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最終章 貴族院への道
侍女見習いの身嗜み(1)
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二日ほど馬車に揺られて、幼い頃からの憧れだった王宮に足を踏み入る。
ターニアに送った手紙はすぐに了承の返事が届き、レイチェル夫人は大層ご機嫌となり、王室のデザイナーを呼び付けて真新しいドレスと貴金属をセレンティアに纏わせた。お目通りの際は付き添うそうで、雑務を済ませてから保護者気取りでやってくるらしい。
「お茶会の招待状を送る前に、貴方から提案を頂くなんて思ってなかったわ……」
裏門から秘密裏に城内へ通され、ターニアが持つ専用の小部屋へと案内された。戦時中という事もあり、城内の人影は少なく、衛兵の数もまばら。公爵家に閉じ込められている間に戦火は進んだようで、静かだったはずの城下も喧騒で溢れていた。
「私が侍女見習いになるよう仕向けたのはターニアの方ではなくて? 不出来な侍女が一人減って、お困りのご様子では無かったかしら」
「そうかも、しれないわね。でも、私は貴方に王宮へ来て貰えて純粋に嬉しく思っているわ。ほら、髪に合わせた黒のタイ、案外似合っていてよ」
用意された侍女服を合わせながら、ターニアは楽しそうにセレンティアの髪を束ねていった。彼女も給仕の仕事をしていたのか、優美に巻き上げられて髪を留めていくさまは、熟練の小間使いにも劣らない腕前だった。
「カスティア王女の侍女に、一般的な給仕の仕事を与えるとも思えないわ……。こんな服を着せるのは、貴方の趣味も兼ねているのではなくて?」
王宮の小部屋にしては、ターニアの部屋は質素な作りだった。数冊しか無い本棚と寝台。バスルームに繋がる扉がある程度で、あとは小さなテーブルとイスくらい。最初は何も無かった公爵家の部屋を思い出し、セレンティアは少しだけ苛立ちを感じた。
「私は、貴方を気に入っているの。だから、セレンティアにあの女を満足させて取り入って貰い、二人で操れるようになればいいなって、最初にお会いした時から思っていたわ…」
唇を合わせ、そっと乳房に手を当てがわれる。セレンティアが肩を抱いて受け入れると、ターニアは舌を差し入れて頬を寄せる。
「……カスティア王女が王となる願いを叶えられなかった時のスペアーとして、私を気に入ったのではなくて? 貴方を居城に入れてくれる相手なら、誰であっても身体を差し出せるの?」
「王族なんて、滅んでしまえばいいと思っているわ…。特に、王女より歪んでるレイベルク王子は、戦で命を落として欲しい……。でも、あの女は共犯者だし、セレンティアは別よ」
指先で秘芯を撫でられ、セレンティアもドレスの隙間から手を伸ばして、ターニアに触れる。寝台に横になり抱き合うと、せっかく巻き上げたはずの髪が解けてしまった。
「……エリヴァルイウス姫も、候補に置いているって聞いたわ。私は、三番目…?」
「それはまだ、わからないけれど…。私の欲しい道のために別の選択肢を提示してくれた貴方は、希望だわ。私、セレンティアに手紙を頂いた日は秘芯を熱く濡らしてしまったの。
舌に穴を開けられる事も、鞭で身体を打たれたりタトゥーを入れられて消せないキズを作らされる事のない侍女としての日々も、貴方と共に生きれば有るかもしれない…」
ドレスを脱いでコルセット姿になったターニアの身体には、いくつもの鞭キズと打撲の痕。赤い墨で彫られたタトゥーが彩られていた。
どれ程の苦痛を味わって来たのか、その肌を目にするだけで胸が締め付けられそうになる。
「私が女王となる道を辿るためには、カスティア王女に気に入られて貴族院を掌握するか…、レイチェル夫人の手駒となって花奴隷の蜜を配り歩くか——。どちらを取っても、先行きは暗いものでしか無いわ。……でも、ターニア。私は貴方を救いたいとは思う。カスティア王女の事だって、歯車が違っただけでお気持ちが歪んでしまった……。なんて、甘い考えを抱いている。
私たちは、まだ。婚約する年齢にも満たない、歳若い少女よ。そんな娘たちに大人が罠を仕掛けて、苦痛を与えられても、納得や諦めなんて、決してしないわ…」
ターニアに送った手紙はすぐに了承の返事が届き、レイチェル夫人は大層ご機嫌となり、王室のデザイナーを呼び付けて真新しいドレスと貴金属をセレンティアに纏わせた。お目通りの際は付き添うそうで、雑務を済ませてから保護者気取りでやってくるらしい。
「お茶会の招待状を送る前に、貴方から提案を頂くなんて思ってなかったわ……」
裏門から秘密裏に城内へ通され、ターニアが持つ専用の小部屋へと案内された。戦時中という事もあり、城内の人影は少なく、衛兵の数もまばら。公爵家に閉じ込められている間に戦火は進んだようで、静かだったはずの城下も喧騒で溢れていた。
「私が侍女見習いになるよう仕向けたのはターニアの方ではなくて? 不出来な侍女が一人減って、お困りのご様子では無かったかしら」
「そうかも、しれないわね。でも、私は貴方に王宮へ来て貰えて純粋に嬉しく思っているわ。ほら、髪に合わせた黒のタイ、案外似合っていてよ」
用意された侍女服を合わせながら、ターニアは楽しそうにセレンティアの髪を束ねていった。彼女も給仕の仕事をしていたのか、優美に巻き上げられて髪を留めていくさまは、熟練の小間使いにも劣らない腕前だった。
「カスティア王女の侍女に、一般的な給仕の仕事を与えるとも思えないわ……。こんな服を着せるのは、貴方の趣味も兼ねているのではなくて?」
王宮の小部屋にしては、ターニアの部屋は質素な作りだった。数冊しか無い本棚と寝台。バスルームに繋がる扉がある程度で、あとは小さなテーブルとイスくらい。最初は何も無かった公爵家の部屋を思い出し、セレンティアは少しだけ苛立ちを感じた。
「私は、貴方を気に入っているの。だから、セレンティアにあの女を満足させて取り入って貰い、二人で操れるようになればいいなって、最初にお会いした時から思っていたわ…」
唇を合わせ、そっと乳房に手を当てがわれる。セレンティアが肩を抱いて受け入れると、ターニアは舌を差し入れて頬を寄せる。
「……カスティア王女が王となる願いを叶えられなかった時のスペアーとして、私を気に入ったのではなくて? 貴方を居城に入れてくれる相手なら、誰であっても身体を差し出せるの?」
「王族なんて、滅んでしまえばいいと思っているわ…。特に、王女より歪んでるレイベルク王子は、戦で命を落として欲しい……。でも、あの女は共犯者だし、セレンティアは別よ」
指先で秘芯を撫でられ、セレンティアもドレスの隙間から手を伸ばして、ターニアに触れる。寝台に横になり抱き合うと、せっかく巻き上げたはずの髪が解けてしまった。
「……エリヴァルイウス姫も、候補に置いているって聞いたわ。私は、三番目…?」
「それはまだ、わからないけれど…。私の欲しい道のために別の選択肢を提示してくれた貴方は、希望だわ。私、セレンティアに手紙を頂いた日は秘芯を熱く濡らしてしまったの。
舌に穴を開けられる事も、鞭で身体を打たれたりタトゥーを入れられて消せないキズを作らされる事のない侍女としての日々も、貴方と共に生きれば有るかもしれない…」
ドレスを脱いでコルセット姿になったターニアの身体には、いくつもの鞭キズと打撲の痕。赤い墨で彫られたタトゥーが彩られていた。
どれ程の苦痛を味わって来たのか、その肌を目にするだけで胸が締め付けられそうになる。
「私が女王となる道を辿るためには、カスティア王女に気に入られて貴族院を掌握するか…、レイチェル夫人の手駒となって花奴隷の蜜を配り歩くか——。どちらを取っても、先行きは暗いものでしか無いわ。……でも、ターニア。私は貴方を救いたいとは思う。カスティア王女の事だって、歯車が違っただけでお気持ちが歪んでしまった……。なんて、甘い考えを抱いている。
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