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第1章
3 隠せない予感
朝、登校中。
練習量を増やした陽は、最近明らかに疲れていた。
でも、頑張る陽を前に「今日はやめる?」なんて言えなかった。
だから、陽の口から「なんか最近、体がだるいかも」なんて言葉が出た時、少しだけ安心してしまった。
「今日は自主練やめておく?」と聞くと、陽は「うん」と素直に頷いた。
その直後、陽がふらりとよろけた。
慌てて腕と肩を支えると、陽の香りが、いつもよりはっきりと香ってくる。
――甘くて、濃密で、鼻に残る。
「ごめん」と、陽が見上げてくる。
眉間にうっすら皺を寄せて、何かに耐えるような表情。
……なに、その顔……なんか、やばい。
いや、俺、何考えてんだ。
慌てて頭を振ると、陽が心配そうに言った。
「俺に付き合わせてるから、蓮も疲れたよな」
――違う。そうじゃないんだ、陽。
俺は、陽を無理やりどうこうしたいわけじゃない。
ただ……もし陽に「うなじ、噛んで」って言われたら――即、噛む自信はあるけど。
学校に着き、陽は自分の教室へと向かった。
でも授業中も、陽のことが頭から離れない。
あんな状態で、大丈夫か……?
……もしかして、ヒート?
オメガには定期的にヒートが来る。
フェロモンが強まり、アルファを求める状態になる。
まさか、陽が――今、そうなんじゃないか?
落ち着かなくなって、休み時間に陽のクラスを見に行く。
でも、陽がいない。
教室の近くにいた生徒に声をかけて、いつも陽と話していた男子を呼んでもらった。
近くに来た彼は、俺を怪訝そうに見ている。
「何か用?」
「朝倉陽って今どこにいるかわかる? 朝、具合悪そうだったから」
「……あー、授業中に体調悪いって言って、保健室行ったよ。っていうか、特進の人がなんで陽を――」
「ありがとう」
彼の言葉を途中で切り上げて、保健室に向かう。
保健室のドアを開けると、養護教諭がこちらを見た。
「あら、どうしたの? どこか怪我した?」
「あ、いえ。俺じゃなくて……。朝倉陽って生徒が今ここに来てませんでしたか? 朝、一緒に登校したとき具合悪そうで、教室行ったら保健室って聞いたんですけど」
「あら、朝倉君のお友達なのね。彼ならそこのベッドで休んでるわよ。静かにね」
促された先にはカーテン。
そっと近づき中を覗くと、陽が眠っていた。
「気分が悪いけど、横になれば良くなる気がするって言ってたの。熱はなかったし、少し休ませたのよ。いつの間にか寝ちゃったのね」
結局、陽はそのまま早退することになった。
俺も心配で、理由をつけて一緒に早退した。
「蓮まで早退しなくて良いのに」
「心配だよ。途中でまた具合悪くなるかもしれないだろ?」
「大丈夫だって、家に帰るくらい」
養護教諭は、ヒートのことには一言も触れなかった。
もちろん、個人情報だから当たり前だ。
それに、教師にはベータが多いと聞く。
もしかすると、陽の香りにも気づいてないのかもしれない。
陽は、ヒートをどう過ごすんだろう。
家で一人で耐えるのか、それとも抑制剤を使うのか――。
でも、俺には……まだ、何の相談もしてくれないけど…
練習量を増やした陽は、最近明らかに疲れていた。
でも、頑張る陽を前に「今日はやめる?」なんて言えなかった。
だから、陽の口から「なんか最近、体がだるいかも」なんて言葉が出た時、少しだけ安心してしまった。
「今日は自主練やめておく?」と聞くと、陽は「うん」と素直に頷いた。
その直後、陽がふらりとよろけた。
慌てて腕と肩を支えると、陽の香りが、いつもよりはっきりと香ってくる。
――甘くて、濃密で、鼻に残る。
「ごめん」と、陽が見上げてくる。
眉間にうっすら皺を寄せて、何かに耐えるような表情。
……なに、その顔……なんか、やばい。
いや、俺、何考えてんだ。
慌てて頭を振ると、陽が心配そうに言った。
「俺に付き合わせてるから、蓮も疲れたよな」
――違う。そうじゃないんだ、陽。
俺は、陽を無理やりどうこうしたいわけじゃない。
ただ……もし陽に「うなじ、噛んで」って言われたら――即、噛む自信はあるけど。
学校に着き、陽は自分の教室へと向かった。
でも授業中も、陽のことが頭から離れない。
あんな状態で、大丈夫か……?
……もしかして、ヒート?
オメガには定期的にヒートが来る。
フェロモンが強まり、アルファを求める状態になる。
まさか、陽が――今、そうなんじゃないか?
落ち着かなくなって、休み時間に陽のクラスを見に行く。
でも、陽がいない。
教室の近くにいた生徒に声をかけて、いつも陽と話していた男子を呼んでもらった。
近くに来た彼は、俺を怪訝そうに見ている。
「何か用?」
「朝倉陽って今どこにいるかわかる? 朝、具合悪そうだったから」
「……あー、授業中に体調悪いって言って、保健室行ったよ。っていうか、特進の人がなんで陽を――」
「ありがとう」
彼の言葉を途中で切り上げて、保健室に向かう。
保健室のドアを開けると、養護教諭がこちらを見た。
「あら、どうしたの? どこか怪我した?」
「あ、いえ。俺じゃなくて……。朝倉陽って生徒が今ここに来てませんでしたか? 朝、一緒に登校したとき具合悪そうで、教室行ったら保健室って聞いたんですけど」
「あら、朝倉君のお友達なのね。彼ならそこのベッドで休んでるわよ。静かにね」
促された先にはカーテン。
そっと近づき中を覗くと、陽が眠っていた。
「気分が悪いけど、横になれば良くなる気がするって言ってたの。熱はなかったし、少し休ませたのよ。いつの間にか寝ちゃったのね」
結局、陽はそのまま早退することになった。
俺も心配で、理由をつけて一緒に早退した。
「蓮まで早退しなくて良いのに」
「心配だよ。途中でまた具合悪くなるかもしれないだろ?」
「大丈夫だって、家に帰るくらい」
養護教諭は、ヒートのことには一言も触れなかった。
もちろん、個人情報だから当たり前だ。
それに、教師にはベータが多いと聞く。
もしかすると、陽の香りにも気づいてないのかもしれない。
陽は、ヒートをどう過ごすんだろう。
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でも、俺には……まだ、何の相談もしてくれないけど…
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