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第一章 調教部屋への道案内
女王との謁見(2)
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「……蜜色の長い髪に白い肌が映えて、まるで蝶が止まっているかのようね。
身につけているコルセットは軽いものなので、姫君としてのウエストは少々大き過ぎるけれど、ランベルによく似た細い顔立ちをしている」
コルセットを外され、当て布で胸を押さえたエリヴァルの背中は王女の前にさらけ出された。
真っ白で滑らかな肌から溢れる蜜色の髪の生え際に兵士が触れ、長い髪をかき分けられ品定めをされるかのようだった。
「ベルン陛下、お言いつけの用意が整いました」
緊張と怯えで震え続けるエリヴァルの前に、長い黒髪の女性が乗馬用の太い鞭を手に現れた。
貴族院の代表を務めるリグレット卿の娘で、王に連なる血筋のセレンティア侯爵令嬢。彼女が第一王女の元に居るという事は、貴族院は完全に支配されており、子爵家や第一王子派を助ける者がこの王宮に存在しない事を意味していた。
頼みの綱の元老院は年配者が多く、登城する院の姿も滅多に見られはしない。まして派閥の最たる第一王子が負傷の最中では、その娘の安否を気遣う余裕など有りはしなかった。
「ご苦労でしたセレンティア。でも、せっかく持ってきて貰った所で申し訳ないのだけど、この子には縄の方の鞭を持ってきて頂戴。
まだ自分が夢の中にでも居るかのような気分みたいだから、最初から慣らしておかないとですからね…」
「畏まりました、猫の方の鞭を用意致します」
別の兵士に指示を出し、居室から荒縄がいくつも組み合わさった大きな皮鞭が持ち込まれた。
セレンティアはエリヴァルの背中によく滑らせるための膏薬を塗り、肌の感触と強度を見定めてから皮鞭に口付け、肩を押さえつけていた兵士に手渡し、手を振り下ろした瞬間に叩くように伝えた。
「ーー痛いっ!! いい、痛いぃい!!!」
激しい音が耳を貫き、背中の皮が抉られるような刺激が与えられた。殴りつけられた勢いで当てられた荒縄はエリヴァルの肌を裂いて血を流させ、皮膚を削り取る。
特別な教育を施された兵士達は眉も動かさず、無言の誓いそのままに息を呑むことさえしない。
苦痛を通り越した熱が身体を回っていき、羞恥と恐怖に涙さえ溢れ出てこなくなる。
「……あぁぁぁ!!! いやぁぁ!!!」
休む間もなく、次の鞭が身体を引き裂く。勢いで当て布が外れて胸元が露わとなり、口からは涎とドレスの間からは小水が漏れ出た。
少しだけ関心を示したカスティアだったがその眼差しが変わらない事を知ると、静止していた手を下げてセレンティアに合図を送る。
二度、三度と鞭が続き、すっかり身体を覆う衣類を切り裂かれたエリヴァルは、長い髪だけで胸を隠しながら痛みに耐えていった。
真っ白だった背中は赤い鞭の痕と血で染まり、大きく皮が捲れて裂けている。一番大きな傷は、縫っても生涯傷跡が消える事はないだろう。
「よく気をやらずに耐えました。お前には伯母上と呼ぶ事を許しましょう。
見ての通り、貴族院はお前の教育を私に一任しました。まだ、お前が知る所では無かったでしょうが、ヘリティギアには不貞が発覚したのです。現在調査中ですが、お前には不義の姉が居る事がわかりました。
そのような婢女の家に、王位継承を有した姫君であるお前を住わせる事は許されません。ノッデ・エリヴァルイウス・オーファルゴート。お前は子爵家に戻る事は永遠に無いのです」
血と小水の臭いが謁見の間に広がっていったが、カスティア王女は満足そうに微笑む。
王女の侍女に薬湯を塗られ、布と湯で身体を拭かれていきながら、エリヴァルはようやく気を失い、セレンティア令嬢の肩に抱かれた。
二人は親族に対する情を一切持たず、ただ蜜色の髪をした人形として淫らな欲望を抱く。
王位継承を争う者としては憎むべき相手ではあるが、当の本人が負傷で死にかけており、女王の座もあと少しともなれば憎い姪御も愛しく思えなくも無かった。
身につけているコルセットは軽いものなので、姫君としてのウエストは少々大き過ぎるけれど、ランベルによく似た細い顔立ちをしている」
コルセットを外され、当て布で胸を押さえたエリヴァルの背中は王女の前にさらけ出された。
真っ白で滑らかな肌から溢れる蜜色の髪の生え際に兵士が触れ、長い髪をかき分けられ品定めをされるかのようだった。
「ベルン陛下、お言いつけの用意が整いました」
緊張と怯えで震え続けるエリヴァルの前に、長い黒髪の女性が乗馬用の太い鞭を手に現れた。
貴族院の代表を務めるリグレット卿の娘で、王に連なる血筋のセレンティア侯爵令嬢。彼女が第一王女の元に居るという事は、貴族院は完全に支配されており、子爵家や第一王子派を助ける者がこの王宮に存在しない事を意味していた。
頼みの綱の元老院は年配者が多く、登城する院の姿も滅多に見られはしない。まして派閥の最たる第一王子が負傷の最中では、その娘の安否を気遣う余裕など有りはしなかった。
「ご苦労でしたセレンティア。でも、せっかく持ってきて貰った所で申し訳ないのだけど、この子には縄の方の鞭を持ってきて頂戴。
まだ自分が夢の中にでも居るかのような気分みたいだから、最初から慣らしておかないとですからね…」
「畏まりました、猫の方の鞭を用意致します」
別の兵士に指示を出し、居室から荒縄がいくつも組み合わさった大きな皮鞭が持ち込まれた。
セレンティアはエリヴァルの背中によく滑らせるための膏薬を塗り、肌の感触と強度を見定めてから皮鞭に口付け、肩を押さえつけていた兵士に手渡し、手を振り下ろした瞬間に叩くように伝えた。
「ーー痛いっ!! いい、痛いぃい!!!」
激しい音が耳を貫き、背中の皮が抉られるような刺激が与えられた。殴りつけられた勢いで当てられた荒縄はエリヴァルの肌を裂いて血を流させ、皮膚を削り取る。
特別な教育を施された兵士達は眉も動かさず、無言の誓いそのままに息を呑むことさえしない。
苦痛を通り越した熱が身体を回っていき、羞恥と恐怖に涙さえ溢れ出てこなくなる。
「……あぁぁぁ!!! いやぁぁ!!!」
休む間もなく、次の鞭が身体を引き裂く。勢いで当て布が外れて胸元が露わとなり、口からは涎とドレスの間からは小水が漏れ出た。
少しだけ関心を示したカスティアだったがその眼差しが変わらない事を知ると、静止していた手を下げてセレンティアに合図を送る。
二度、三度と鞭が続き、すっかり身体を覆う衣類を切り裂かれたエリヴァルは、長い髪だけで胸を隠しながら痛みに耐えていった。
真っ白だった背中は赤い鞭の痕と血で染まり、大きく皮が捲れて裂けている。一番大きな傷は、縫っても生涯傷跡が消える事はないだろう。
「よく気をやらずに耐えました。お前には伯母上と呼ぶ事を許しましょう。
見ての通り、貴族院はお前の教育を私に一任しました。まだ、お前が知る所では無かったでしょうが、ヘリティギアには不貞が発覚したのです。現在調査中ですが、お前には不義の姉が居る事がわかりました。
そのような婢女の家に、王位継承を有した姫君であるお前を住わせる事は許されません。ノッデ・エリヴァルイウス・オーファルゴート。お前は子爵家に戻る事は永遠に無いのです」
血と小水の臭いが謁見の間に広がっていったが、カスティア王女は満足そうに微笑む。
王女の侍女に薬湯を塗られ、布と湯で身体を拭かれていきながら、エリヴァルはようやく気を失い、セレンティア令嬢の肩に抱かれた。
二人は親族に対する情を一切持たず、ただ蜜色の髪をした人形として淫らな欲望を抱く。
王位継承を争う者としては憎むべき相手ではあるが、当の本人が負傷で死にかけており、女王の座もあと少しともなれば憎い姪御も愛しく思えなくも無かった。
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