最期なら、君を守って死にたい

飴乃しずく

文字の大きさ
1 / 3
プロローグ

雨の降る土曜日

しおりを挟む
どうしようもない私だけれど、変わらず私はここに居る…なんて。

少しばかり詩的なことを考えていた。

静かな雨の降る、土曜日の午後。
いつもの場所、いつもの空気。

けれど今日はいつもよりもずっと静かで、聞こえるのはさあさあという心地よい雨音だけ。

ゆっくりと、ただ雨音だけ聞いて私は微睡んでいた。

時々ふと、昔の事を思い出して。
心が、胸が、つきっと痛んだりして。

「けど、もう私には関係ないこと…よね」

どこで何が起ころうと、もう私には一切関係ないしーーね。

誰も聞いてるはずないのに、そう呟いてしまった。

ダメだなあ。
最近は、独り言が多いや。
でもいいや。
どうせ誰も聞いてない。
誰も、私の言葉を笑わない。

だって今日は、土曜日だから。

「折角の土曜日だし、どこか散歩でもしてみようかなっと!」

私はそう、元気よく立ち上がる。

楽しい土曜日だもの。
こんな辛気臭いトイレなんかにこもってないで、お散歩したい。
誰に気を使う必要ももう、ないんだから。

「トイレの花子さんだって、オフの日は必要だもんねっ」

勢いよく開けたドアの先にあるのは、いつもと変わらない暗い校舎だけれど。
いつか、私が死ぬのを暗く静かに見てた校舎だけれど。

今日の私には、そこがまるで遊園地かのようにーー

狂気的なほどに、明るく見えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

捨てたのはあなたです。今さら取り戻せません

斉藤めめめ
恋愛
婚約破棄?構いませんわ。 ですが国家の崩壊までは責任を負いかねます。 王立舞踏会で公開断罪された公爵令嬢セラフィーナ。 しかし王国を支えていたのは、実は彼女だった。 国庫凍結、交易停止、外交破綻——。 無能な王子が後悔する頃、彼女は隣国皇帝に迎えられる。 これは、断罪から始まる逆転溺愛劇。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

あなたの片想いを聞いてしまった夜

柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」 公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。 政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。 しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。 「好きな人がいる。……片想いなんだ」 名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。

6年前の私へ~その6年は無駄になる~

夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。 テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。

貴方が望むなら死んであげる。でも、後に何があっても、後悔しないで。

四季
恋愛
私は人の本心を読むことができる。 だから婚約者が私に「死んでほしい」と思っていることも知っている。

処理中です...