった。

「さて、まずは自己紹介からだ。おれはソラ、さっき俺の横にいた黒髪の女が妹のシロ、そして、回復魔法を使っていた茶髪の人が俺の恋人?のアリアだ。君の名前を聞いてもいいかな?」

「…セリアと言います。」

「なら、セリアと呼ばせてもらうよ。今から、俺は客でもなんでもない、ただのソラだ。態度も気にしないから素の君と喋らせてくれ。」

「…わかったわ。ならそっちも敬語とかはいらないから。」

「ああ、それじゃあさっそく聞くが、セリアは何奴隷なんだ。」

「わたしは特殊なの。自慢じゃないけどなんでもできるわ。戦闘、奉仕と、あと、せ、性奴隷だって。」

「なるほど、たしかに容姿はいいからなぁ。戦闘は知らないけど…」

「そ、そんなことで褒められても、夜の奉仕なんてしないから。私は好きな人としかしないわ。」

「そうなのか。安心しろ、俺もそんなことは頼むつもりもない。セリアは想い人がいるのか?」

「まだ探し中よ。でも、人間の男は正直もう信用できない。私を捕まえるし、犯そうとするし。あなたも正直、信用できるとは思えない。」

「なるほど、だからさっきも下を向いていたのか。」

「…理由はそれだけじゃないわ。貴方、貴族でしょ?
他の奴隷たちも貴族の人に勝ってもらいたいと思っているのよ。あなたは顔もいいし、優しそうだし。
多分、奴隷にひどい扱いもしない。だから、私みたいな嫌な思いを経験していない子があなたに選ばれて欲しかった。」

「セリアはいい奴だなぁ。」

「い、いっておくけど、私は信用してないわ。
だから、もし、奴隷を買うとしても私以外を選んですらないかしら。」

「………」

こうして、おれとセリアの話は終わった。その時のセリアは寂しそうな顔をしていた。

(はぁ、多分彼は私が思う以上にいい人だわ。私を一度も物扱いせず、1人の女として話してくれてた。
あんなに優しい人にこの先会えるのかしら…)

「で、結局決まりましたか?」

「ああ、買うことにしたよ。」

(少し残念ね。ソラだったわね、私もいずれあんな人に…)

「セリアっ!俺と一緒に来て欲しい。」

(…えっ?わ、わたしなの?)

「ほう、結局こちらにしましたか。」

「ああ、セリアしか頭になかった。」

セリアはとても嬉しかった。しかし、約束が守られなかったことに対して腹を立てた。

「では、金貨1枚分で毛皮でいうと5頭分のウルフをいただきますね。」

「ああ、問題ない。好きにしてくれ。」

「では、こちらで契約までしてしまいます。」

「ん?ああ。少し待ってくれ。シロ、こっちにこい。」

「兄さん、どうしたの。」

「シロ、今からこのセリアと主従契約を結んでくれ。理由は後から話す。」

「わかったわ。セリアさんよろしく。」

セリアは軽く頷いた。
セリアの頭の中はそれどころではなかった。

その後、シロとセリアは契約を結ぶと、商人は、

「お買い上げありがとうございました。また縁があれば」

と言って、一足先に進んでいった。


俺たちは、精神的な疲れもあり、早めに野宿の準備をすることにしたのだった。


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